駅が無い!東戸塚~生麦間線路、その真相は!?
ココがキニナル!
Googleマップを見ると東戸塚から生麦まで線路が通っているのですが、駅がありません。なんのための列車が走る線なのでしょうか?(まぁこさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
東戸塚から生麦まで通っているのは、貨物列車専用の線路。そのほとんどが地下を走っているため、あまり目にする機会はない!
ライター:吉澤 由美子
羽沢から東戸塚まで
羽沢から東戸塚に向かう貨物線路は、相鉄線の星川駅あたりでまたすっぽり覆われた高架として地上に出る部分は少しあるが、それ以外はすべて地下を走っている。
地図を確認すると最終的に地上に出てくるのは、横浜新道横浜横須賀ジャンクション、横浜新道今井インターを越えた東戸塚駅のすぐ近く。
そこで今度は東戸塚に向かう。
東戸塚駅は、近代的な街づくりがしっかりとされている場所だが、線路沿いに牧場があるなど、周辺には緑や自然も多く残っている。
木々の向こうに東戸塚のビル群が見える
東海道線と横須賀線の分岐する場所近くの歩道橋からその先を見ると、横須賀線がさらに2本に分岐している。
2本のうち西側にある方が、羽沢からつながっている貨物線路。分岐してすぐトンネルに入り、そのまま地下を通っているのだ。
NEXが走る横須賀線の手前、一段低い位置に貨物線路
生麦から東戸塚まであるのに、その線路は限られた場所からしか見ることができない。貨物は人目につかない場所を走っていたのだ。
モーダルシフトで見直されている鉄道貨物輸送
国土交通省が2010(平成22)年10月に行った3日間の調査によると、代表輸送機関別のシェアは、営業用トラック61.1%、自家用トラック23.1%、船舶10.0%、航空その他が5.0%、鉄道貨物は0.8%にとどまっている(重量ベース)。ただし、長距離輸送の場合は鉄道の比率が伸び、1000キロ以上では5.3%となる。
現在の貨物鉄道輸送のシェアは少ないが、国土交通省では二酸化炭素排出量の削減や物流の効率化などの観点から、自動車(トラック)から貨物鉄道輸送への転換(モーダルシフト)を重要な課題としており、さまざまな取り組みを行っている。
その取り組みの中に、エコレールマークがある。
こんなマークがあったとは
これは、鉄道貨物輸送の環境負荷が低いことを一般消費者に伝える目的で制定されたマーク。環境省によると、鉄道貨物輸送のCO2排出量は、営業用トラック輸送の7分の1しかないとのこと。
「六甲のおいしい水」「サランラップ」など、身近な商品がこのマークの認定を受けているが、商品を入れた段ボール箱にマークが入っていて商品自体にはマークがない場合が多いなど、一般消費者の目に触れることが極端に少ない残念な状況らしい。
とはいえ、他にもさまざまな取り組みが行われているので、鉄道貨物輸送が将来的に重要度を増していき、私たちにとってもう少し身近なものになるかもしれない。
旅客併用化される貨物の路線もある
身近といえば、相鉄・JR直通線のように、路線の貨客併用化も鉄道貨物の路線の存在が急に日常的なものになる機会。
そこで横浜市内で、貨物の路線を旅客にも使う動きがないか探してみると、「東海道貨物支線の貨客併用化」という計画が見つかった。
沿線6自治体(神奈川県、横浜市、川崎市、東京都、大田区、品川区)で東海道貨物支線貨客併用化整備検討協議会を作って、計画の実現を検討しているらしい。
路線は桜木町駅から浜川崎を通り、品川や東京テレポートへ至るルート。
京浜臨海部を縦断する総延長約33kmのうち、約18kmを既存線である貨物線を利用し、約15kmを新線整備区間とするもの。
今回の調査ルートとは違うが、同じ東海道貨物。参考になればと協議会ホームページに記載されていた問い合わせ先である神奈川県の県土整備局道路部道路企画課にお話を伺った。
検討協議会担当部署・道路企画課がある神奈川県庁新庁舎
グループリーダーの小林正人さんによると、「現在は調査・検討の段階です」とのこと。
東海道貨物支線貨客併用化が実現したら、京浜臨海部が活性化され、災害時などにも多様なルートが確保できる。さらに、並行して走る路線の混雑も緩和されるといったメリットもある。
ただし、貨客併用化予定となっている東海道貨物支線は、鉄道コンテナ輸送の一大拠点である東京貨物ターミナルに繋がるとても重要な路線。
実現には採算の問題や、貨物の物流をいかにさまたげずに旅客列車を必要十分な本数で運行できるかといった課題もたくさんある。
今はまだ夢のような話だけれど、未来に向けてこうした取り組みも行われているのだ。
取材を終えて
東戸塚から生麦に通じる間に駅のない線路は、貨物用のものだった。
電車に乗っていてたまに貨物列車を目にすることはあったけれど、貨物専用の線路が市街地の地下を走っているとは思ってもいなかった。
そして、いつもは目立たない貨物専用の路線が、貨客併用化によって一気に日常的な光景に組み込まれていくのも面白い。そういえば横須賀線も、もともと貨物用の路線だったはず。
相鉄・JR直通線が開業したらぜひ乗車して、今回調査した大口駅付近の上がふさがれた高架や、生麦のトンネル出口を通ってみたい。
― 終わり―
国土交通省 公共交通政策 全国貨物純流動調査(物流センサス)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/butsuryu06100.html
国土交通省 エコレールマーク
http://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk2_000008.html
東海道貨物支線貨客併用化整備検討協議会
http://kakyaku.com/
ナチュラルマンさん
2018年06月08日 16時00分
ここは湘南ライナーが走っているから、体験可能ですよ!(笑)
ushinさん
2017年02月05日 01時15分
呑屋の狸さん 「佐川急便社では自社で電車車両を調達」のスーパーレールカーゴM250系貨物電車は、国土交通省のモーダルシフト社会実験の一つとして、佐川が一括荷主となる前提でJR貨物が補助金を受けて製造されたJR貨物の車両です。
呑屋の狸さん
2016年10月29日 02時04分
モーダルシフトの一環として、佐川急便社では自社で電車車両を調達。「貨物電車」を走らせているようです。