横浜「1000ぶら」商店街探訪Vol.23 横浜最古のアーケード商店街、金沢文庫「すずらん通り商店街」の歴史ある商店へ
ココがキニナル!
横浜最古のアーケード商店街を見続けた半世紀以上続く「小田薬局」「シューズセキ」「遊とぴあKOBAYASHI」「三光商会」「京城苑」で話を聞き1000円で温故知新
ライター:永田 ミナミ
「言葉にできない」
そしてすぐにたどり着いた。なんて美味しそうな外観だろう
小林さんから紹介していただいたことと取材内容を伝えると快く応じてくださった。
お話を聞かせていただいた河原崎弘子さん
京城苑はその前身が隣接して営業していた本田美容室と、現在の場所で営業していた「かつみ」という喫茶店。合わせると70年になるというから創業は1944(昭和19)年ごろだ。その後、知人の勧めで焼肉店を開業し、1階が焼肉店、2階が美容室という時代もあったが、焼肉店が繁昌して多忙になったため、美容室と喫茶店を閉じ、家族全員で焼肉店を切り盛りしてきたという。
おすすめはSカルビとモツ、国産のみでできるだけ冷凍は扱わないそう
本田美容室を開いた本田勝敏さんは河原崎さんの祖父で、小田薬局を開いた小田信次さんと2人で商店街の礎を築き、初代の会長を務めたというから、まさにすずらん通り商店街のルーツである。
アーケードがあった時代について伺うと、縁日がにぎやかだったころに商店街にあった空地を利用して開かれた盆踊り大会が開かれ、それを撮ったガラス板写真などもあったそうだ。
興味深いお話を聞かせていただいたところで、一文字書き初めをお願いしてみた。
しばし色紙を眺めたあと、書き上げた文字は
「上」。これでひとまず完成ということに
書き初め後、今度はメニューを凝視。店内を満たす肉を焼く匂いがたまらないが、所持金はチャンジャ(200円)にも25円足りない175円。頼めるのは150円の味噌汁しかない。ということで「味噌汁と、あともしできるなら、25円分のビールをいただけないでしょうか」と無理なお願いをしてみると、河原崎さんはにっこりと笑い「いいですよ」と言ってくださったのである。
無茶を言って本当にすみません。本当は肉を食べたいのですが何分175円しかなく
とはいえこのお味噌汁がネギ、ワカメ、三ツ葉がたっぷり入っていて
「これを注文して本当によかった」
続いて25円分のビールが登場。「嬉しくて嬉しくて言葉にできない」
これで175円、残金0円。ありがとうございます!
「よみがえるひととき」
河原崎さんから当時の写真は商店会で保存していると聞き、訪ねてみるとたくさん見せていただくことができた。シューズセキの関さんのお話のところで紹介した写真もそのなかの2枚である。
取材に応じてくださった阿久津さん
商店会の事務を担当する阿久津さんは、昨年のちょうど今ごろ、商店街60周年のイベントの一環として、過去の写真を展示することを思いついたという。古くからある店に声を掛けるとアルバムなどを貸してくれ、1ヶ月間の展示に成功したそう。
アーケード完成を祝ったものと思われる写真(1951<昭和26>年ごろ)には獅子が舞う
ほかの写真の撮影時期については確かな記録がなく、商店の様子から推測するに昭和20年代後半から昭和30年代にかけてなのではないか、とのこと。
アーケード入口は華やかな照明で飾られていた
何と工場が火事になった跡地で盆踊りをおこなっていたという
「すずらん通り」の由来になったというすずらん型のライトも映る本田美容室
阿久津さんは商店街の活性化につながることを日々考えているそう。商店会事務局が入っているふれあい会館で現在おこなっている「すずカフェ・プチ」というイベントもそのひとつ。横のつながり強くするために新年会も開催するというから心強い。
商店街のなかでの「居場所」をつくるために日々奔走している阿久津さん
阿久津さんが書いた詳細な手作りマップも素晴らしい出来だ
取材を終えて
長い歴史を持ち、1つの大きな時期は過ぎながらも活気は失っていないすずらん通り商店街。古い店と新しい店が共存しながら、生まれ来る子供たちのために時代を「見」ながら「歩」み続け、さらに高く「上」り「輝」く、「ためらわない、迷わない」「信じるところへ」進む商店街であれ、と願う2014年1月吉日であった。
―終わり―
プレゼントクイズ
本文中にオフコースと小田和正氏の曲名が紛れこんでいます。いくつ紛れこんでいるかをお答えいただいた方のなかからいちばん近い方に「なわとび」「単3が単1になるアダプター」をプレゼント致します。
ご希望の方はお問い合わせフォームより、以下の情報を明記のうえご応募ください。
・ 何個まぎれこんでいるか
・ お名前
・ ご住所
・ 連絡先(電話番号)
※ 当選の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。応募締切/2014年1月24日(金)まで
神々の雫さん
2016年03月16日 13時24分
「小田薬局」の検索でヒット。バブルの犠牲にもならず、小田薬局さんのみならず、営々と歴史を重ねられている店舗が多いことに感銘を受けました。おもちゃ屋さんがあるというのも、小さな奇跡ですね。ぼくは一昨年、かつて住んでいた町の利用駅である「都立大学」「学芸大学」駅周辺を歩きましたが、中学生のころトミカの絶版者探しでよく利用したおもちゃ屋さん3軒は、影も形もありませんでした。同じキャンパス内に併設されたわが母校の付属高校も、本体の都立大学も今はありません。最後に限られた所持金で、25円のビール注文に快く応じられたのも、温かいおもてなしだなあ…と感じ入りました。
うなぎさん
2014年01月18日 16時29分
最近すずらん通りはオフィシャルホームページなども充実させ頑張っている商店街の一つ。こういった過去の写真もオンラインにどんどん公開して行った方がいいと思う。