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「さば神社」がやたら横浜にあるのはなぜなのか? 知られざる理由を徹底調査! 前編

ココがキニナル!

いずみ中央周辺にはサバ神社が多数あります。左馬神社や佐婆神社、鯖神社だったり、何か由来があると思うのですが調べてもらえませんか。(mocoさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

源義朝(みなもとのよしとも)・源満仲(みなもとのみつなか)の官職だった左馬頭(さまのかみ)から名付けられた神社12社中6社を回り後編へ続く

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ライター:細野 誠治

横浜市泉区の5社を巡る/源義朝の2社



源満仲を鎮守とする3社を巡った。泉区に残る社はあと2つ。以降、鎮守はすべて源義朝だ。
まずは相鉄線「ゆめが丘」駅すぐそばにある「左馬神社」へ。

泉区(4)「佐馬神社」(鯖神社)
 


駅から300メートルほどのところにある
 

泉区下飯田1389、駅からほど近く。農地の真ん中に建つ
 

のどかな田園風景をゆくと階段がある。その先に木製の鳥居


鳥居を潜ると人家と一般道が横たわる。そして第二の鳥居。
 


第二の鳥居には供養塔が寄り添う
 

境内に足を踏み入れると、すぐに長年の社だと分かる
 

本殿。朱塗りの壁だ


勧請年代は不明なものの、俚伝(りでん)によると「小田原北条の時代に下飯田を治めた川上藤兵衛が武運長久の祈願をした」とある。小田原北条氏の時代というと西暦1400年代の中盤。少なくとも500年以上の歴史があることが確認できる。
 


稲荷社に地神塔があった
 

名木・古木指定された銀杏の木。筆者はこんな大きな銀杏は見たことなかった
 

七さば巡りの一つに数えられている


残る泉区の「さば神社」、最後は相鉄いずみ野線「いずみ中央」駅を最寄りとする「飯田神社(飯田大明神)」。場所は境川の東側すぐ、近くに横浜市営上飯田住宅がある。


泉区(5)飯田神社
 


泉区上飯田2517、こちらは住宅地のなかにある
 

「村社 飯田神社」と書かれている


同じ名前の神社が12社と書いてきたが、ここの名前は飯田神社。理由はこの辺りの里の名「飯田村」から取っているため。来歴には「鯖明神とも唱う」と記述がある。

こちらも勧請年代は不明。社伝に残された最も古い年代の記述は「1239(延応元)年」。今から800年以上前。
 


鳥居前には庚申塔や石塔、地蔵が並ぶ
 


泉区役所による解説もある
 

鳥居を越えると広い境内が現れる
 

鐘撞堂に遊具もあった
 

こちらも七さば巡りの一つ


ここまで巡ったなかで、現在の境川に最も近い場所に位置している飯田神社。
川の氾濫などによって過去の川筋と違う可能性が高いものの、ここで数ある説の一つを。
水のある場所、川や泉、沢などは神聖な場所であるとされた。泉を表す「沢(さわ)」という響きから「さば」に。左馬頭(さまのかみ)に寄っていったのでは? とも。(ここの場所は泉区!)

少し強引な印象もあるが、左馬頭・源義朝の神格化の一部なのではないかな。
 


神聖なもの「さわ」と、左馬(さば)の響きが似ているから?




瀬谷区のさばと、その原風景



泉区の「さば神社」5社をすべて回った。残る横浜市内の社は1社。瀬谷区に位置する「左馬神社(左馬社)」だ。

瀬谷区(1)左馬神社(左馬社)
 


瀬谷区橋戸3-20-1、閑静な宅地のなかに鎮座する左馬神社
 

最寄駅は相鉄線「瀬谷駅」


駅から徒歩で南へ25分くらい。閑静な住宅地の真ん中に木々が生い茂る一角がある。
 


そこが瀬谷の左馬神社。「相模七左馬」のひとつ
 

鳥居に掲げられた名は「左馬社」
 

広い境内にキレイな本殿
 

本殿に掲げられているのは「左馬神社」
 

鐘撞堂に境内社もあった
 

やはり御神木も


瀬谷区の左馬神社は、神奈川県神社庁のホームページに登録があるものの、由来などの記載がない。では、ということで本殿横の社務所に声をかける。ちょうど宮司の方がいらしたので、お話を聞いてみた。(残念ながらお名前、お写真はNGとのこと)

来意を告げ、由来を訪ねるも勧請はいつなのか、よく分からないそうだ。それでも、氏子衆の社への貢献が書かれた資料を拝見させてもらった。
 


元は檜板に墨書されたものの写し(コピー)


さらに手がかりを。すると瀬谷区役所が調べたという文章があった。
 


これがその文章(コピー)


ここで、ひとつの疑問が解けた。それは名前の違い。鳥居にあった「左馬社」と、本殿に掲げられていた「左馬神社」という2つの名前。
 


左馬社と左馬神社


コピーにある「社名について」という項目に・・・
『「新編相模国風土記稿」は「鯖」を一般とし、瀬谷左馬社の供出前の鐘銘には「相模国瀬谷郷御鎮守鯖社」とあり』
・・・という一文があった。

ここにある「供出前の鐘銘」とは、鐘のこと。
 


神社の鐘だ。ここに「相模国瀬谷郷御鎮守鯖社」とあった
 

境内の案内表示によると鐘は江戸時代(文久元年=1861年)の鋳造


宮司の方に伺うと、現在の本殿は1974(昭和49)年に建て替えられたそうだ。この時に名前を「左馬神社」としたという。
鯖社→左馬社→左馬神社という変遷が分かった。
しかし疑問も出てしまった。「魚の鯖が先で、その後に左馬なのか?」
 


そして、やっぱり謎だ


さらにもう一つ。区役所の文章の最後にこんな一文があった。
「近くに古宮と呼ばれる地があり、そこはかつての左馬神社の跡である。(中略)現在地に移ったのは鎌倉時代」

移設の理由は、度重なる境川の氾濫だという。水害を避けて今の場所に移った。それが鎌倉時代。最初の社はもっと古かった。大雑把だが、これが精一杯の追跡。(少なくとも800年以上前から祀られていたことが分かった)



取材を終えて



そろそろページが尽きてしまう。
宮司の方にお礼をして社務所を後にすると、境内で一人のお婆さまに出会った。
 


前田君江さん(84歳)


前田さんは子どものころから、ここ瀬谷区の左馬神社のすぐ近くで暮らしているそうだ。筆者が「さば神社」について調べていると言うと、いろいろと面白い話を聞かせていただいた。

「昔ここにはね、金の仏像があってね。2度も盗難に遭ってるの。でもね、不思議と2度とも無事に戻ってきたの」
 


隣には西福寺という寺がある。神仏混淆(こんこう)の名残か?


「この辺りは、ずーっと土葬墓が続いている土地だったの。それを、どこからか一人のお侍さんがやってきてね、神社の区分けをしたっていう(言い伝え)のを聞いたことがある」

区役所の調べた「古宮から社を移した」人物か? それが伝承で残ってるのだろうか?(この話はどの資料にもなかった。発見、なのだろうか?)

そして「ここは水(境川)が近いのに、一度も水(洪水)が来たことないの」とも。水害を避けて移された話に重なるじゃないか。

前田さんと別れて、しばし境内を散策。分からないことばかりなのに今、目の前にある「さば神社」。やっぱり不思議だ。

ここまで調べてきて思うのは、推論がいくつもあるように、謎の答えも複数に存在するのではなかろうか? そんな気がしている。
答えを導き出すことは叶わないが、選択肢を拾い集めて有力なものを炙り出していこう。
 


残る「さば神社」はあと6社。後編に続きます


細野誠治でした。


―終わり―
 


今回歩いたさば神社


【今回巡った順】
 ●泉区(1、2、3の鎮守は源満仲)
 1)鯖神社(鯖大明神) 〒245-0016 泉区和泉町705
 2)中の宮左馬神社 〒245-0016 泉区和泉町3253
 3)佐婆神社(へっついさま) 〒245-0016 和区和泉町4811
 4)左馬神社(鯖神社) 〒245-0017 泉区飯田町1389
 5)飯田神社(飯田大明神) 〒245-0018 泉区飯田町2517
 ●瀬谷区
 6)左馬神社(左馬社) 〒246-0037 瀬谷区橋戸3-20-1


神奈川県神社庁
〒235-0019 磯子区磯子台20-1
電話:045-761-6387
URL:http://www.kanagawa-jinja.or.jp/

御霊神社
〒245-0011 泉区中田北3-42-1

横根稲荷神社
 〒245-0016 泉区和泉町5963
 

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  • 蛇足ながら。【鯖】の文字。ネットスラングではサーバーの当て字(Windows鯖 等)としても使われている。そこでだ、サバ神社にて「鯖守」等のお守りを販売してはどうだろうか? シスアドとか企業保守で働いている人たちへのお守りとなるのでは無かろうか?御伊勢さん(神社庁)の裁可が降りるかどうかは微妙だが、神社名のお守りは各社で出していることだし。如何に?

  • 大変興味深い記事でした。惜しむらくは誤字があること。この記事に限らず、はまれぽの記事は誤字が多いと思います。

  • 待ってました。調査していただいてありがとうございます。源氏に関係ある神社が多いですね。泉小次郎や巴御前などの名前もでてきて、自宅周辺が大河ドラマのようです。数百年前の人々や風景はどんなだったんだろう。後編も期待してまーす!

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