元は落下傘訓練塔だったという今はなき「旧江の島展望灯台」がスリリングすぎたって本当?
ココがキニナル!
江の島展望灯台が江の島シーキャンドルになる前の写真が見たい。昔は灯台に登るのには簡易的な階段があり、足を滑らせたら死ぬ!って感じだった記憶が・・・。灯台内部もどうなっていたのか!(スマイルさん)
はまれぽ調査結果!
旧江の島展望灯台は二子玉川にあった落下傘訓練塔を移築したもの。長きにわたり江の島のシンボル的な存在として愛された場所だった。
ライター:すがた もえ子
旧展望灯台時代のお話を江の島の住人に聞いてみる
旧展望灯台の歴史は分かったが、それでは実際はどんな場所だったのだろうか。旧展望灯台の運営が2002(平成14)年までされていたということなので、現在でも多くの方が覚えているのではないだろうか。江の島にお住まいの方に聞き込み調査をしてみることにした。
江の島で写真館を営む「片野写真館」さん。創業90年以上になるという
江の島の頂上近くにある片野写真館さんには江の島の古い写真を集めた「江ノ島ふぉとみゅうじあむ」(入館料300円)も併設され、昭和初期から戦後にかけての江の島の姿を見ることができる。
お話を伺った店主の片野雄夫(かたの・たけお)さん
旧江の島展望灯台の姿(画像提供:片野写真館)
「風よけも日よけもない鉄骨でできた塔でしたよ」と片野さん。
真ん中の部分がエレベーターだったそうだ。
写真の販売もされている(画像提供:片野写真館)
小窓が付いている部分が展望室になり、広さは四畳半ほどの広さしかなかったという。展望室部分のほかにも青い鉄骨で作られた3ヶ所のステップ部分でも景色を楽しむことができたのだそうだ。
旧展望灯台をバックにした記念写真が残されていた(画像提供:片野写真館)
旧展望灯台は鉄骨製のため、昇った時に風が強いと怖かったのだと片野さん。階段も急な角度と木製の踏板がやはりスリルがあったが、それもまた楽しみの一つだったようだ。
いつごろの写真かは分からないが、こちらも記念写真だろうか(画像提供:片野写真館)
まるで映画のワンシーンのようだ(画像提供:片野写真館)
たくさんの人々が旧展望灯台をバックに写真を撮影したのだろう。想い出の1ページに旧展望灯台がある、という人も多いかもしれない。
次に、江の島で代々営業している老舗のおまんじゅう屋さんにお話を伺うことができた。
1925(大正14)年に創業した元祖女夫(めおと)饅頭の井上総本舗さん
ここのおまんじゅうが美味しすぎて、江の島に来るといつも寄り道してしまう。夏限定のかき氷とも迷ったが、やはりお腹も減っているし、イートインであんみつをいただきながらの聞き込みだ。おまんじゅうにも使われているあんこが美味しくてやみつきになる。
クリームあんみつ(店内800円)はあんこが決め手
食べ歩き用もあって、そちらは500円。店内と食べ歩きでトッピングは変わる。
江の島生まれ、江の島育ちの店主
お忙しい中ご対応いただいた店主の井上海(いのうえ・かい)さん。
「旧展望灯台の写真というと、これしか無いんですが」と見せていただいたのが、井上さんの幼稚園の集合写真。
貴重な旧展望灯台の遠景写真だ
「展望灯台は階段が怖かったですね。階段の踏板が木の板でした。だけどいつもエレベーターじゃなくて階段で昇ってました。灯台のライトが印象が強すぎて、展望灯台部分の印象はあまりありません」と井上さん。
旧展望灯台の階段はとても急だったのだという。風を防ぐような物もない鉄骨製で、踏板も木製のためとてもスリルがあった。エレベーターも現在の江の島シーキャンドルのようなものではなく、金網製のボックス製だったのだと教えていただいた。
旧展望灯台を拡大。江の島シーキャンドルとはだいぶ印象が違う
「あとは展望灯台っていうか、植物園の中に鳥園みたいなところがあって、オウムなんかがたくさんいて印象的でした。灯台の下に結構本格的なゴーカートコースがあって、乗りたかったけど結局乗れなかったのは覚えています」と井上さん。
鳥園もゴーカートも、現在ではもう残っていない施設だ。どうやら旧展望灯台時代にも展望灯台と植物園以外に観光客を楽しませる施設がたくさんあったようだ。
最後に訪れたのは、片瀬江ノ島の駅から徒歩で2分ほどの場所にある日本で唯一の灯台グッズ専門店「Lighthouse Keeper(ライトハウスキーパー)」さん。
店内は灯台関連の品々で埋め尽くされている
「旧展望灯台はもともと二子玉川にあって、敗戦後に江の島に灯台が必要だったってこともあり移設したんですよ」と教えてくださったのは、店主の山口さんだ。
やはり階段は急だった、ということをお話してくださった。
店主の山口義昭(やまぐち・よしあき)さん
山口さんが手に持っているのは江の島の新旧展望灯台のレプリカ(3900円)だ。ライトハウスキーパーさんのオリジナルで、数量限定生産になる。
40代から上くらいの年代の地元の方々から「江の島旧展望灯台のレプリカを作ってほしいという声が多かったので、制作に至ったのだという。完売後は生産の予定はないそうだが、現在はまだ在庫があるそうなので、キニナル方はぜひ今のうちに入手をおすすめする。
精巧に作られたレプリカ
現在の江の島シーキャンドルに建て替えられた当時は「江の島らしくない」とか「展望灯台らしくない」という声も聞かれたのだという。それだけ旧展望灯台が地元を始め多くの人たちに愛された証拠だったのだろう。
取材を終えて
1951(昭和26)年から2002(平成14)年まで江の島のシンボルだった旧展望灯台は現在でも覚えている方が比較的多く、いろいろな方にお話を伺うことができた。
もともとは落下傘の訓練施設だったことに驚かされたが、江の島へ移築され「平和塔」と呼ばれた旧展望灯台。観光名所として、江の島のシンボルとして多くの人から愛される存在だった。
旧展望灯台は無くなってしまったが、現在の江の島シーキャンドルも旧展望灯台から灯台の灯を受け継ぎ、海の安全を照らし出す民間灯台としての役目を今も果たし続けている。
―終わり―
取材協力
江の島シーキャンドル
住所/神奈川県藤沢市江ノ島2-3
電話/0466-23-2444
営業時間/AM9:00~PM8:00(最終入場PM7:30)
定休日/年中無休
HP/http://enoshima-seacandle.jp/
片野写真館(かたのしゃしんかん)
住所/神奈川県藤沢市江の島1-9-3
電話/0466-22-6804
営業時間/AM9:00~PM5:00
定休日/木曜
井上総本舗(いのうえそうほんぽ)
住所/神奈川県藤沢市江の島2-1-9
電話/0466-22-4640
営業時間/平日AM8:00~PM6:00
休日・AM8:00~PM7:00(平日・休日共に時間が前後する可能性有り)
定休日/金曜日(金曜が祝日だった場合は木曜日)
Lighthouse Keeper(ライトハウスキーパー)
住所/神奈川県藤沢市片瀬海岸1-12-23
電話/0466-28-2857
営業時間/AM10:30~PM6:30(季節によって変動有)
定休日/木曜
海軍少将さん
2015年11月04日 15時07分
昔「夢の乗り物エスカー」と云ふ看板があり行ってみたらエスカーでがっかりした記憶があるなぁ
あまえびさん
2015年08月18日 11時24分
旧灯台の踏板、所どころに隙間があって下が丸見えでスリルどころじゃない恐怖感を味わった記憶があります。
角さん
2015年08月17日 14時51分
ふるい灯台があったなんて知らなかった・・・・。