横浜の河川に存在する外来種がもたらす危険性とは?
ココがキニナル!
横浜の河川にいる生物の中に外来種がたくさん見つかったそうですが、これって困ったことなの?(カワイさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
外来種は種類によって生態系に大きなダメージを与えることがある。河川の水質は昔に比べて良くなってはいるが、外来種が増加しているので要注意!
ライター:吉澤 由美子
飲み水の安全確保、そして環境の保全という意味でも、大切な河川の水質。
磯子区にある横浜市環境科学研究所では、1973(昭和48)年から3年に1度、河川の水環境を評価する「川の生物相調査」を継続的に行っている。
環境科学研究所は、市電博物館近くにある
これは、雨や風、潮などの影響を受けて絶えず変化している水質を、市民が身近に観察することのできる生物によって、感覚的に評価できるよう始められたもの。
対象となるのは、魚類、底生生物(ていせいせいぶつ/エビ・カニ・貝類・水生昆虫など)、水草、付着藻類(川底の石などについている藻類)。
1~2mmというサイズの生き物も多い。これは、ウスイロオカチグサという貝
昨年7~9月に行われた調査では、鶴見川、帷子川、大岡川、境川、宮川、侍従川の6水系における41地点を調べ、今年4月にその詳細な内容と評価が発表された。
報告書には、調査地点の画像も掲載されている
※画像提供:横浜市環境科学研究所
水質自体は、「大変きれい」が19地点。「きれい」が14地点。「やや汚れている」が3地点。「汚れている」が2地点。残りの3地点は、潮の影響などを受けて指標となる生物が1種しか確認されなかったため「評価できない」となっている。
生き物による河川の水質評価 ※画像提供:横浜市環境科学研究所
調査を開始した1973年は高度成長期直後。当時は横浜の河川もかなり汚染されていた。しかし、下水道の普及率が上がるにつれ、年々水質がよくなってきているのが継続的に行われているこの調査ではっきりとわかる。
たとえば清流の女王、アユ。横浜市内の川に1960年代までいたとされていたアユだが、調査がはじまった1973年には姿を消していた。しかし、水質が回復してきた1993年にアユが横浜の川で確認され、以後、アユは多くの市内河川で確認されるようになり、今回の調査では今までの最高となる16地点で確認された。
婚姻色に変わった「さびアユ」※画像提供:横浜市環境科学研究所
ところが今回の調査では、外来種が増加しているという結果もでている。
そこで、外来種増加について、横浜市環境創造局政策調整部環境科学研究所の白栁(しらやなぎ)康夫さんにお話をうかがった。
「外来種でも生物自体に罪はありません」と担当課長の白栁さん
河川の生物相調査から浮かび上がる外来種の増加
外来種とは、自然分布では本来いるはずがない、人為的に持ち込まれた生き物。今回の調査では外来種を、外国からきた国外外来種、国内の別の地域からもたらされた国内外来種、そして、品種(品種改良された生物)としてまとめている。
研究所の入口には、メダカのいる水槽があった
今回の調査で発見された国外外来種は24種と過去最高に上り、うち4種ははじめて確認された。
国外外来種が全体に占める割合も上昇している。特に、純淡水魚(淡水中で生涯を送るコイやナマズなど)は24種中、国内外合わせて12種が外来種であり、半数にも上っている。
淡水魚の国外外来種は、画像の4種の他、観賞魚のグッピー ※画像提供:横浜市環境科学研究所
さらに、生息範囲を広げている外来種もいる。タイワンシジミは平成17年に初めて市内2地点で確認されたが、今回は11地点に増えている。
では、外来種はどんなリスクをもたらすのだろう。