白楽に手書きの看板の寄席がある?
ココがキニナル!
白楽の居酒屋さんが行っている「と味田寄席」ですが手書きの看板だけなので中の様子が気になります。ぜひレポートをお願いします。(ゆきむらさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
10月には通算300回を迎える地元の落語ファンから親しまれている落語会で、お店の横には立派な幟も並んでいる。
ライター:松野 孝司
桂才賀師匠との再会がきっかけで、若手の勉強の場として誕生
「横浜にぎわい座」があり、『笑点』の司会者で落語芸術協会の桂歌丸師匠の出身地であるなど、横浜は落語とは縁が深い土地柄だ。
「横浜にぎわい座」のように常に落語を開催している寄席を定席と呼ぶのに対して、落語家さんをお店や学校に招いて行う寄席を「出張寄席」と呼ぶ。六角橋商店街の「千代田湯」で行われている銭湯寄席も今回キニナルの「と味田(とみた)寄席」もそうだ。
お店は白楽の駅の西口。静岡銀行の横の路地を入ったところ
路地の入口には手書きの立て看板が
お店の横には「と味田寄席」という立派な幟のぼりがあった
さて、「と味田寄席」の舞台となる「味処と味田」は1972(昭和47)年にオープンしたご主人と奥さんの夫婦二人三脚で店を切り盛りしている小料理家風居酒屋。
白楽の駅から徒歩1分。駅前の路地を入った奥にある隠れ家的なお店で、寄席が開かれる日には、「と味田寄席」と文字が入った立派な幟がお店の入口に立てられる。自慢は新鮮な刺身をはじめ、自家製の塩辛や旬の焼き魚や煮魚などで、名古屋で修行を積んだご主人の冨田さんが作る味噌煮込みうどんも絶品だとか。
ご夫婦二人で切り盛りする家庭的なお店
さて、そんなご主人がお店で落語会を初めて開催したのは27年前の1985(昭和60)年。高校の同級生だった桂才賀師匠と再会して意気投合したことがきっかけだったという。
「共通の友人に連れられて、師匠がお店にやってきた。そのとき、師匠から『若手の修行の場として落語会を開きたいので協力してくれ』との相談を受けたんですよ」
人間国宝になった柳家小さん師匠の直筆の色紙
お二人は高校時代、才賀師匠が休み時間などに落語を披露する際には、ご主人が口三味線で出囃子を奏でたという間柄。本来なら二つ返事で引き受けたいところだったが、心に引っ掛かることがあった。
それは当時、才賀師匠は古今亭朝次と名乗っていた二つ目時代ながらも、すでに『笑点』の大喜利メンバーとして活躍していた人気者だったからだ。
寄席はお店の2階の座敷で開催。横須賀から足を運んでくれる常連も
「同級生とはいえそんな有名人に支払えるギャラは出せないと言ったら、『酒の2~3杯、飲ましてくれればいいよ』っていうから、こっちもその気になったんです」
まるで落語の人情話のようないきさつだが、以来27年間、忘年会の時期と重なる12月を除き、毎月第4水曜日に寄席を休むことなく開催するようになった。取材にお伺いした9月26日は299回目の会だった。