横浜市内に点在する杉山神社を全社制覇!vol.1
ココがキニナル!
横浜にはいたるところに杉山神社があり、「杉山神社」「杉山社」の名前で宗教法人登録されているだけで35社もあるそうです。とりあえず全部の杉山神社を回ってみませんか?(べいさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
今回は旧久良岐郡にある5社を調査。すると式内社としての杉山神社とは違う、新たな謎が立ちはだかった。
ライター:ほしば あずみ
横浜市と周辺のみに分布する杉山神社。江戸時代の地誌『新編武蔵風土記稿』には72社が記載されている。そのすべてをまわろうというのがこの企画。
プロローグはこちら。
今回は旧久良岐郡(およそ現在の中区、南区、西区、磯子区、港南区、金沢区)の範囲にある5社に狙いを定め、調査してみる。
グーグルマップでしめすとこのような分布
『新編武蔵風土記稿』によると、旧久良岐郡には堀内、戸部、岡村、蒔田、太田の5村に杉山神社があったという。そのうち杉山神社として現存するのは戸部(西区)、蒔田(南区)、太田(南区)。堀内と岡村の2社は杉山神社の名では残っていない。
旧国・郡別の杉山神社分布数。青色は合祀社(他の神社と合併した神社)を含めた数
※クリックで拡大します
なお、地図上では現在の区境をもとに色分けしたため、西区は旧橘樹郡内に含まれているが、西区戸部の社は旧久良岐郡内になる。また、この戸部の杉山神社については、
「西区総合庁舎の裏にある『杉山神社』にある大黒様は、俳優の黒沢年雄さんが寄付したようですが、黒沢さんと杉山神社の関係って?(きいちさんのキニナル)」
もあわせて調査したい。
黒沢年雄さんの大黒様(戸部の杉山神社)
戸部の杉山神社は京急「戸部駅」から徒歩10分程度、西区庁舎のすぐ近くにある。目の前の戸部公園は明るく開放的な憩いの場だ。
境内は静かで落ち着いた雰囲気
戸部社の御祭神は大己貴命(おおむなちのみこと)。出雲神話の「因幡の白兎」や「国譲り」といった伝説で親しまれている大国主命(おおくにぬしのみこと)の別名である。
明治以前の日本では「神仏習合」といって神と仏を一緒に祀るのは一般的だった。大国主命は仏教の大黒天(だいこくてん)と同一とされた。
大黒様発見。「奉納 俳優黒沢年雄 平成18年11月建立」の銘がある
黒沢さんが奉納した大黒様は境内の向かって左の片隅でにこやかに笑っていた。
神社の方に話を伺うと今は引っ越してしまったが、かつて黒沢さんは杉山神社の氏子(地域で神社を祀る人)だったのだそう。
「若い頃この辺りでさんざん悪さをしたから、その罪滅ぼしに神社に何か奉納したいと仰ったそうよ。それで神社にお参りにくる人みんなに見てもらえるものがいいだろうと、大黒様を建立したんです」と、境内を掃き清めながら神社の方は語ってくれた。
また境内には、少し変わった狛犬(こまいぬ)ならぬ狛ネズミも据えられている。
向かって右がオス、左がメスの一対の狛ネズミ
この狛ネズミの台座は回転するようになっており、ゆっくり回しながら祈願するとご利益があるのだそうだ。
ネズミは神話で大国主命の危機を救った事から、大国主命や大黒様のお使いとされている。
ちなみに狛犬は右の阿形(あぎょう)が玉を持ち、左の吽形(うんぎょう)は子連れ
1966(昭和41)年までこの周辺の地名は西区杉山町だった(現在は西区中央)。杉山神社の存在が大きなものであった事がしのばれる。