新市庁舎移転予定地からレンガ造りの謎の遺構!? 建設計画や予算に影響はある?
ココがキニナル!
新市庁舎予定地で逓信省灯台局などの建物と思われる遺構が。仮に重要な文化財だった場合は建設に大きな影響も。強引に建設を進めようとしている姿勢がキニナル(よこはまいちばんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
郵便や船舶、電信などを業務としていた「逓信省(ていしんしょう)」灯台局に関連するものの可能性がある。新市庁舎移転に大きな影響はない
ライター:はまれぽ編集部
旧逓信省の遺構?
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせて完成を目指す横浜市中区北仲通の新市庁舎の建設予定地からレンガ造りの建物の基礎などが見つかった。
新市庁舎建設予定地から見つかった建物の基礎(提供:横浜市)
基礎は2015(平成27)年3月19~24日にかけて実施した予定地の試掘調査の際に発見されたもので、横浜市によると、1923(大正12)年の関東大震災以前の建物の遺構である可能性が高いという。市では発掘の調査と準備工事のため、2億7400万円の補正予算を5月の市会定例会で承認。8月中旬ごろから2016年3月末をめどに本格的な発掘調査を行う。
では、この建物の基礎はどのようなものなのか。横浜市教育委員会生涯学習文化財課の重松馨(しげまつ・かおる)課長と廣瀬有紀雄(ひろせ・ゆきお)さんに聞いた。
お写真はNGということで
新市庁舎建設予定地は1859(安政6)年の開港時には沼地で、江戸末期から1868(明治元)年までに埋め立てられた。その後は日本人居住区のほか、郵便や電信、船舶業務を管理していた「逓信省(ていしんしょう)」の灯台局や神奈川新聞社の前身である「横浜貿易新報」の社屋があった。
1932(昭和7)年の地形図(横浜市ホームページより)
重松課長は「灯台局や横浜貿易新報、住居の一部だという可能性がある」とみている。
しかし、その重要性については「一概に評価できない」としながらも「みんなが知っていたり、横浜の歴史の分岐に大きくかかわったとか、ここにしかないという建築物でない。また、関東大震災の被害もあり、基礎部分だけで建物部分が残っているわけではない」との見解を示した。
アスファルト舗装の下にレンガの建物基礎が。すぐ上には破砕されたガレキ片
底にはレンガ片が堆積し、その下には関東大震災期の地業(ちぎょう)層が
本格的な発掘調査によって重要な遺構が見つかる可能性については「古い地図をひも解いてみたが、埋め立てた時期も考慮すると、試掘の段階では敷地内にそのような(歴史的価値がある重要な)建物があった可能性は低い」と分析。
さらに「建物部分が残っていれば価値は変わってくるかもしれないが、そちらも可能性は低い。今回のような遺構であれば測量図を作成して、写真を残すという対応が考えられる」とのことだった。
下水マンホールとみられる遺構。赤で囲った部分は積み足したレンガ