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洋食の街、横浜の料理人に密着「横浜コック宝」 真金町「狐狸庵」編

ココがキニナル!

横浜の洋食文化をつくった老舗洋食店の料理人に密着取材する「横浜コック宝」。第6回は、本当にコックの仕事が好きな真金町「狐狸庵」店主、白石功(しらいし・こう)さん。

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ライター:クドー・シュンサク

「お客さんの笑顔の『ごちそうさま』が本当に嬉しくてやってるんですよ。コックの仕事は・・・これが一番の、幸せですから」

洋食の街、横浜。変わらない、穏やかで、それぞれの確かな思い出がつまった横浜の洋食の味。そして、その文化。美味しい、嬉しい、いつもそばにある洋食を支え続けるコックさん。横浜が日本に、世界に誇る「横浜の洋食」を作るコックさんを、横浜の国宝としてその1日に密着し特集する「横浜コック宝」。
 


今回のコック宝はこの方

 
6人目の選出となる今回は、南区真金町で33年間、洋食の基本をベースに独自の味を作り続ける「狐狸庵(こりあん)」初代であり最後のコック白石功(しらいし・こう)さん。穏やかな笑顔と物腰の柔らかさがとても印象的な職人コック宝が作る隠れた名店の味とそのこだわりについて迫ります。
 
それでは。
 


始めたいと思います

 
「狐狸庵」名物のハンバーグ、そして珠玉のデミグラスソースが登場。
 
 
 

「狐狸庵」のハンバーグ



記憶を過去に辿る。洋食のお店は、印象に残る店が本当に多い。味、こだわり、その雰囲気やコックさんの人柄。
その中でも「もう一回どうしても食べたいな」と頭に浮かんだのが今回の「狐狸庵」のハンバーグとそのソースの味。
 
「ウチでよければかまいませんよ」と穏やかな快諾をいただき取材へ。
 


お店の場所は横浜橋商店街の一本裏通り

 

青い瓦が目印

 
街の景観になじんでひっそりと佇む洋食店「狐狸庵」。
午前9時をまわったころ、仕込みとお弁当の準備の前にお店へと伺う。
まずはコック宝のお話から。
 


あらためて今回のコック宝の白石さん

 
御年60歳の還暦を迎えた白石さん。コック歴は21歳から数えて40年。
17歳でコックに憧れ20歳で調理師学校に入学。21歳から大和市のレストランで修業開始。その後、山下町にある北欧料理のスカンディヤで3年間の修業を含む6年間、神奈川県内のレストラン4店でコックの礎を学ぶ。
 


27歳の時に独立し真金町に「狐狸庵」を開店

 
真金町を選んだ理由は「親戚がいたのもあって、幼いころからよくこの界わいで遊んでいたんです。いろいろな意味で魅力的な街ですし(笑)。なんか特別な思い入れが横浜のこの下町にあったんです」とのこと。

コックに憧れたきっかけは「17歳の時にアルバイトしていたレストランでお客さんが美味しかったと満足な笑顔で帰っていく姿を見て、こんなに人を笑顔にするいい仕事に就きたいなと思って。本当にそれからはコックになるしか頭になかったです」というもの。
 


厨房に入り仕込み開始
 

まずは
 

ボールに卵をといて牛乳と合わせはじめる


これがなんと、ハンバーグの仕込みだという。ひき肉にタマネギやパン粉や調味料やスパイスをという手順がセオリーの中、まず卵と牛乳を合わせる。各種調味料やスパイスも順に合わさっていく。
 


そこにあめ色に炒めたタマネギとパン粉が

 
それから素早く混ぜ合わせる。この手順は独自にあみだしたもので「こうすると、肉につなぎや調味料がまんべんなくなじむんです」とのこと。肉に調味料やスパイスがかたまって付着するのを防げるというワザ。
 


そこへ牛肉100%のひき肉を入れ
 

混ぜる
 

高速で混ぜる

 
まんべんなく、そして丁寧でいながらとてつもないスピードで混ぜ合わせる。
手の熱が肉にあたりすぎるのも良くないこともあり、高速で約1分混ぜ合わせ・・・
 


完成

 
これが「狐狸庵」のお客さんの9割が注文するという名物のハンバーグのタネ。
食材への細やかな気遣いが行き届いた職人技の仕込み。圧巻でした。


コックの仕事



ハンバーグの仕込みがひと段落したコック宝に質問をひとつ。

「洋食づくりのこだわりを、言葉にするとすればなんですか?」

この問いにコック宝は「洋食の基本、土台をしっかりやること。それに自分の経験や工夫を形にして・・・独自の味を作り上げることですかね」とのこと。
 


バットに敷き詰められた大量のフライドオニオン

 
「狐狸庵」のハンバーグのソースは4種類。その中でも「狐狸庵」の代名詞といえる「オールドスタイルソース」はハンバーグにデミグラスソースと少量のバター、その上にこのフライドオニオンがたっぷりとかかる。
 


「私がずっとこだわって作り続けるハンバーグです」

 
開店前、静かな店内に「ぱたっ、ぱたっ」という音と「グツグツグツ」という音が静かに響き渡る。
 


「ぱたっ、ぱたっ」とハンバーグの成形
 

「グツグツグツ」と厨房の中に広がる香ばしく芳醇なデミグラスソースの香り

 
「ぐるぅっ」と腹も鳴る。
 


ここからコック宝は

 

1時間余りで

  

次々と営業の下準備と
 

14人前のお弁当を素早く仕上げる
 

実に鮮やか

 
ここで静かに作業をしていたコック宝が口を開く。

「作っておいてもいいんですが、食べるお客さんのことを考えると温かくて美味しい状態で召し上がってほしいですから。バタバタしましたが、お弁当を取りに来る寸前に仕上げる、これもコックの仕事です」

その先には、お客さんの美味しい笑顔があるのを想像して作るとコック宝は続けた。
 


お弁当が仕上がり
 

ちょうど午前11時半の営業時間に

 
現在「狐狸庵」はコック宝と奥様の恵子さんとの二人三脚で店を切り盛りする。
その出会いは、コック宝が高校生のころ、通学途中の電車で見かけた違う学校の生徒だった奥様に一目ぼれをして交際を申し込んだところから始まったという。
 


やるなぁ

 
開店と同時にランチの予約のお客さんがやってくる。
コック宝は、また寡黙に手際よく、料理を作っていく。
 


その手際の良さと
 

盛り付けの
 

鮮やかさ
 

とても美味しそう

 
常連らしきお客さんたちもポツポツと来店し、さらっとハンバーグを注文。
さらりと食事をすませ「ごちそうさま」とコック宝に声をかけて帰っていく。
コック宝は「この瞬間があるから本当に幸せですよ」とこぼした。

「真心込めて作ると、お客さんの笑顔が本当に嬉しくてね」と続け、また仕込みに入るコック宝。
 


ランチの時間が終了の14時半に近づき

 
「お腹空いたでしょう。食べてほしい料理を出すので、ゆっくり休みながら食べてください」とのお言葉をいただく。
 


それでは
 

遠慮なく
 

いただきます


そしてお隣では。
 


コック宝ご夫妻もご一緒に