検索ボタン

検索

横浜のキニナル情報が見つかる! はまれぽ.com

  • 36年ぶりに完全復活「横浜銀蝿 40th」。オリジナルメンバーで再結成!
  • 神奈川県内の横浜家系ラーメン店がどこにあるか地図からすぐわかる!横浜の観光情報「よこはまっぷ」
  • イベント開催、店舗オープン、新商品発売などリリース情報を配信したい方へ
  • はまれぽ.comにあなたのお店・会社を無料で掲載しませんか?

山の中で船の研究? 川崎の謎の施設「艦艇装備研究所」に突撃!

ココがキニナル!

川崎の宮前区菅生ヶ丘10-1に謎の施設がある。調べると防衛省の艦艇装備研究所らしいですがなぜ山の中に船を研究する施設があるのでしょうか。なにを研究しているのでしょうか?(へこみんさん)

はまれぽ調査結果!

艦艇装備研究所川崎支所は、船体の磁気を軽減させるための研究施設。山の中にある理由は、研究の妨げになる余計な磁気を徹底的に排除するため

  • LINE
  • はてな

ライター:田中 大輔

片田舎の山奥だからこそ



さて、ここまでで、艦艇装備研究所川崎支所がどんな役割を担っているか、なんとなくは分かってもらえたのではないだろうか。となると、やはりキニナルのは、なぜ山の中で実験を行っているのか、だ。

 

陸地にある研究所(Googlemapより)
 

まず、素人考えだと、船の研究だから海辺となりがちだが、考えてみたら毎日実験をするのに実船なんて使っているわけがない。毎回、あんな大きな船を使うとなると、人数も敷地も設備もとんでもない規模が必要になってしまう。

前述の通り、川崎支所でもミニチュア化した模型を用いて実験を行っている。となると、必ずしも海に近い必要はない。

 

かつて使われていた船体模型。昔から、模型で実験している(画像提供:艦艇装備研究所)
 

というか、実は川崎支所の実験内容からすると、海の近くはむしろ不向きなのだそうだ。
海の近くとなると船が近くを航行しているわけで、先述の通り、船は磁気を帯びている。この通りすがりの磁気の固まりが実験に影響を与えかねないのだ。

実は、研究の始まった昭和30年代には、磁気の研究も本部のある目黒の施設で行われていた。しかし、恵比寿駅近くにある研究所の周りには、電車も車もビュンビュン通っている。これらもまた、船同様に磁気を帯びているのだ。

船の通る海の近くもダメ、電車や車の多い都会もダメ。
ついでに言うと、飛行機の集まる空港の近くもアウトだし、マグマも磁気を発するそうだから火山の近くや温泉地も使えない。

 

点線で囲まれた研究所の敷地。ほとんど緑(画像提供:艦艇装備研究所)
 

つまり、磁気を発するものから離れていることが絶対条件になるから、場所は自ずと限定されるというわけ。

1961(昭和36)年から現在の場所で研究が行われているが、目黒からの移転に際しては10ヶ所ほどの候補地から、調査の結果としてこの場所が選ばれたのだそうだ。

鉄道からもある程度の距離があり、前を通る道路もそれほど交通量が多くない。周辺は影響がほとんど出ない民家ばかり(民家は研究所より後から建てられたものが多いが)。そういったあらゆる条件をクリアしたあの場所が、磁気の研究をするには持ってこいの場所だったというわけだ。

 

研究所内の建物も実は・・・
 

施設が敷地の中心に集められて外周が雑木林になっているのも、一見すると無駄に思えるが、周囲からの影響を極力避けるための工夫なのだそうだ。

もっと言えば、実験装置の置かれた建物は、国の研究所にも関わらず木造。鉄は磁気を出してしまうからだ。装置そのものも、木や真鍮(しんちゅう)など磁気の出ない素材で作られるなど、とにかく徹底的に余計な磁気を排除しているのだ。



取材を終えて



この研究所、自衛隊の艦艇の安全に直結する事柄を研究しているわけだが、実は10人規模で運営されている小さな研究所でもある。内容が特殊過ぎて民間技術への応用なども望み薄なため、研究者も少なく技術分野としてはかなり小さいそうだ。

 

いかに効率的に磁気を低減できるかに日々頭を悩ませている(画像提供:艦艇装備研究所)
 

海上自衛隊の掃海艦艇(機雷を撤去するための船)は、種類・規模ともに主要国の中でもトップクラスだったりする。日本が当事者として、あるいは近隣国で有事が起きた際、また遠くの国での戦争が終わった場合でも、海上自衛隊が機雷撤去を請け負う可能性がある。

放っておけば、機雷のある海を通るすべての船が、軍艦だろうが民間船だろうが、どこの国籍かも問わず、危険にさらされる。その危険を取り除く掃海作業を安全に行うために、川崎の山の中で少数精鋭の研究者たちが働いている。

あまり知られてはいないが、艦艇装備研究所川崎支所は10人足らずの人たちがひっそりと、海の安全や自衛隊の船の安全を守るために活躍をしている場所だったのだ。


―終わりー
 
 

この記事どうだった?

  • LINE
  • はてな
コメントする
  • まさか聖マリアンナ医大病院のすぐ裏にそんな施設があるとはwつまり、電車も車も通らないド田舎ってことですかねー。地元民としてはちょっと複雑です。まあ病院施設があるわけだから閑静な場所ってことなんでしょうけど。

  • 機雷を除去する掃海艇はFRPだったりもしますが、割と最近まで木造船でした。船体が非鉄金属製でも内部の装備等は磁気を帯びたり発したりするものがあるので、こういう研究は必要ですね。

  • 現場で実際に機雷を撤去する船はFRP船なんだってね。金属製ではないそんな特殊船舶もやっぱり更に磁気対策するのだろうか?

もっと見る

おすすめ記事

かつて兵器を研究していた「陸軍登戸研究所」はどんなところ?

思わず働きたくなる! 社員満足度ナンバーワンを目指し、業界の“当たり前”に挑戦し続ける横浜の運送会社

  • PR

金沢区にある謎の施設「日本缶詰協会研究所」って何?

【スタッフも募集中】「東宝タクシー」の新しい取り組みがすごすぎる!鶴見の名所巡りをしながら聞いてきた

  • PR

お三の宮通りにオープンした、ゆるキャラのいるお店の正体は?

横浜中華街で横浜のソウルフード「ブタまん」を提供する創業明治27年の老舗・ブタまんの「江戸清」

  • PR

横浜駅周辺の津波対策を教えて!

野毛のリトル大分で郷土料理と銘酒を存分に味わう「如水」

  • PR

こんな記事も読まれてます

横浜の高齢化対策の現状は?明日は敬老の日【編集部厳選】

相鉄・東急直通線の新横浜駅がついにお披露目!見学会に参加してきた。ダイヤ概要も発表!

「元町」の道路標識が黄色と黒の理由を教えて!

59年の歴史に幕! 5月31日に惜しまれつつ閉店した「さいか屋川崎店」最後の瞬間をレポート!

新横浜の鳥山大橋の横にある巨大な謎の2本の円柱、中はいったいどうなっている?

みなとみらいに取り残された「ジョナサン」の真相は?

東日本大震災から4年! 6万人の帰宅困難者が予想される横浜市中区で対策訓練を実施!

お三の宮通りにオープンした、ゆるキャラのいるお店の正体は?

新着記事