ラーメン激戦区・東白楽に集まる「北海道ラーメン」とは?
ココがキニナル!
東白楽駅近くに、北海道ラーメンの黒というお店が移転、さらに東神奈川駅近くにあったしゅんという北海道ラーメンのお店も移転。家系のみならず、北海道ラーメンが熱くなる兆し?気になります(ケミ子さん)
はまれぽ調査結果!
「北海道らーめん しゅん」と「北海道ラーメン黒」は、どちらも「来々軒」から独立した店で札幌の西山製麺の麺を使用! 東白楽への移転は偶然だった
ライター:大和田 敏子
「札幌ラーメン」はよく聞くが、「北海道ラーメン」というのは耳慣れない。けれども、北海道のラーメンといえば「モヤシがたっぷりのって、コーンにバターがトッピングされた、濃厚なみそラーメン」みたいなイメージなのだが、果たしてどうなのだろう。
北海道ラーメンってこんな感じかな!?(フリー画像より)
ちょっとインターネットで調べてみると、北海道には札幌の「みそラーメン」、函館の「塩ラーメン」、旭川の「しょうゆラーメン」と「3大ご当地ラーメン」があるらしい。それなら、北海道ラーメンはその全部があるの!?
考えていても仕方ないので、とにかく、「北海道ラーメン」を食べに行ってみました!
ラーメン職人歴45年超、熟練の味「北海道らーめん しゅん」
東急東横線東白楽駅を出てJR東神奈川方面へ・・・
徒歩5分ほどで「北海道らーめん しゅん」に到着。新しそうな店!?
それもそのはず、こちらの店のオープンは2016(平成28)年7月27日、オープンから1ヶ月ほどしか経っていない。店主は、大窪俊治(おおくぼ・しゅんじ)さん。自身の名前からとって店名は「しゅん」にしたという。
なぜか「ロサンゼルス出身」と言い切る大窪さん。ユーモアあふれる63歳!
実は「しゅん」はオープン以来、2度目の移転となる。大窪さんが独立して「しゅん」を開店したのは2002(平成14)年ごろ。弘明寺と蒔田の間あたりで8年ほど営業し、2011(平成23)年3月に東神奈川に移転。今回は、そちらに新しくビルが建つことになったために、もう1度移転することになった。
常連のお客さんも多いのであまり離れていないところに、と探しているなか現在の場所を見つけたといい、最寄駅は違うものの、同じ町内での移動となった。東神奈川駅からも徒歩圏内だ。
カウンターだけの店だが、居心地の良さそうな雰囲気
さかのぼって、大窪さんがラーメン店で修業を始めたのは15歳のころ。札幌のラーメン店からスタートし、後に北海道の有名ラーメン店「来々軒」へ。その「来々軒」が伊勢佐木町1丁目の裏手に店をオープン後、大窪さんも間もなく横浜へ移った。今から30年ほど前のことだ。
北海道ラーメンの老舗「来々軒」
15年以上「来々軒」でラーメンを作り続け、総支店長まで務めた
修業時代や北海道から横浜に来たばかりのころの話も聞かせていただいた。
北海道時代の味でラーメンを出すと、こちらでは、「辛くて食べられない」と言われたそう。最初は「トウガラシ的な辛さ」のことを言われたのかと思い、辛いラーメンを出しているわけではないのにと戸惑ったそうだが、つまりは「味が濃すぎる」という意味だったらしい。
そのため、次第に関東の人に合わせて味を変えてきたという。また、コシのある麺を使用しているため、それに慣れていない人たちからは「この店は麺を生で出すのか」と苦情を言われることもあったとか。
「しゅん」では札幌にある西山製麺の麺を使っている
西山製麺は、大窪さんが札幌の店に勤めている当時から馴染みの製麺所。西山製麺の独特な卵麺について大窪さんは「製麺所のすぐそばに化粧品会社があって、化粧品で卵白を使用した際の卵黄が余ることから、それを使えないかと声をかけられ、玉子を麺に混ぜたことが玉子麺の開発につながった」という興味深い話も聞かせてくれた。
それでは、ラーメンを作っていただこうと、「お薦めは?」と伺うと・・・
「どの店でもメニュー全部がオススメでしょ?」 と大窪さん
「失礼な聞き方をしてしまったかな」と思っていると、「『味噌らーめんが一番出ますね』と言うと、俺みたいにひねくれた奴が『じゃあ正油らーめんで』とか言うんだよね」と笑顔で続ける。ユニークで優しい人だ。
迷ったあげく、店で一番人気という「味噌らーめん」を作っていただくことに。
背中に感じる熟練のラーメン職人のオーラ
こちらが「味噌らーめん(800円)」
たっぷりのモヤシとネギ、メンマ、チャーシュー、ノリがのったラーメンだ。
豚骨ベースのスープ、意外に薄い色!?
豚のげんこつを割って煮込み、しっかり灰汁(あく)をとったスープ。相性の良い、長野県の白味噌を使用しているという。
黄色がかった縮れ麺。これが西山製麺の玉子麺だ!
さて、お味は・・・!?
まずは、本日の実食担当は、はまれぽメンバー初登場の熊本から
「やさしい味ですね! みそというと甘くて重いスープのイメージがあったんですが、すごく食べやすいです。しっかりとみそのコクもあって美味しいです」と熊本。
コシのある麺がうまいっす!
もちろん、筆者も指をくわえて見ているわけにはいかない。
いただいてみると、確かに、味が濃すぎず、どちらかというとあっさりしている。けれども、ピリッとした辛みが!? ほんのり甘みを感じられる麺に、すごく合うスープだ!
「みそラーメンは豚汁にラーメンを入れたようなものだから、トウガラシは定番だね。カプサイシンが身体に良いとかなんとか言われる前から、北海道ではトウガラシを入れているよ」と大窪さん。なるほど、そういうことだったのか。
若いお客さんには、ヒミツの「旨味あぶら(写真NG)」を追加する人が多いとか
最後に、大窪さんに耳馴染みのある「札幌ラーメン」でなく「北海道ラーメン」としてお店を出した理由を聞いてみた。メニューとしては北海道の各地で有名な「みそ・塩・しょうゆ」の3種類をしっかり押さえているが、まとめて「北海道ラーメン」としたわけではなく、「北海道ラーメンでも札幌ラーメンでもどっちでもいいんだけどね」と、そこに大きなこだわりはないようだ。
しかし、「北海道ラーメン」というものについては、「北海道の西山製麺の玉子麺を使っているということが1つあるね」とのこと。
北海道ラーメンという一つの形があるわけではない
「札幌はみそラーメン発祥というところがあるが、函館の塩、旭川のしょうゆというのは、実は観光向けにつくられてきたイメージの部分も大きい」と大窪さんは言う。北海道のラーメンが全国区となる以前からラーメンを作り続ける大窪さんから、興味深い話をたくさん聞かせていただいた。