横浜でやるべき？

2020年の東京オリンピック・パラリンピックのバレーボール競技の開催会場について、東京都江東区に新設する「有明アリーナ」か「横浜アリーナ」にするかを協議していた大会組織委員会・政府・東京都・国際オリンピック委員会（IOC）の4者会合は、11月下旬に出すとしていた結論を、12月下旬に先送りにした。

当初「有明アリーナ」を新設した場合は約400億円の費用が必要とされていた。それが横浜アリーナの場合だと、観客席やウオーミングアップコートの整備などが必要だが、約7億円で抑えられる試算となっていた。
　

横浜でオリンピックが見られるの？
　

延期決定を受け、横浜アリーナの尾崎英之（おざき・ひでゆき）社長は「横浜アリーナとしては、これまでと同様に、今後正式に要請をいただくことがあれば、横浜市と連携しながら、しっかりと対応していきたい」とコメントしたが、前述のように施設改修だけでなく、ほかの課題も残る。

観客がアリーナに入るための入場経路や待機スペースを確保しなければならないが、横浜アリーナ周辺は公道となっている。
　

横浜アリーナだけでは対応しきれない問題も
　

この点については、横浜市市民局スポーツ振興部スポーツ振興課が「正式に（横浜アリーナに）決まった場合には、市有地を提供できるかなども含め、関係者と調整を行う」と回答。

費用負担や整備計画については「横浜市がすべて費用を負担しなければならないのか、計画を作るのも横浜がイチからやるのかということは、正式に決定されるまでは検討のしようがない」とした。

横浜の人の声は?

では、決定延期について横浜市民はどう思っているのか。横浜駅を中心に、横浜在住・在勤の男女計25組の声を聴いた。

20代カップルからは「『東京オリンピック』と名乗るのだから、東京で開催したほうがいい。横浜アリーナだったら身近なので、見に行くという気分になりそう」という女性と、「横浜“でも”いい、という感じ。市長がどっちつかずの対応だが、予算のこともあるし、早めにはっきりしたほうがいい」という男性の声。
　

「ヨコアリなら見に行くかも」
　

中には財政的な観点から「横浜開催」を積極的に推す意見もあった。

横浜在勤の40代男性は「バレーボールに興味はないし、横浜開催だとしても見に行かないが、新しいハコモノは必要ない。現存施設を活用できるなら、国全体で費用を浮かせるべき」という見解。
　

「既存施設活用で経費削減を」
　

また、市内在住30代男性からは「仮に有明に作ったとして、五輪のために作った施設を活用できている国は多くないと思う。約7億円でできるのなら、現存施設を使ってほしい」との意見だった。
　

「横浜アリーナならば見に行く」
　

さらにこの男性は「横浜市民としては、横浜で開催してほしい。横浜の名前が歴史に残るのは嬉しい」という、横浜愛を打ち明けてくれた。

一方で、「延期になったことすら知らない（20代女性）」、「どっちでもいい。費用が安いと聞いたので、どちらかというと横浜アリーナ（10代女性）」という「関心がない」という人たちも。
　

「興味がないから、見にも行かない」
　

「興味がない」という人の中には、「そもそもオリンピックに興味がない。住んでいるところの近くで開催されると混雑するので、やってほしくない（10代女性）」という声もあった。

取材を終えて

各種報道によると、会場の正式決定はクリスマス前後になる見込み。サンタクロースが横浜に届けるのは吉報か否か。動向を注視したい。


―終わり―