横浜・関内マリナード地下街のストリートピアノに迫る!
ココがキニナル!
関内の地下街に誰でも弾けるストリートピアノが置かれたそうです。どんな人が弾きに来るのか気になります(ハムエッグさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
関内のマリナード地下街に置かれたストリートピアノは多くの音楽好きが集い、演奏を楽しんでいる!演奏可能時間は午前5時から深夜24時まで。関内駅に降り立った時、誰かの生演奏が聴けるかも!?
ライター:濱絵美
横浜市営地下鉄ブルーラインの関内駅から直通している、マリナード地下街。関内駅を使う人は、かなりの確率で地下街を歩き、買い物をしていることだろう。
そんなマリナード地下街に誰でも弾けるストリートピアノが置かれたという情報が入った!海外で火がついたストリートピアノは現在、日本各地にも広まりを見せ始めている。そのタイミングでこの投稿とは・・・「ついに横浜にもストリートピアノが!」と、喜び勇んで実情を探りに現場へ直行した。
そもそもストリートピアノって?
世界各地で増殖中のストリートピアノ。これは誰でも弾くことができる公共のピアノだ!今となっては世界規模の大きなプロジェクトになっている。
Street Pianos公式サイトより(出典:http://www.streetpianos.com)
ストリートピアノはイギリス・バーミンガムから始まった。2008年、街中に突如として現れた「Play me, I’m yours(弾いて!あなたのピアノよ)」と書かれたカラフルな15台のピアノに数多くの演奏者が集まり、聴く人々の笑顔をさそった。当初バーミンガムでは3週間限定の試みだったが、このハッピーな取り組みは世界中からラブコールを受け、ブラジルのサンパウロやオーストラリアのシドニー、アメリカのニューヨークなど、世界中へと広まっていったのだ。
ストリートピアノの分布図を見てみると・・・
「Street Pianos」公式サイトより(出典:http://www.streetpianos.com)
ヨーロッパやアメリカは設置場所が多すぎて、もはや場所さえよくわからないほど、今、世界中でストリートピアノがアツい!
ストリートピアノプロジェクトを発案したのは、イギリスを拠点に活動するインスタレーション・アーティストのルーク・ジェラムさん。駅や公共の場は、同じ空間で同じ時間を過ごしているにも関わらず、沈黙しているだけのコミュニティが多いのでは?と感じ、その解決策としてこのプロジェクトを閃いたそう。
沈黙の解決策として公共のピアノを置いてしまえ!という発想が、斬新かつおしゃれではないか!
でも我ら日本人は、ちょっとシャイなタイプが多い国民性。見知らぬ人達の前でいきなりピアノを演奏するのはかなり中々ハードルが高そうにも思えるけれど、そこはどうなのだろうか?
とりあえず一度現場を見てみないことには・・・とカメラを片手に現地へ向かった。
ストリートピアノに密着!
市営地下鉄ブルーラインの関内駅6番出口は、そのままマリナード地下街に直結している。ストリートピアノを探しつつ地下街を直進していくと、ト音記号と「Share the sound of music」と書かれた階段が!
右側は鍵盤になっているデザインがかわいい!
まだこの場所では音は聞こえない。でも「この先に絶対ピアノがある!」と予感させる階段なので、登っていくと・・・。
あったーーー!!しかも絶賛演奏中!!
ピアノが設置された床や壁は赤く装飾され、まるでちょっとしたステージのようだ。しかも一人のピアニストが演奏中の上、その演奏に通行人が足を止めて聴き入っているではないか。日本人はシャイな国民性うんぬん・・・なんていうことは、いらぬ心配だったようだ。
ベートーベンから椎名林檎まで幅広く演奏していた、nemuさん
まずは演奏者一人目!実家に帰省する途中に、お母様と一緒に立ち寄った、若き奏者、nemu(ねむ)さん。もともとクラッシックピアノを習っていたが、耳コピでポップスも演奏する。
自分の演奏を多くの人に聞いてもらいたい!との思いでストリートピアノに初チャレンジしたとのこと。
楽譜がないにも関わらず超絶技巧(ちょうぜつぎこう)が止まらない!
施設やホテル、ホールにピアノを置いている場所は珍しくないが、多くが「触れないでください」と無情な注意書きがある。nemuさんは「関内のストリートピアノは実際に弾けるから嬉しい!」と顔をほころばせていた。
nemuさんの演奏が終わってから時間を空けることなく、次の演奏者が!反町で居酒屋を経営する福嶋弘子(ふくしま・ひろこ)さんは、関内で済ませてきた用事のついでにストリートピアノデビュー。
「LAのストリートピアノでオリジナル曲を弾いてみたい!」と福嶋さん
「最近は全然ピアノを弾いていなくて、すごく久しぶりなの。弾けるかわからないわ」と言いながらも、奏で始めた曲は、ショパンの『ワルツ7番』。更に福嶋さんの奏でる素敵な音色は、通行人の足を止めるだけに留まらなかった!
一人の男性がピアノを弾きたそうに福嶋さんの演奏を覗き込む。きっと以前、ピアノを習っていたのだろう。福嶋さんが席を譲ると、男性は懐かしそうにピアノに触れた。
「その曲、俺も弾けるかも!」と言う男性にバトンタッチ
過去に高校の美術教員として働いてきた福嶋さんは、まるで生徒を見守るかのように微笑みながら寄り添う。ここで初めて出会う人同士の、心温まるコミュニケーションこそ、ストリートピアノの醍醐味。音楽って、ピアノって、人間って素敵だなあ!
久しぶりに触れるピアノにワクワク
ストリートピアノはみんなのピアノ。弾ける、弾けないに関わらず、ピアノを弾いてみたい!という人なら誰でも大歓迎なのだ!
お次はネクタイをしたビジネスマン風の「横浜市民の男性さん」。
顔出しNGで残念!「横浜市民の男性さん」は選曲で通行人を魅了する
関内駅に降り立つことはこれまでほぼなかったけれど、ストリートピアノが設置されてからは下車する機会が増えたそう。そう言って披露してくれた曲は・・・
なんと『ラジオ体操第1』!
すると・・・曲に合わせて体操を始める人が続出。体を動かさないまでも「あ!ラジオ体操の曲だ!」と言いつつ、顔をほころばせる。ピアノの力が、こんなにも人の感情を動かすって、本当にすごい。
ちなみに彼は『ラジオ体操第2』までしっかりと演奏をしてくれた後、京浜東北線の発車メロディメドレーを華麗に披露していた。
そして関内のストリートピアノ名物と言える存在が、佐藤靖子(さとう・やすこ)さん。難易度が高いことで知られるリストの『愛の夢』を、なんとも情景豊かに弾き上げる。
佐藤さんが演奏するリストの『愛の夢』は、一番の盛り上がりを見せていた
多くのオーディエンスが足を止めて、演奏に聞き入る
ご近所にお住まいの佐藤さんは、週1回程度ストリートピアノを弾きにくる常連さん。大勢の人に見てもらえる緊張感が、練習の仕上げにはちょうど良いそうだ。