景観が台なし!? 本牧通りの桜の木が大量に伐採されているのはなぜ?
ココがキニナル!
本牧通りの三之谷~二之谷バス停にかけて桜の木が伐採されました。景観を損なうほど、大量の桜の木を同時期に切り倒す必要があったのでしょうか。残酷な伐採に住民の声は反映されたのでしょうか(masasさん)
はまれぽ調査結果!
老朽化により倒木の危険性がある桜の木を植え替え更新中。意見交換会を実施するなど、地域住民が合意した計画で、6年かけて終わらせる予定。
ライター:幸谷 亮
山手警察署前から間門(まかど)交番前をつなぐ本牧通りの歩道には、およそ2kmにわたってソメイヨシノが並び、例年3月下旬から4月上旬にかけて華やかな桜並木が堪能できる。地元の方はもちろん、ドライブがてらに車窓から桜を楽しむ見物客などもおり、花見スポットとしても有名な通りだ。
近くには観光地としても有名な三渓園がある(Google mapより)
本牧通りに春の訪れを告げる桜(画像提供:横浜市中土木事務所)
しかし、である。そんな本牧通りの桜並木に異変が起きているらしい。キニナルに寄せられた投稿によると、どうやら「三の谷~二の谷バス停にかけて桜の木が大量に切り倒されている」とのこと。
三の谷~二の谷バス停の地図(Google mapより)
それが事実であれば、そろそろはじまる花見にも影響しかねない。
そこで、なぜ大量の桜の木を同時期に切り倒したのか、そして、それはどこでどのように決められ、住民の声は反映されたのか。これらのキニナルを解決するため、本牧通りの桜並木を管轄する中土木事務所へ向かった。
関内駅から徒歩7〜8分で到着
2011年の台風15号がきっかけとなった
さっそく、道路係長の曽我公一(そが・こういち)さんに質問をぶつけてみる。
まずは、桜の木を切り倒す経緯について確認すると、「そもそものきっかけは、2011(平成23)年に発生した台風15号により、本牧通り沿いの桜の木が倒れたことです」と曽我さん。
台風15号の影響で桜の木が1本倒木(画像提供:横浜市中土木事務所)
台風15号による被害は、曽我さんが中土木事務所に赴任する以前の話ということで、当時の状況を推測であると前置きしたうえで教えてもらった。
「何十年も前に植えられた桜の木なので、老朽化を懸念する声が上がっていたのは確かです。しかし、景観を損なうおそれのある桜の木の整備を、倒木など何の問題もないまま横浜市の独断で進めるのは難しい状況だったと推測できます」と説明してくれた。
本牧通りには老朽化により衰弱している桜の木が多数見られる
とはいえ、大きく成長しすぎたことで根上がりを起こした桜の木は、歩行者の通行の妨げになるだけでなく、倒木にもつながりかねない。中には傾斜している木もあり、危険であることに間違いはない。
そんな最中、台風15号により桜の木が実際に倒れる事故が起こったことで、本格的に調査に乗り出したのだ。
根上がりにより浮き上がった歩道
中土木事務所では、2008(平成20)年と2011(平成23)年に桜の木の健康状態を調べるために、樹木医による街路樹診断を実施している。診断の内容は、「外観診断」により、樹幹の内部などに過度な腐朽(ふきゅう)が発見された樹木を対象に「精密診断」を行い、樹木の強度を計測するというもの。
街路樹診断の様子(画像提供:横浜市中土木事務所)
腐朽の原因にもなる「キノコ」が生えている桜の木も
その結果、本牧通りに植えてあった296本の桜の木の内、およそ4割にあたる115本が「近い将来、腐朽により倒木するおそれがある」と診断された。よって、「植え替え更新が必要」と結論づけられたのである。
大量の桜の木を同時期に切り倒す理由とは!? キニナルつづきは、次のページ!≫