景観が台なし!? 本牧通りの桜の木が大量に伐採されているのはなぜ?
ココがキニナル!
本牧通りの三之谷~二之谷バス停にかけて桜の木が伐採されました。景観を損なうほど、大量の桜の木を同時期に切り倒す必要があったのでしょうか。残酷な伐採に住民の声は反映されたのでしょうか(masasさん)
はまれぽ調査結果!
老朽化により倒木の危険性がある桜の木を植え替え更新中。意見交換会を実施するなど、地域住民が合意した計画で、6年かけて終わらせる予定。
ライター:幸谷 亮
“景観を損なうほど、大量の桜の木を同時期に切り倒す”必要性
ここで、今回のトピックでもある “景観を損なうほど、大量の桜の木を同時期に切り倒す”必要があったのか聞いてみた。すると、「倒木の危険を伴う桜の木を優先的に伐採した結果」とのこと。「それ以外の木は、2015年度から2020年度の6ヶ年計画で植え替え更新をする予定です」と説明してくれた。
【上】緊急対応で優先的に伐採された桜の木。幹の内部は腐朽して空洞化している
これらの切り株は2017(平成29)年3月現在も切り倒されたまま
また植え替え更新は、景観の急激な変化や樹勢(じゅせい:樹木の生育状態)、そして施工性に配慮することを目的に、複数のエリアに分けて計画。
ちなみに、キニナルにも寄せられた三の谷~二の谷バス停周辺は、2016(平成28)年度の植え替え更新するエリアに該当するということで、2016(平成28)年12月から作業を行っていたそう。なお、2017(平成29)年3月現在、2016年度分の作業はすでに終了している。
投稿に寄せられたエリアは2016年度の更新計画に該当(Google mapより)
2016年度の更新で植え替えられた桜の若木
古い桜の木と比べると違いは一目瞭然
2015(平成27)年度の植え替え更新はこのエリア(Google mapより)
2017年3月17日で2016年度の更新作業は終了(画像提供:横浜市中土木事務所)
なお、花見にも影響しかねない12月から植え替え更新をする目的としては、「専門外なので確かな知識ではない」と前置きした上で、「桜の木の植え替えには適期というものがあって、1月から3月などの寒い時期に更新するのが一般的」と教えてくれた。
時期も時期なので、肝心の花見のシーズンに桜の花が開花しないことは想定の範囲内である。しかし、更新作業の1年目にあたる2015年度の植え替えの際は、想定を裏切り見事に開花したそう。
今年も開花してくれることを願うばかりだが、「植え替え更新をしたその年に開花するかどうかというよりは、もっと長いスパンで考えているので、そのときに立派な桜を咲かせてくれれば」と願いを込める。
【左】植え付け直後の3月 【右】桜開花時の4月 (画像提供:横浜市中土木事務所)
最後に、植え替え更新の計画はどこでどのように取り決められたのか伺うと、「まずは、街路樹診断を実施した後の2013(平成25)年2月、町内会や自治会の会長、そして連合町内会長など、およそ15名にお集まりいただき、『本牧地区センター』で《第1回街路樹更新計画検討会》を行いました。そこでは、街路樹診断の結果を元に桜並木の現状をお伝えすると共に、意見交換や今後の進め方を話し合いました」とのこと。
参加者からは、「不健全な状態であれば、どんどん植え替えるべき」「植え替えるにあたり歩道の幅員などの条件があるのであれば、その条件を満たした計画案を示してほしい」などの意見が出たそう。
第2回検討会は、同じく「本牧地区センター」で同年9月に開催され、第1回検討会に出た意見を元に、仮の植え替え更新計画や更新の手順などを伝えたそう。
その結果、「横浜市は将来も桜並木を残すための更新計画を立てているのだから、一時的に桜が切り倒されたとしても、景観を持続する」という意見でまとまったとのこと。さらに、「樹種はソメイヨシノにする」「検討会だけでなく、地域住民が合意した計画にするべき」などといった決定がなされた。
本牧通りのソメイヨシノ
地域住民へは、本牧通りの桜並木の現状や診断結果、検討会で議論した内容、そして今後の進め方などの詳細をまとめた「本牧さくら通信」(※記事の最後にリンク)を発行して、回覧板という形で周知。もし意見がある場合は、中土木事務所に問い合わせるように促していた。
なお、本牧通りの桜並木と並行して、「本牧桜道」に植えられた41本の桜の木も診断済み。本牧通り同様、検討会で診断結果を伝えたのち、意見交換会を実施。老朽化した17本の桜の木の植え替え更新作業を2015(平成27)年度から5年かけて終わらせる計画である。
三渓園に続く本牧桜道
2016年度は中区本牧和田11番1号地先から27番14号地先まで整備(Google mapより)
歩行者の安全も考慮した更新計画が進行中である
取材を終えて
中土木事務所の曽我さんいわく、植え替え更新の作業中に周辺住民の方から「伐採した桜の枝が欲しい」とお願いされることもあったそう。それだけ周辺住民の方にとってかけがえのない本牧の桜。そういったこともあり、曽我さんも特別な思いを持って事業に取り組んでいる様子だった。
普段は「花より団子」と言わんばかりに、桜の下でドンチャンすることが主な目的になっているが、今年の花見は、花をメインに団子を楽しもうと思った取材でした・・・反省。
―終わり―
横浜市中土木事務所「本牧さくら通信」
ホトリコさん
2017年03月24日 13時02分
桜ヶ丘の桜を思い出しますが、植え替えならまだ良かったのでは?やむを得ないのかもしれないが、根っこ跡までアスファルトで埋められて「桜ヶ丘なのに桜はないね」と、過去を知らない子供たちの悪気はないのにキツイ質問されそうな事態よりはマシなのかな?
向かいの丘さん
2017年03月22日 11時10分
川崎では強風で倒れた木で頭を打ってお子さんが亡くなる事故もありましたし。だいたいソメイヨシノの寿命はあまり長くないそうですね。人間程度という話も聞いたことがあります。もったいないし可哀想だけど、植え替えはやむを得ない気がします。
bubukaさん
2017年03月21日 06時54分
物言わぬ桜は切り落とせるが、津波などの際に二次災害を起こしうる石川町の不法係留巨大ハシケには何十年も手出しできぬ素敵な腰抜け行政ということか。