【GW特別企画】GWに行きたいオススメのスポットはどこ?(鎌倉・横浜編)
ココがキニナル!
いい店はただでさえ人気があるけれど、GWは煩悩を爆発させて、気の向くままに鎌倉から横浜にかけていろいろ名所を歩いてみるべき
ライター:永田 ミナミ
大仏、海に乾杯
大仏は大仏ビールを取り出すと、口にふくんでみた。はじける泡と口のなかに広がるほろ苦さとほんのりとした甘さ。そして何とも香ばしい。
戒律違反かどうかグレーゾーンの飲み方で飲んでみたところ
ビールが、とても美味しいと知る
今日はもう戒律のことを気にするのはやめよう。今日は思いきり羽目をはずしても、明日からはまた坐禅を組み続けられる。それでこそ悟った者だ。
そう考えて、海へそそぐ川べりの堤防でビールを楽しんでいると、川辺に立ちつくす数名の女子に気がついた。聞くと渡れそうで渡れない川幅に躊躇しているという。
大仏のすわっていた目の前の、川幅が狭いところを教えてあげた
羽目を外しても、困っている人に手を差し延べるのは阿弥陀として当然のこと
そして、突然悟りを開いたりして盛り上がる高校生たちに別れを告げ
大仏は散歩を再開した
大仏とハンバーガー
向こうに見えるあの山は1333(元弘3)年に新田義貞が突破したという稲村ヶ崎かしらん、と歩いていくと、お腹がぐうと鳴った。
そういえば、朝から抹茶ジュースと大仏ビールしか口にしていない。何か食べ物を施してくれるところはないかと歩いていくと、何やら看板が見えてきた。
この出会いがプライスレスなものになることを、このとき大仏はまだ知らない
何だかとてつもなく美味しそうな気配を感じる。そして大仏はその直感を信じた。
店の名前はGOOD MELLOWS(グッドメローズ)。ハンバーガー専門店だという
ランチタイムが一段落してようやく落ち着いた店内には静かな時間が流れる
ハンバーガーという食べ物があることを、大仏は聞いたことがあったが食べたことはなかった。
でも今日だけは、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲むのだ
というわけでオーナーの上原さんにおすすめのメニューをきいてオーダー
そして出てきたのがアボカドチーズバーガー(1300円)と
ヴェデットという白ビール(750円)
グラスに注ぐと底に沈んでいたスパイスがほどよく混ざり合うという
コリアンダーとオレンジピールが入っているのでとてもフルーティな味わい。白ビールなので酵母も入っている。ビールにもいろいろあるんだなと感心した大仏 だが、飲んだのは黒ビールと白ビールだから「いろいろ」のなかの極端なところばかり飲んでいることには気づいていないようだった。
さて、いただきます
な、なんだこれは
こんなにジューシーな食べ物があったなんて。何でも、肉汁を内包させるためにあえて粗めにカットしているため、ステーキのような食感になるという。小さなステーキの集合体、小宇宙が集まって大宇宙となる曼荼羅のようなものか。
気持ちがはやってかぶりついてしまったが、テーブルにナイフやフォークと一緒に入っている、紙袋に入れると食べやすいと教えてもらった。
海とハンバーガー。ああ、散歩に出かけて本当によかった
グッドメローズはオープンして今年で5年目。肉はオーストラリア産を直火で焼き、野菜はトマトなどできるだけ鎌倉でとれたものを中心に使っている。GWには毎年駐車場まで長い行列ができるというから、大仏が感動するのも当然だった。
いやあ上原さん、本当に美味しかったです。ごちそうさまでした
大仏、鎌倉を出る
店をあとにした大仏は海辺に向かってすわり、しばし感動に浸った。
肉汁が光る阿弥陀の唇は陽射しを受けて眩しいほどに 大仏
身も心も満たされ、鎌倉の外に思いを馳せた大仏は、地蔵に電話をかけてみた
地蔵はお供え物のお菓子を絶対残さないという苦行の最中だった
地蔵「はい、もしもし」
大仏「今日は鎌倉を少し散歩をしていてね、いまハンバーガーを食べたところなんだよ」
地蔵「お、いいっすねえ。あなたがすわってる間に娑婆の様子もだいぶ変わったでしょう。もぐもぐ」
大仏「本当だね。で、ちょっと相談なんだけど 鎌倉の外まで出かけてみたいと思ってね。どこかおすすめのところあるかな」
地蔵「じゃあ横浜まで来ませんか? 横浜まで来てくださるなら僕もあとで合流できますし。もぐもぐ」
大仏「そうか。それなら行ってみるかな」
というわけでふたたび歩きだした大仏は、鎌倉駅を目指すのであった
大仏、小町通りを歩く
鎌倉駅で江ノ電を降りた大仏を、海辺とはちがうにぎやかな街の雰囲気が誘った。そこで乗り換える前にちょっとだけ、と小町通りに足を踏み入れてみた。そして、銅銭を材料につくられた説もある大仏としては、750年間の貨幣経済の繁栄ぶりに舌を巻いた。
わあ、いろいろな商いがおこなわれているのだな
古美術と言っても、まあ私からするとわりと最近のものが多いようだ
などときょろきょろしていたら、ちょっとだけのつもりが全部歩いてしまった。しまった。
そこへソーセージの誘惑。大仏ビールもあるし、満腹でなければすぐに買っただろうな
大仏とあじさい
八幡宮前は諸事情でするりと通り抜け、若宮大路を駅のほうに戻りかけたところで、何やらいい感じの看板を発見。
なるほど和菓子か。大仏も食後のデザートという慣習をしてみんとてするなり
と店内に入ると「神奈川県指定銘菓あじさい」の文字が
そして「クルミッ子」なるお菓子はほぼ完売状態という大変人気の店のよう
これはいい店を選んだぞと心弾ませ、大仏は「あじさい」を手に取った。
こちらの上品な小箱は3枚入りで486円。ほかには6枚入りや12枚入りも
試食で少しいただいたところ、すこぶる美味だったので購入した
銘菓あじさいを売る「紅谷(べにや)」は創業約60年の老舗であり、人気のクルミッ子は5個入り200箱、8個入り200箱、16個入り140箱が、早ければ昼過ぎには売り切れてしまうこともあるというから、GWにお買い求めの方はなるべく早い時間にどうぞ。
さて、外に出た大仏は、さっそく1枚出してみた
ああ、お店ではすました顔でいたが、まるごと1枚食べたかったのだ
ではさっそく
卵と牛乳とアーモンドのバランスが絶妙なこのあじさい、もっと近くにあればときどき買いに行けるのにな、と思ったら、何と2013(平成25)年11月に長谷に開店しているという。これはいいことを聞いた。
今度地蔵が遊びにくるときに買ってきてもらおう
さて、鎌倉駅に戻った大仏は、意外としっかり寄り道をしてしまったことに気がついて、地蔵に連絡してみた。
ああ、もしもし。ごめん、つい寄り道をしてしまって。そっちはどんな感じ?
おお、いいじゃないすか。ひさしぶりの娑婆ですから楽しんでくださいよ
「こっちはもう少しかかりそうなんですよ、すみません。もぐもぐ」ということで、地蔵が来るまで1人で散歩することにして、電車に乗り込んだ。
いざ、横浜
いろいろ歩きまわったので少し疲れてはいたが、750年すわりっぱなしだったので、すわるのは何だかもったいない。そう考えた大仏は、吊革につかまって車窓を流れる景色を眺めていた。
そして、ふと目の前の乗客に視線を落とすと、とても懐かしい名前を発見した。
おや、大佛次郎じゃないか
かつて大仏の近所に住んでいた大佛は、大仏が言ってみれば太郎だから自分は次郎にしたと言ったという。それ以来、かわいい弟のような気持ちでいるのだった。
そこで、「大佛次郎ですか」と声をかけてみると、乗客は顔を上げて「あ、ひょっとして太郎さんですか」と言う。ひさしぶりにファーストネームで呼ばれた大仏は、すっかり嬉しくなっていろいろ話をしていると、これから行く横浜に次郎の記念館があると教えてくれた。
それはぜひ行ってみよう。というわけで大仏は乗客に「あじさい」を1枚施すと、電車を降りた。