なぜ走るのか・・・「そこに急坂がある限り」！！

　
前回、前々回と無意味（筆者は未だにまったく理解できていない。意味が分からない・・・）に坂を走っているはまれぽ編集部。

今回もまた、坂道全力ダッシュをすることに相成った。
　

「行くよー！」ノリノリの小島（今年で40歳）

　
少しでも坂を走ることに意味を持たせたい筆者は、タイムの勝負を提案した。ちなみに、この坂の全長は約160メートルだ。
「もちろんいいよ」と乗り気の小島は1980（昭和55）年生まれの今年40歳。一方、筆者は1988（昭和63）年生まれの今年32歳。この生年に、野球好きの方ならピンとくる方が多いだろう。
　

よーい、スタート！！

　
そう、小島はいわゆる「松坂世代（松坂大輔選手と同学年の世代）」なのだ。
　

こちらは筆者。入念にアキレス腱を伸ばしておいた

　
そして、筆者はいわゆる「ハンカチ世代（斎藤佑樹選手と同学年の世代）」だ。

いずれも野球界で一時代を築いている黄金世代として名高い。ベイスターズの選手でいえば、松坂世代は後藤武敏（敬称略・以下同）、小池正晃、古木克明などが有名だろう。対してハンカチ世代は、梶谷隆幸、宮崎敏郎といったところだ。
　

松坂世代の名に懸けて

　

ハンカチ世代の名に懸けて

　

絶対に・・・

　

絶対に・・・・・・

　

「負けられない！！」

　

　

　

　

　

結果は・・・！？
　

左：小島（松坂）、右：筆者（ハンカチ）

　
約160メートルの急坂を走り切り、見事我がハンカチ世代に軍配が上がった。
嬉しさや達成感は、皆無だ。徒労感と虚無感しか残らない。不惑を迎える松坂世代に坂道ダッシュで勝った。・・・だから何だというのだ。

しかも、8歳という年の差がわずか1秒（未満）の差だったという事実に、かなりショックを受けた。筆者はひそかに、もっと差をつけて余裕で勝てると思っていたのだ。

ともあれ、無益としか思えない黄金世代対決は終わった――。
　
　
　

再び急坂調査へ

　
この企画の主眼は、“横浜で一番急な坂はどこか”を調査することにある。しばらく収まらなかった呼吸と心拍を何とか整え、再び調査に戻ることにした。
　

せっかくなので駒林神社に立ち寄ることに

　
自力での急坂探しもなかなか骨が折れるので（坂道ダッシュを終えた後では尚更）、この辺りに詳しそうな駒林神社の方に話を伺ってみた。「現地のことは現地の人に」が鉄則だ。
　

社務所に住んでいるという高山さん

　
早速この辺りで一番急な坂はどこかを伺うと、「ここの裏手にある赤門坂ですかね。あとはちょっと離れますが、千代田坂なんかも急ですよ」と答えてくれた。さして悩む様子もなく、すんなりと2つも候補を挙げてくれた。

静謐な境内。好感触な2つの候補。すっかり元気を取り戻した筆者は、小島を引き連れ洋々たる気分で駒林神社を後にした。
　

小学校の下校パトロールの方にも伺ってみた

　
小学校の通学路になっているこの坂では、児童の安全を守るパトロールスタッフがいる。
「車の通行が意外と多くて、カーブで見通しも悪くなるので危ない」とパトロール歴4年の小南さん。児童を見守る優しい眼差しが印象的だ。
特に急な坂は？　との問いには、「千代田坂は急ですよ」と教えてくれた。

駒林神社の高山さんも挙げていた千代田坂。これは期待できる。
まずはすぐ近くの赤門坂から調べることにしたが、念のため、過去にも調査していないか確認する。はまれぽでは2011（平成23）年にも、港北区の急坂を調査しているのだ。

急坂シリーズ・港北区編はこちら

• 

  横浜で一番急な坂はどこ？【都筑区・港北区編】

　
そして見つけた。
2011年10月、見事に我がはまれぽ編集部は赤門坂を調査していた。
　

こちらが赤門坂。ちなみに傾斜角は8°（勾配14%）

　
「なぜ事前に過去の調査結果をさらっておかなかったのか」という、至極真っ当かつ仕事の基本中の基本を衝くご指摘は、どうかご容赦いただきたい。
それがはまれぽ編集部というものなのだ（※小島「いや、そんなことはない！」）。

しかも、傾斜角8°（勾配14%）とまったく話にならない記録ではないか。
悄然と踵を返し、もう一つの候補地、千代田坂へと向かった。
　

こちらが千代田坂。前方で道路が少し右に折れる

　
目測ではいい記録を出しそうだ。しかし、一歩一歩足を進めるうちに、この日の空のようにどんよりとした既視感が筆者を覆ってきた――。
　

過去に調査していた港北区の坂

　

左：今回（2020年撮影）、右：過去（2011年撮影）

　
電柱の住所表示を見る前から筆者は確信していた。
これは、完全一致だ。

港北区日吉本町6-35。千代田坂は、過去の調査で傾斜角10°（勾配17.6%）だった――。

小島「まあ、こんなこともあるよ」