横浜生まれのバナナってどんな味!?
ココがキニナル!
「横浜バナナ」なるものがあるそうです。東京バナナのようなお菓子ではなく、横浜市の農家の方が栽培してる本物のバナナです。一部出荷されているそうなのですが、ぜひ取材をお願いします。(河童丸さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜市港北区にあるカネコ農園で栽培されたバナナは、味と香りともに濃厚で改めて「トロピカルフルーツ」としての魅力を感じるおいしさだった!
ライター:吉澤 由美子
農林水産省が出している卸売数量平成23年度データでは、輸入果実総計99万トンのうち、バナナは57万トンを占めている。バナナはもっとも愛されている輸入果物なのだ。
さらに国産と輸入を問わず国内で販売されている果物で、最大の卸売数量はみかんの68万トン。2位はバナナで、その次がリンゴの50万トン。四季を通じて手に入るバナナはとても身近な存在だ。
バナナの産地は台湾、フィリピン、エクアドルなど熱帯や亜熱帯にある外国。そう思っていたけれど、横浜でバナナが栽培されているなんてビックリ。
そこで、JAの直売所を通じて生産者の方に連絡を取り、取材の許可をいただいた。
バナナが実っているところを見るのははじめて。わくわくしながら、横浜でバナナを栽培している、港北区新羽にある「カネコ農園」へ向かった。
丘の上に広がる果樹農園
第三京浜近くの丘の上、地元の人しか知らないような道をたどった先にカネコ農園はある。敷地にさしかかるとさまざまな果樹のいい香りが漂う。
出迎えてくれたカネコ農園の看板娘、ヒメちゃん
バナナを栽培しているのは、代々こちらで農業を営む「カネコ農園」の金子清紀(きよのり)さん。
「果樹栽培は父親の代から始めたので、果物農家では2代目」と金子さん
まずはバナナを見てからと温室に案内される。
一般的な温室は高さ2.5mだが、この温室はトップが4m、サイドが3.5mの高さ
温室のドアを開けるとエキゾチックで爽やかな芳香が流れてくる。そして、目の前にふさふさと青くて小さな実をつけたバナナの木が何本も!
バナナの実は上向きに伸びる
中は思ったより温度が低い。「15℃を下回るとバナナが枯れちゃうから、寒くなったらボイラーを焚くよ」と金子さん。
到着した時は曇っていたので17℃くらい。陽が射すと20℃を越える
「バナナの木って大きいですねえ」と葉っぱの先を仰ぎ見ながら言うと、金子さんは「バナナは木じゃないんだよ。切ってみるとタケノコみたいに外側は全部葉っぱ」と教えてくれた。バナナが草の実だったとは!
葉が重なる中心に軸があって、その軸先に花が付いて実がなる
さらに、「収穫したら残った部分は枯れるけど、脇に新芽が出て、それがまた成長してバナナが実る。成長は、夏は早くて冬は遅いけど、大体10ヶ月くらいかな」と教えてくれた。
枯れたバナナの切株。隣の脇芽はもうかなり育っている
ぎっしりついた実が日を追うごとに太っていく
バナナは実ったまま完熟させると皮が縦に裂けてしまう。そのため収穫はバナナの実がまだ青く、縦に走る角が少し丸くなった頃に行う。収穫後の追熟はその時の気温によって変わるが、食べごろになるともつのは2~3日。かなり早めに収穫する輸入ものと違い、ギリギリまで収穫を待つので濃厚な味わいになる。
この時期は収穫が1~2ヶ月に1度。しかも追熟はタイミングが合わせにくい中、金子さんは食べ頃のバナナを試食させてくれた。
秋冬は1本が100g程度。夏場は1本200gくらいまで育つ
ほんのり青いバナナを剥くとバナナの甘い香りが濃く漂う。果肉はねっとりと緻密でジューシー。甘く、しっかりしたコクとかすかな酸味がある。
「普通に売られているものと違って、苦みや渋みがないのが特徴」と金子さん
もう少し熟した黄色いものは、柔らかく穏やかで上品な味。どちらにも捨てがたい魅力がある。
改めてバナナが「トロピカル」な果物であることを実感できるおいしさだった。