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「鳩サブレー海岸」誕生?豊島屋がネーミングライツを取得した鎌倉の海水浴場の今後は?

ココがキニナル!

今年で開設130周年を迎えた鎌倉市内の3海水浴場について、鳩サブレーで有名な豊島屋がネーミングライツを取得したことで話題となりましたが、今後はどうなるのでしょうか?(凛音さん、スさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

記念式典で豊島屋代表取締役久保田氏は、今年は権利を使用しないとのコメントを発表。正式名称は、来年以降、公募によって決定される模様。

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ライター:河野 哲弥

鎌倉の海を巡る今昔物語



古来より海水浴には、避暑のほかにも、温泉における湯治のような「療養」という目的があったようだ。鎌倉の海水浴場が注目を浴び始めたのも、1884(明治17)年医学博士の長与専斎(ながよせんさい)が「海水浴場に最適の地」と紹介したことに端を発するとされている。
 


今年で130周年を迎える「由比ヶ浜海水浴場」の様子


以来、毎年夏だけでも約100万人の来場客を誇る鎌倉の海だが、ここ数年、客数の伸び足が鈍化しているらしい。
そこで鎌倉市は今年、財政難解消の措置として、由比ヶ浜・材木座・腰越3海水浴場にネーミングライツ制度(出資の見返りとして自社名やサービス名などを付けられる仕組み)を導入した。そのスポンサー権利を獲得したのが、以前掲載した「鳩サブレー」で知られる、菓子製造・販売業の豊島屋である。

由比ヶ浜海水浴場では7月15日(月・祝日)、同社代表取締役である久保田陽彦(はるひこ)氏を迎えたトークショーが、海の日にちなんで開催された。その模様をレポートするとともに、今、鎌倉の海に何が起こっているのか、改めて整理をしてみたいと思う。



毎年100万人が訪れるのに、なぜ財政難なのか



鎌倉市によれば、来場者数減少の最大の原因は、東日本大震災後に広まった「海への危機感」だという。
また、異常気象による猛暑などの理由から、最も暑い時期を避け、海水浴場閉鎖後に訪れる観光客が伸びているらしい。市はこの対策として、今年はじめて期間を延長し、7月9日(火)から9月8日(日)まで営業を続けるとしている。
 


単純な日数計算なら、期間延長により1割以上の売上UPが見込める


ほか、騒音問題による夜間の時間短縮などもあり、改めて考えてみると、収入減に結びつくネガティブな要素は意外に多い。
ネーミングライツは、こうした背景の中で、今年の春に、鎌倉市より発表された。同制度に名乗りを上げたのは市内2社、県内1社、東京都内5社、県内1個人。このうち、提示された落札条件がもっとも高く、企業理念などをふまえた上でパートナーとしてふさわしいと選ばれたのが「豊島屋」だ。その金額は年額で1200万円、期間は10年間におよぶ。
 


ネーミングライツを取得した豊島屋外観


そんな同社だが、最近、四代目にあたる代表取締役の久保田陽彦氏による、新しい試みに注目が集まっている。それが、「ハトカー」や「ハットカード」などの、鳩サブレー関連商品だ。
 


久保田氏自ら考案したという、ユニークアイテムの数々


今回のネーミングライツの獲得も、こうしたブランディングの一環なのだろうか。
その謎に迫るべく、由比ヶ浜海水浴場で行われた130周年記念行事式典の様子を、追ってみることにしよう。



小さいころから親しんだ、陽彦氏の海への思い



晴天に恵まれた7月15日(祝)、式典が行われた海の家「avex beach paradise powered by UULA」には、開始前から大勢の見物客が訪れていた。
 


会場となった、同海の家、外観


開会式のあいさつで松尾栄鎌倉市長は、鎌倉の海水浴場が市の発展に大きく寄与してきたことに触れ、騒音をはじめとした諸問題がある中「より安心して楽しめる」環境整備のために、ネーミングライツを導入したと述べた。
 


続いて、「豊島屋」代表取締役久保田陽彦氏の登場


久保田氏によれば、長年慣れ親しんできた浜ということもあり、この制度に申し出たとのこと。先日の記者会見でも発表したように、「鳩サブレー海岸」にはしないとキッパリ。また、「今年はネーミングライツを使わないという権利を使用することにしました」との意向を述べた。
なお、具体的な名称は、市と相談しながら、公募などによって決めていくそうだ。
 


その後、ゲストなどを交えてトークショーが行われた