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横浜市は「横浜愛」のすり込み教育をしているって本当?

ココがキニナル!

横浜市歌を学校で歌ったり、駅で流したり、「わたしたちの横浜」という本で勉強したり、横浜は昔から「愛市教育」に熱心。教育委員会的に何か特別な思惑がる?(象の鼻さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜市教育委員会は児童が市歌を歌えるように指導することを推奨。『わたしたちの横浜』は副読本で、指導時間は学校次第で具体的な指示はしてない

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ライター:藤井 涼子

筆者は生まれも育ちも横浜市内。現在も横浜市在住で子育てをしている。

「横浜市歌って知ってる?」と聞かれれば「えーと、知ってるような気がするけど、思い出せないな・・。どんな歌だったかな」という返事をしていたはずだ。ほんの3ヶ月前までは・・・。

2015(平成27)年4月、子どもの小学校の入学式で校歌に続き「横浜市歌」が流れた。20数年ぶりに聞く横浜市歌だったが、伴奏に合わせて口ずさんでみると、自分でも驚くことに、フルコーラスで歌うことができたのだ!

小学校時代にかなり歌う機会があったのだろうか? 自分では思い出せないが、脳みそには刷り込まれているらしい。

「横浜市歌なんて忘れちゃったよ」という横浜育ちの読者の皆様も、一度聞いたらアッサリと思い出せるはず。というわけで、横浜市歌の歌詞をご紹介しよう。
 


わーがひのもとは しーまぐによ~♪
 

過去のはまれぽ調べでは、横浜市歌を歌える市民は、横浜在住の市民の約43%、横浜育ちの約86%という結果が出ている。

横浜育ちで歌えない残り約14%の人の中には、筆者のように「多分歌えない」と思っていても「聞いてみたら実は歌えた」というタイプの「潜在的横浜市歌を歌える市民」がもっといるかもしれない。

ちなみに編集部・松山に出身と市歌について尋ねると「青森県弘前市出身ですけど、市歌があるのか、ないのかも知らない。歌った記憶はない」との返事。編集部の小島や宇都宮も同じような「知らない」という返答だ。

また、横浜市内で、20~70代の横浜市以外の男女10人に聞いた。

その結果「会社でカラオケに行った時、横浜出身の人がネタで入れたと思ったけど、横浜出身の人が、みんなが歌えていたので不思議というより驚いた(さいたま市:40代男性)」、「地元は市の歌があったかどうかすら知らないし、学校行事でも歌った記憶がない。不思議だと思う(岡山市:50代女性)」などの意見があり、10人中10人が「驚いた」を含めて「不思議」という反応だった。
 


やっぱり(?)の結果
 

はたして、横浜市は、愛国精神ならぬ「横浜愛」を育む教育に力をいれているのだろうか? 現在の実態を聞きに、横浜市教育委員会へ取材に向かった。



横浜市歌は、いつ脳みそにインプットされるの?



お話を伺ったのは、横浜市教育委員会事務局指導部指導企画課の三宅一彦(みやけ・かずひこ)さん、緒方克之(おがた・かつゆき)さん、大庭一修(おおば・かずのぶ)さん。
 


写真右から三宅さん、緒方さん、大庭さん
 

横浜市歌は今から100年以上も前、1909(明治42)年に作られたそう。その年は横浜開港から50周年にあたり、盛大な記念祝祭が行われた。そこで横浜市歌が初披露されたらしい。

作詞は森林太郎(森鴎外)氏、作曲は、当時東京音楽学校(現、東京芸術大学)助教授だった南能衛(みなみよしえ)氏。
 


横浜市歌の楽譜(横浜市ホームページより)
 

筆者が子どもの入学式で横浜市歌を聞いたときは、新1年生はまだ当然歌えない状態なので、先生方が歌い、歌詞を知っている父兄が一緒に歌っている、という状況だった。学校によっては、上級生が入学式で歌ってくれる、というところもあるそう。

横浜市の教育方針として「音楽の授業で〇〇時間、横浜市歌を歌う」という決まりなどがあるのだろうか?

その質問には「いえいえ、そんなことはありません。入学式や卒業式などに横浜市歌を歌うように通知していますが、年間何回歌うこと、とか、何時間練習の時間を取る、などの決まりはありません」との答え。

横浜市歌を歌うことを推奨している理由は「100年以上も歌い継がれている横浜の歌を、これからも大切にしていきたい、という思いからです」とのこと。
 


「私が小学生時代にも横浜市歌を歌っていました」という三宅さん
 

いつごろから学校で横浜市歌を歌うようになったのかは不明とのこと。戦後の学制改革の時に盛り込まれたという可能性もあるが、正確には分からないそうだ。

「伝統的に歌い続けてきた横浜市歌を、これからも大切に受け継いでいく」ということを目的としていて、今も小学校で歌われている。

授業時間数に指定はないが、市教委が作成する横浜版学習指導要領には「行事のときには横浜市歌を歌うこと」という内容が盛り込まれているため、各学校では音楽の学習指導に横浜市歌を含めて取り組んでいるようだ。つまり市内の小学校であれば、必ず横浜市歌を授業で歌うこととなる。
 


横浜版の学習指導要領に盛り込まれている
 

「まずは校歌を覚えて、それから市歌が歌えるように」ということで、学校にもよるが、たいていは1年生が入学後すぐに音楽の授業で取り組むことが多いという。

キニナル投稿にもあるように「横浜市は、愛国精神ならぬ愛市精神を育む教育に熱心だ、という指摘もあるようですが」と伝えると「横浜市歌を授業で学ぶということにはなりますが、歌詞を間違えたらダメ、とか、そういうことではなく、みんなが声をそろえて歌えるようになれば良く、一体感を得られれば良いな、ということなんです」という三宅さん。
 


「横浜市歌をおじいちゃんもお父さんも、子どもも歌えるっていいですよね」
 

入学式や卒業式以外にも、学校で行われる開港記念式や運動会などで歌われることもあるそうだが、年に何回歌うかは、学校により異なるそうだ。

小学校6年間と中学校3年間、合わせて9年間横浜で育った場合には、毎年数回横浜市歌を歌う機会があるため、気付けばすっかり歌詞を覚えてしまっている、ということになるわけだ。