横浜市は「横浜愛」のすり込み教育をしているって本当?
ココがキニナル!
横浜市歌を学校で歌ったり、駅で流したり、「わたしたちの横浜」という本で勉強したり、横浜は昔から「愛市教育」に熱心。教育委員会的に何か特別な思惑がる?(象の鼻さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜市教育委員会は児童が市歌を歌えるように指導することを推奨。『わたしたちの横浜』は副読本で、指導時間は学校次第で具体的な指示はしてない
ライター:藤井 涼子
『わたしたちの横浜』は「横浜愛」を育むため?
小学校で配布されるという、キニナル投稿にある『わたしたちの横浜』という本を見せていただいた。
900円(税抜き)で市販もされている
『わたしたちの横浜』は小学3年生になると配られる。内容を見てみると、横浜の歴史や、現在の横浜のことなど、子どもたちに分かりやすいように記載されている。
「安政6年6月2日~横浜開港~」から
現在の「横浜市の土地の使われ方」まで
図や写真などが多く用いられ、カラフルで分かりやすい内容となっている。大人になった今見ても興味深い。
『わたしたちの横浜』が発行されたのは2009(平成21)年。それ以前は『横浜の歴史』という本が使われていたが、文字が多く、小学生にはやや難しい内容となっていたため、改良されたそう。
小学3年生から6年生まで使用し、教科書ではなく「副読本」という教科書の補助的な位置づけとなっていて
社会や理科の授業で利用される。
「発見! おいしい横浜の農産物」という内容も
やっぱり「横浜愛」を育てることに力を入れているような気がしてくるが・・・。
「小学生のうちに横浜愛を育てて、大人になってから横浜に貢献してもらおう、という教育委員会の思惑があるんですか?」という突っ込んでみたものの「もちろん、将来地元に貢献してもらいたいという思いはありますが、そんな洗脳みたいなことはないんですよ」とのこと。
「自分たちが暮らす土地の歴史を学ぶ」という点で、ほかの都市に比べて特別に力を入れているというわけではないという。全国の小学生の歴史の勉強は「身近なところから学ぼう」ということから始まるそう。
「ペリー艦隊がやってきた!」
「大阪市でも名古屋市でも、同じように地域の歴史を学んでいると思います。ただ、横浜は開港の地なので、歴史的なトピックが多く『たくさん学んでいる』という印象があるのでは」とのことだった。
また、横浜市は人口が多いということから、その分多くの人や企業から協力を得られるという利点がある。
『わたしたちの横浜』の出版に横浜銀行が協力している、という事実もある。その点では他都市より恵まれている場合もあるといえる。
結局、1年で何回歌っているの?
筆者の脳にも完全にインプットされている横浜市歌。市教委では、年に歌うべき回数は指定していないとのことだった。それでは実際に、今の小学校では年に何回歌っているのかキニナル。
というわけで、市教委に紹介してもらった南区にある大岡小学校へ、横浜市歌の取り組みについて取材しに向かった。
横浜市営地下鉄ブルーライン弘明寺駅から徒歩約6分
6年生の児童が作ったという焼き物の看板
まずは、1年間に何回くらい横浜市歌を歌う機会があるのか聞いてみた。
お話を伺った相澤昭宏(あいざわ・あきひろ)校長
前期・後期2期制の大岡小が行事として横浜市歌を歌うのは前期始業式・入学式(4月)、開港記念集会(6月)、前期終業式(7月)、後期始業式(10月)、卒業式・修了式(3月)の7回だそう。
市教委での話にもあったように、大岡小でも4月には、各クラスで校歌と横浜市歌を歌うという指導内容があるとのこと。さらに毎月「今月の歌」というものがあり、音楽の授業以外にも「朝の音楽の時間」に歌う。4月は「校歌と横浜市歌」が設定されているので、入学直後の4月は1ヶ月間で「50回ぐらい歌うかもしれない」という相澤校長。
また、大岡小では、6月3日に横浜市歌をテーマにした「開港記念集会」を開いた。
開港記念集会では、全児童が体育館に集合。スライドを上映しながら、5~6年生の集会委員会の児童が、横浜開港に関わる説明を行ったそうだ。
先輩から語り継がれる開港の話
その中で「横浜市歌の言葉が難しいから、意味を考えてみよう」という内容があり、文語調の歌詞を現代語に変え、意味を説明。
さらに、意味が分かりやすい現代語の「横浜市歌の替え歌」を集会委員会担当の鈴木先生が「わが日の本は島国よ」を「ぼくらの日本は、しまぐにだ」といった具合に歌い、とても盛り上がったそうだ。
自作の現代語版「横浜市歌」をアカペラで披露した鈴木先生(写真左)
低学年の子どもたちも、しっかりと耳を傾け聞いていたそうで、終わった後は「楽しかった! と言ってくれたので良かった」と鈴木先生。
横浜市歌を学校で歌っているのは、市内の小中学生だけでなく、市立の高校でも入学式・卒業式に歌っているそう。横浜市立大学にも問い合わせたところ「入学式と卒業式の年2回、横浜市歌を歌います」との返事だった。
横浜市立大学でも市歌を歌っていた!
キニナル投稿にあった横浜市歌の「駅のメロディ」に関してだが、横浜市交通局によると「改札口あたりでBGMとして流れている」駅は、横浜市営地下鉄ブルーライン湘南台駅(藤沢市のため)以外の全駅。さらに、ホームやコンコースでも、時間帯を決めて流している駅は18駅あるという。
市営地下鉄もやっぱり横浜市歌!
横浜市歌が、市営地下鉄の駅のBGMとして流されるようになったのは、5年前の2010(平成22)年9月。横浜市歌誕生100周年を祝ってのことだったそう。
「市営地下鉄をご利用の皆様に、横浜市歌をより身近に感じてもらおう」という取り組みとして開始し、今後とも続けて行く予定とのことだった。
取材を終えて
個人的には「横浜愛」と言われても、正直なところピンとこない。生まれた時から横浜市内にいるので「横浜への憧れ」もないし「横浜って・・・」というイメージも特にない。「外から見た横浜の印象」を知らないからかもしれない。
でも、横浜市歌の浸透力は間違いなくすごい! 今回の取材で小学生の横浜版学習指導要領に盛り込まれているということを聞いて、なるほどと納得した。
キニナル投稿には「愛市教育に熱心なのでは」とあるが「横浜愛」というより「市歌愛」がほかの都市より強いことは間違いない、と実感した取材であった。
―終わり―
彩葉さん
2016年11月06日 11時08分
現在中学生で、行事のたびに歌います。体育祭と文化祭でも歌いました。小1の時点で既に歌詞を覚えていました。他のところでは市歌を歌わないんですね。びっくりしました。
たろすけさん
2015年10月17日 08時01分
20数年前に配られた「わたしたちの横浜」は白黒でした。また、中学校でも小型化・内容がボリュームアップした「私たちの横浜」が配られました。配られた当時より、今読んだほうが面白いと思います。
みち坊さん
2015年09月15日 14時32分
私は「横浜市歌」が大好きです。私が小学生のころは4年生頃に歌詞の意味を学校で習ったような気がします。当時は開港記念日が近づくと学校で「愛市の花」(薄いピンク色をした布で出来たバラの花のブローチ風のもの)を確か5円か10円で買った覚えがあります。開港記念日にそれをつけて当時有料だった野毛山動物園や遊園地に行くと子供はタダだったような気がします。 記事の中で学校の先生が替え歌があると言っていましたがあれは現代語訳の歌ですね。大正生まれの母が替え歌があると教えてくれたのは「今は桃食って腹下し。泊る所は宿屋。宿屋のおかずはニンジン・ゴボウ……」というものでした。 大正生まれの子供たちも学校で習い、歌詞があまりにも難しいので替え歌にいていたのだと思います。 「市歌」を歌うと折々の思い出がよみがえります。