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総工費120億円? 横浜市交通局が特許を所得して進めている地下鉄のリニューアル工事って、何をしているの?

ココがキニナル!

横浜市交通局が特許も取得した新素材でリニューアル工事をやっているそうだけど、いったいどんな工事? 総工費はいくらなの?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

臨海部を走る三ツ沢下町~吉野町間を、市職員と岐阜県のメーカーが共同開発して特許を取得した枕木に更新。トンネル補強も含め総工費は約120億円

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ライター:はまれぽ編集部

交通局職員らが開発!



建設から40年が経ち、経年劣化が生じている横浜市営地下鉄ブルーライン。

「災害に強く、事故のない市営交通」を目指している横浜市交通局は、沿岸部の塩害対策として交通局職員と民間メーカーが共同で開発し、特許を取得した枕木を用いた更新工事を行っている。
 


2015(平成27)年7月18日からは快速運転が始まった
 

更新工事を行っているのは市営地下鉄三ツ沢下町~吉野町間の約6km。

同区間は沿岸部を通るため、地下水には海水を含んだものが多い。ブルーラインも含め、枕木は鉄筋の入ったコンクリートを使用していることが大半のため、枕木は塩害で腐食するケースがたびたびあった。
 


鉄筋が含まれていると、塩害で腐食する
 

直近では2013(平成25)年2月7日午前5時35分に関内~桜木町間の上り線でレールの破断が発生。同日午前11時10分に運転を再開するまで、約6万人の乗客の足に大きな影響が出た。

塩害対策のために開発した枕木とはいったいどのようなものなのか。横浜市交通局工務部施設課の天野実(あまの・みのる)課長、鶴岡正宏(つるおか・まさひろ)施設係長、開発に携わった伊藤嗣夫(いとう・つぐお)老朽化対策担当係長に聞いた。
 


「わたしたちは裏方ですので・・・」ということで写真はNG
 

これまでは枕木の鉄筋がさびてコンクリートが破損するたびに交換してきたが「いたちごっこ(天野課長)」を解消するため、2006(平成18)年から、枕木製作を手掛ける岐阜県の安部日鋼工業と共同で開発を進めてきた。
 


さまざまな枕木を手掛ける安部日鋼工業(同社ホームページより)
 

試行錯誤を重ねた結果、鉄筋の代わりにさびない炭素繊維を用いることで腐食を防ぐ新素材の塩害対策用の枕木「新素材補強マクラギ」が完成。2008(平成20)年度から新しい枕木を使った更新作業を実施し、2012(平成24)年には伊藤さんと安部日鋼工業らの連名で特許を取得した。

2014(平成26)年度までに約2km分の工事が終わっており、現在は2015(平成27)年2月10日から2016年7月末までの予定で桜木町~関内間の上り線の更新工事を行っている。



工事終了区間と今後の工事予定(提供:横浜市交通局)
 

今後については2017年度に桜木町~関内間の下り線、2018年度に高島町~桜木町の上り線の更新を予定。2026年度までに三ツ沢下町~吉野町間の上下線を更新し、赤野課長によると、総工費は約30億円になる見込みだという。