横浜市営地下鉄で行われた避難誘導訓練の内容とは?
ココがキニナル!
先日横浜市営地下鉄で行われた災害時の避難誘導訓練とは、どのような内容だったのですか?(憲章さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
地震による大津波の発生を想定した、避難マニュアル作りのための訓練。駅間で電車を止めてトンネル内を歩き、必要とされる時間などを計測した。
ライター:河野 哲弥
横浜市内に震度6強の地震が発生?
横浜市交通局は18日(土)深夜、横浜市営地下鉄ブルーラインの横浜駅-三ッ沢下町駅間のトンネル内にて、大規模な地震を想定した乗客の避難誘導訓練を行った。なお、参加者は同局職員の約150名だ。
車両から降りてトンネル内を歩く、職員らの姿
同局がこのようなトンネル内での避難訓練を行うのは、2005(平成17)年に実施した「火災対策訓練」以来となるようだ。そこで今回、どのような訓練が行われているのかを確認するとともに、避難する側が心がけたいことなども、確認していきたい。
今回の災害の想定内容とは
まず、同局が今回の訓練で想定した災害は、以下の通りである。
某月某日、通勤ラッシュの時間帯に、震度6強の直下型地震が横浜市域を中心に発生した。市営地下鉄では、早期地震警報システムにより非常ブレーキが動作し、車両は各駅間に停止した。併せて、全線停電となった模様。
同時に東京湾岸一帯に大津波警報が発令され、横浜駅-三ッ沢下町駅間は浸水の可能性があることが判明した。しかし、市の作成した津波による浸水予想図では、三ッ沢下町駅が浸水する可能性は低いことが分かっている。
そこで、トンネル内で乗客を降ろし、同駅まで歩いて避難させることになった。
トンネル内が浸水するのは、早くても50分後と推定されている。
したがって、50分以内に訓練を終了させることが、今回の最大目標である。
訓練の説明をする、同局高速鉄道本部の山内課長
避難誘導訓練の集合場所となったのは、スタート地点の三ッ沢下町駅。
訓練開始前に、同局高速鉄道本部の山内課長から、プレス向けの説明があった。
山内課長によれば、まず大前提として、津波による浸水が押し寄せてくる横浜方面への避難はありえないとのこと。また、横浜駅-三ッ沢下町駅間の路線は、V字型の谷のようになっているそうだ。
そこで今回は、谷底よりも、横浜寄りの場所で震災が起こったものとした。なぜなら、その方がより長い距離を移動しなければならず、条件がハードになるからだ。
また、電気が通じていない状況の中、線路の勾配を利用して車両を動かす実験も兼ねているという。
ラッシュ時を忠実に再現、車内は満員の状態
終電が終了した当日の深夜1時30分ごろ、避難訓練用の電車が三ッ沢下町駅へ到着した。一両の定員は120名なのだが、ラッシュ時の状況を忠実に再現するため、職員約150名全員が6号車に乗りこんだ。
皆さん、深夜にもかかわらず、ご苦労さまです
1時37分、訓練用の車両は、横浜駅へ向けて同駅を出発。
同40分、車内放送から、「ただいま地震が発生、全列車はただちに停止せよ」とのアナウンスが流れる。
一瞬、暗闇に閉ざされる車内
しかしすぐに、車両に搭載されている非常用バッテリーに切り替わる
ブレーキは思ったほど急ではないが、それでも、皆一斉につり革などをつかんでいた。
車内の蛍光灯は4本程度しか点灯していなかったが、明るさとしては十分なようだ。
ここからは、経過時間を分かりやすくするため、地震発生後の分数で表記していくことにする。
4分後、「三ッ沢下町駅へ向かいます」との車内放送が入る。通電はしていないが、できるだけ歩く距離を短くするため、V字の傾斜を利用して車両を滑走させるのだ。
9分後、V字の谷底(沢渡近辺)に到着。乗務員室内にある緊急用のドアが開けられ、脱出用のハシゴを設置する。
緊急用ドアが開けられた直後の様子
16分後、ハシゴの設置が完了し、乗客役の職員が避難をはじめる。
車内は空調が止まり、かなり蒸した状態だったので、外のヒンヤリした空気が今はうれしい。
では、いよいよ線路を歩いていこう。