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中区海岸通、歴史的建造物となった「旧神奈川産業組合館」とは?

ココがキニナル!

中区海岸通りの農業会館が閉鎖して近くのビルに移転したようです。隣の駐車場も営業終了のようなので一緒に再開発するんでしょうか?クイーンの塔の前の一等地なのでキニナル(kazkazさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

2012年に神奈川県中央農業会館と駐車場は、隣接している横浜市歴史的建造物に認定された旧神奈川県産業組合館と建て替えの際、一つになった

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ライター:橘 アリー

1つの建物に建て替えられた



旧生糸検査所である横浜第二合同庁舎前から、山下公園方面へと続く海岸通り。
海岸通りに「クイーンの塔」の愛称で親しまれている横浜税関の建物もあり、美しい景観の通りである。

 

海岸通り。左が横浜税関
 

今回の投稿は、そんな海岸通りの農業会館と隣の駐車場が一緒に再開発されるのか、という内容。投稿が寄せられたのは2012(平成24)年で、今から4年前のこと。

その当時は、農業会館と駐車場は閉鎖中だったようだが、現在はすでになくなっている。

 

横浜税関の道路を挟んだ反対側の場所になる(Googlemapより)
 

ちなみに、農業会館の正式名称は「神奈川県中央農業会館」。その建物があった当時、隣の山下公園方面には「旧神奈川県産業組合館」があり、隣の桜木町方面には駐車場があった。これらはちょうど横浜税関の向かい側に位置していた。

なお、新聞などによると「神奈川県中央農業会館」「神奈川県産業組合館」の建物は、2012(平成24)年11月には解体工事が進められていたようだ。

では、現在、どのようになっているのかというと・・・

 

1つの大きなビルが建っている。右が横浜税関
 

さて、この大きなビルは何のビルなのだろうか。



大きなビルの正体は!?



ビルの外観を見ていくと・・・

 

ビルの全景。全体像を撮るのが大変なくらい大きい
 

海岸通り沿いの歩道。整えられた植栽が美しい
 

ビルの反対側の様子。こちらはシンプルな雰囲気
 

何といっても、このビルの特徴は中央のレトロな様子の箇所
 

さて、これはどのようなビルなのか、中でお話を伺うことに。



神奈川県農業の中心拠点

 

ビルの正面入口。近代的な雰囲気である
 

このビルは「JAグループ神奈川ビル」という名称。
このビルについて、管理しているJAグループ神奈川・信連オフィスサービス株式会社の榎本博好(えのもと・ひろよし)代表取締役常務にお話を伺った。

2012(平成24)年8月に着工し、2014(平成26)年5月に竣工。「JAバンク神奈川」と言われており、神奈川県信用農業共同組合連合会が建築したビル。神奈川県の農協系の金融機関である。

建物は、敷地面積が1873.71平方メートル(566.8坪)、地下1階、地上9階建てで、設計は株式会社NTTファシリティーズが行った。

 

外観は、海岸通りの雰囲気とも馴染んでいる
 

同ビルの敷地は、かつて「神奈川県産業組合館」と「神奈川県中央農業会館」のほか、これらと隣接する駐車場の一部だった場所に建てられた。

 

1962(昭和37)年当時の明細地図。赤丸の辺りが現在の建物があるところ※クリックして拡大
 

神奈川県産業組合館」「神奈川県中央農業会館」は、「JAグループ神奈川ビル」の工事が始まるまでは閉鎖されていた。

なぜ2つの建物と駐車場の場所に1つのビルが建てられたのか、その経緯について。



一部が歴史的建造物として保存されている!



神奈川県産業組合館」と「神奈川県中央農業会館」は、中区の一等地にあったが、地味な存在の建物だった。この2つのうち、最初に建てられたのは「神奈川県産業組合館」で、竣工は1938(昭和13)年。

 

竣工当時の「神奈川県産業組合館」(『JAグループ神奈川ビルパンフレット』より)
 

神奈川県産業組合館」は、現在の農協の前身である「産業組合」が所有していた土地に、神奈川県の農業の中心的業務を行う施設として同組合が建設。

戦後、農業改革を代表する農村の民主化政策のため、1947(昭和22)年に農業協同組合法が施工となり各所に農業協同組合(農協)が発足するようになった。神奈川県でも1948(昭和23)年に、これまでの農業に関わる組織だった産業組合を神奈川県信用農業協同組合連合会(神奈川県の農協)が受け継ぐことになったようだ。

 

現在のビル上部に「JA」のマークがある
 

その後、高度経済成長に伴い建物が手狭になったため、同連合会は1960(昭和35)年に社団法人農業会館を立ち上げ、翌年の1961(昭和36)年に自らが所有していた隣接する土地に「神奈川県中央農業会館」を建設した。この建物では、神奈川県の農協活動に関する中枢の業務が行われていた。

 

「神奈川県中央農業会館」(『神奈川県信連五十年史』より)
 

これまでの内容を年表にまとめると
 

「神奈川県中央農業会館」ができたことで、ここが本部となり、「神奈川県産業組合館」は別館となった。

神奈川県中央農業会館は、農協が建物を建設するにあたって立ち上げた社団法人「農業会館」が運営し、農協と同じ系列のものであった。そのため、建て替えに際し、社団法人を組織として農協と統合。老朽化によって建て替えが検討されていたこともあり、「神奈川県信用農業共同組合連合会」が隣接していた駐車場の土地も含めて1つのビルを建てた。

 

駐車場になる前は、酒店や飲食店などもあったビルが建っていた
 

そして、建て替えに向けた動きの中で、2012(平成24)年6月に「神奈川県産業組合館」を歴史的建造物として保存・復元するように横浜市から要請があり、2013(平成25)年1月に横浜市の定める歴史的建造物として認定された。

 

外壁に張られている、歴史的建造物のプレート
 

これで、現在のJAグループ神奈川ビルが建てられた経緯が分かった。
続いて「神奈川県産業組合館」がなぜ歴史的建造物として認定されたのかについて。