〝バリアフリー〟という言葉が一般的になって約10年。

それにもかかわらず、横浜市役所、横浜文化体育館、横浜公園など、周辺に公共施設が多いJR関内駅にエレベーターがないのは不自然である。このことに関して、実際の駅利用者はどう思っているのだろうか？

それを確かめるため、まずはJR関内駅に向かった。
　

JR関内駅北口。1日平均約55,000人が利用している

駅利用者の声は

北口前にはショッピングセンターもあり、子供連れもチラホラ見かけられる。
ちょうど、駅からベビーカーを押しながら出てくる親子がいたので、聞き込み調査を開始した。
　

普段から、よく関内駅を利用しているらしい

―JR関内駅にはエレベーターがありませんが、困ることはないですか？
エレベーターがないから、子供を抱っこする人と、ベビーカーを持つ人の2人がかりで階段を下りなければなりません。南口にはエスカレーターがありますが、上りのみですし、以前ベビーカーのままでエスカレーターに乗ったら、車輪がエスカレーターに引っかかって事故を起こしかけました。それ以来、2人がかりで移動するようにしています。

ベビーカーでエレベーターがない駅を利用することはかなり大変な作業のようだ。
さらに、別の2組の親子にも質問をしてみた。
　

関内駅にエレベーターがないため、2駅歩いてきたという2組の親子

―JR関内駅にはエレベーターがありませんが、不都合はありますか？
私たちは2駅離れた山手駅周辺に住んでいるんですが、山手駅にも関内駅にもエレベーターがないし、バスも混んでいる時間帯は利用しづらいので、今日は2駅歩いてきました。関内駅北口前のショッピングセンター・CERTEの9階には、「のんびりんこ」という中区の地域子育て支援拠点があるんです。そういう施設があるにもかかわらず、その最寄り駅にエレベーターがないのはおかしいと思います。

―南口にエスカレーターがありますが、ベビーカーのまま利用することはありますか？
ベビーカーのままエスカレーターに乗るのは危ないし、デパートとかでは、ベビーカーのままエスカレーターに乗らないよう呼びかけていますよね。以前、関内駅の駅員さんにエレベーターがないか聞いたことがあるんです。そしたら、「南口にエスカレーターがあります」って言われたんですけど、私たちの感覚では、ベビーカーのままエスカレーターに乗るのはNGなんです。それなのにエスカレーターを勧められたのでビックリした記憶があります。


階下からホームまでの段数は約50段。
普通に歩いて上るのも楽ではないから、ベビーカーを担いで上り下りするのは、かなりの重労働に違いない。
　

北口は階段のみ。年配の方には大変そうである

続いて、杖を使いながら駅を出てきたお年寄りにも話を聞いてみると、「足が悪いので階段を登るのは大変です。南口にエスカレーターがあるのは知ってますが、遠いので行きません。北口にもエスカレーターでいいから早く設置して欲しいですね」とのこと。
　

写真はお断りされてしまったが、紳士的な方だった

また、駅の横を車椅子で通り掛かったご老人はなんと「電車に乗るときは、エレベーターのある隣駅（桜木町駅など）を利用している」という。

エレベーターがないことで、駅の利用を控えることもあるようだ。
このような〝生の声〟を聞く限り、関内駅にエレベーターが必要なのは明白である。