みなとみらいにできるアニヴェルセルの結婚式場の状況は?
ココがキニナル!
みなとみらいにできるアニヴェルセルの結婚式場!本当に次の30年間のみなとみらいの風景がこんな風になってしまうのか、今どんな状況なのか、気になります!(stellaxxさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
コスモワールド横に、巨大な結婚式場の建設が計画されています。景観に対し諮問機関が反対する中、市と事業者の協議期間は終焉を迎えました。
ライター:吉岡 まちこ
欧風建築に「待った!」がかかった
(つづき)
アニヴェルセルから、昨年12月に協議の申請があり、それを受け2012(平成24)年1月10日に、事業主を交え「都市美対策審議会・景観審査部会」が開かれた。
ひとことで言えば、この建築予定はこの場所にふさわしいのかどうか?というのが審議のテーマだ。
みなとみらいの中でも最も重要といえるこの一帯。赤レンガ倉庫や汽車道、ドッグヤードガーデンそして帆船日本丸といった、開港以来の横浜を支えてきた本物の歴史をそのまま踏襲してきた誇りある場所だ。
アニヴェルセルは、そこに「通行している人々が一緒に祝福してもらえる開かれたウエディングを展開し、街のにぎわい創出を図りたい」としている。
汽車道より建物正面を見る(資料/アニヴェルセル 1月提出の予想図)
結果から言うと、事業主には厳しい言葉と課題が残され、都市美審の委員全員が反対するという過去に例がない事態となった。
景観審査部会の議事録から、委員の発言を書き抜いてみる――
「地区の特性を踏まえて空間を創ろうと考えたとは感じられない」「違った国の文化を持って来る物まねは求められていないことを理解してほしい」「ディズニーランドは覚醒の空間としてクローズしているから良いが、ここは周りの人たちからすれば日常空間。個人的な嗜好の覚醒空間を公的な場にもってくる考え方自体が問題」など。
そして都市美審の委員が下した結論は「このデザインではとても承服することはできない」「微調整をすれば認められるということではなく、基本的なデザインの考え方に見直しが必要」というものだった。この意見をもとに、横浜市港湾局は都市整備局とともに、事業者との協議を進めて行くこととなった。
(横浜市都市美対策審議会■第14回 横浜市都市美対策審議会景観審査部会議事録)
ランドマークタワー足元の遺構・ドッグヤードガーデン
その後のアニヴェルセルの対応と展開
だがこの審議会の翌11日、アニヴェルセルは批判を浴びた図面そのままの公式プレスリリースを発表。
審議会の意見をアニヴェルセルは真剣に受け取っているのか疑問視もされたが、審査部会の公開性が高く、「各方面からの問い合わせが殺到することが予測されたため、横浜市へ事前確認の上で翌日に発表した」(アニヴェルセル経営戦略企画部広報・PR担当者)とのことだった。
審議の結果についての感想も書面でもらった。「景観や建物のデザインは主観が伴い、難しい部分はございますが、横浜市や地域の皆様と協力して、よりよい施設となるよう努めてまいります」という回答だった。
アニヴェルセルがイメージする、街を行き交う人に祝福される結婚式(資料/アニヴェルセル)
2月1日、横浜市港湾局から「景観上重要な場所であるために建物の高さを下げるなど圧迫感を与えない工夫を行なうこと」「様々な時代背景の建築デザインの模倣・混在を避ける」など大きく5つの枠でくくった方針案をアニヴェルセルに通知。
それから約2カ月間の横浜市との景観協議を経て、3月中旬、アニヴェルセルより外観デザインを変更した新たなデザインが港湾局に提案され、急きょ3月23日この件について2回目の都市美審の景観審査部会が開催された(事業者は不在)。
港湾局企画調整課から開催をその日に知らされ、はまれぽ編集部が傍聴に走り、資料とメモを預かった。
冒頭のパースと比較してほしい。約45mだったチャペルは31mに(審議会資料より)
変更前の立面図
変更後の立面図(審議会資料より)
港湾局企画調整課の説明によると、“塔の形状は営業戦略上どうしても残したい”というのがアニヴェルセルの意向だ。
また、様々な時代の建築の模倣が過ぎるという点についても、営業戦略的にすべては受け入れられず“特徴のある外観を”という想いが強いとのことだった。
そのほか、質感を出すために塗装ではなく吹き付けタイルを基本に、ライムストーン(石灰岩)とレンガタイルを使用する等の変更がなされ、港湾局企画調整課は「おおむね我々の協議の方針に沿った変更がなされた」と評価した。
都市美対策審議会はさらにダメ出し。しかし…
標準協議期間の60日も過ぎたため、年度内の3月に景観協議を終え、次の段階に進めようとした市の姿勢に対し、都市美審の委員からは厳しい批判が続いた。
「今後30年横浜を訪れる人にどう影響を与えるのか。判断するのに60日間で充分なのか」「都市デザインのトップリーダーだった横浜市だが市としてのビジョンが弱過ぎる」「こういう建築を許可することになるなら、行政の景観に関するシステムそのものに問題がある。市は真摯に受け止めてほしい」「市の土地が一部含まれているので、最終的に貸すのか是非慎重な判断をお願いしたい」…などだ。
そして都市美審の下した結論は、「基本的なデザインの考え方はなんら解決されていない。今回の協議は不調に終わったと言わざるを得ない」というものだった。
都市美審の委員のお一人、横浜商工会議所の議員であり、また自身も設計事務所の代表である金子修司さんに、直接意見をうかがった。
産業貿易センター内、横浜商工会議所の喫茶室で
「横浜は歴史・文化・産業の中心だからこそ、景観ガイドラインを2、3年かけて作って来ました。その開港以来の横浜を築いて来た最も大事な場所に、単に商業主義のフェイクの建造物は到底受け入れることはできません。協議を不調としなかったら、それは都市美審が認めたことになり委員の質を問われる。委員の意思は全員一致しています」(金子氏)。
そして「審議会での発言にもあったように、デザイン行政の限界を感じました。日本の景観行政に一石を投じることになったと思います。都市美審に強制力はなく、協議に法的拘束力もない。最終的には市長の判断で、このままいってしまう可能性が大きいでしょう」と、協議誘導型の景観づくりの難しさを金子氏は痛感していた。
4月16日の段階で、港湾局企画調整課の山崎係長は「良い結果になるよう引き続き協議をしている」とし、アニヴェルセル側も「私どものビジネススタイルと調整し、できる限りの協力をしたい」と述べる。
予想では、近日中に次の段階へ進む可能性が高い。
次の段階とは、市が「協議結果通知書」を事業者に提出するか、もしくは事業者が協議打ち切りの申し出をすること。そして、そのまま建築確認申請を提出することだ。予定ではこの夏に工事着工となる。
取材を終えて
景観は誰のものか。あらためて突きつけられる問題だった。コンセプトに疑問を持ち、立ち上がろうとしている近隣の市民グループも出てきたと聞く。読者の皆様の忌憚ないご意見もお聞きしたい。
みなとみらいの夜景(2011年12月撮影)
夜間は閉鎖されるアニヴェルセル。筆者個人としては、好きなこの夜景が巨大な建物の影に遮られたとしたら残念だ。夜間照明については「検討中」とのことだった。
― 終わり ―
はまやすさん
2013年10月11日 15時19分
現時点での外観が、あまりにチープでがっかり。
ツバメ°さん
2013年07月25日 21時40分
みなとみらいの挙式場で年商50億円も感せげんのですか?
pfanneさん
2013年06月03日 11時14分
こういうところで結婚式を挙げたいとは思わない。みんなを幸せにするウエディングとはどういうことなのか。