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横浜なのに鎌倉を感じる秘境「田谷の洞窟」と首塚「王子神社」ってどんなところ?

ココがキニナル!

うちは泉区で「サバ神社」がたくさんあり、源義朝を祀っていると聞きました。ほかにも、横浜市の元鎌倉郡エリアで鎌倉を感じるスポットはあるのでしょうか?(さきちさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

厳粛な雰囲気の修行場あり、鎌倉時代末期の権力闘争の激しさを示す史跡あり、戸塚区と栄区には今でも鎌倉時代をしのばせるスポットが存在した

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ライター:ナリタノゾミ

田谷の洞窟が掘られたゆえんとは・・・

ここは、かつては古代人の横穴式住居だったという説や、古墳だったという説もある。

鎌倉時代初期、現在の定泉寺の敷地には、開府以来別当職(幕府の行政機関の長官)にあった和田義盛の三男・朝比奈三郎(朝比奈義秀)の館が設けられた。その際、三郎は洞内に弁財天(朝比奈弁財天)を勧請したという。

1213(建暦3)年の和田義盛とその一族による反乱・和田合戦において、三郎は敗北の色が濃くなった時点で消息を絶ったというが、その際、洞窟の最深部から延びる抜け穴から落ち延びたのではないかと伝えられている。
 


田谷の洞窟から落ち延びた朝比奈三郎(イメージイラスト:ナリタノゾミ)


三郎が行方不明になった後、洞窟は鶴岡二十五坊(鶴岡八幡宮の社役を務めた僧侶たち)によって守られ、真言密教の修行場として利用されることになる。

地震による崩壊や廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)運動(明治時代の仏教排斥のための運動)が原因で、幾度か閉鎖を余儀なくされてきたが、それらの困難を乗り越えて、1990(平成2)年11月には横浜市の登録文化財に指定された。

さて、アドベンチャー映画さながらの秘境を感じさせる田谷の洞窟であるが、上述のように現在も修行場として使われているそうなので、厳粛な空気を乱さぬよう、配慮してほしい。
 


「静かに参詣して下さい」と、観光気分で訪れる来場客に注意を促す


残念ながら今回の感動を写真画像でお伝えすることはできないため、興味のある方は、現地を訪れてみてはいかがだろう。観光地の社寺とは一味違う、ヒンヤリとした聖域の空気を肌で感じることだろう。

実際に洞内の温度は外界よりも10度以上は低い。外は30度を超える真夏日であったのに、洞内では吐く息も白く見えるほど。服装には十分気をつけてほしい。

なお、JR戸塚駅西口からは「大船駅」行き、大船駅からは「戸塚バスセンター」行きの神奈川中央交通のバスに乗り「洞窟前」で下車すると、そこが定泉寺の入り口になっている。



後醍醐天皇の息子の首が葬られた? ~戸塚区柏尾町・王子神社とその周辺~

鎌倉幕府倒幕に尽力した後醍醐(ごだいご)天皇の王子で、倒幕計画に貢献した人物の一人と伝えられる護良親王(もりよししんのう)の首が、戸塚区柏尾町の王子神社の本殿に埋まっているという。
 


戸塚区の柏尾町、東海道を少し入ったところある王子神社。杉林に囲まれている


護良は倒幕後、ともに倒幕運動に参加した足利尊氏と対立。自ら征夷大将軍となり尊氏を排除しようとするも失敗に終わる。

尊氏は護良を失脚させるため、後醍醐天皇の侍女と結託し、「護良に皇位簒奪(こういさんだつ)の疑いあり」との噂を後醍醐天皇に伝えた。
これにより、護良は捕らえられ鎌倉二階堂の東光寺(鎌倉市)に幽閉される。

その後、鎌倉幕府第14代執権北条高時の遺児・時行が、鎌倉幕府再興のため挙兵した中先代の乱を起こした際、護良が北条側の手に渡り政治利用されることをおそれた尊氏の弟・直義の手の者によって暗殺されてしまう。
このとき、護良は28歳であった。

彼を慕っていた侍女が、さらし首となった護良の首を夜中に盗み取り、南朝方の豪族・斎藤氏(鎌倉ハムの創始者の祖)に救いを求め、王子神社に逃れてきたのだとか。
 


王子神社入口の「御料馬控處(ごりょうばひかえどころ)」の碑。馬をつなぐためのポールか


王子神社は戸塚区の柏尾町、東海道沿いのバス停「ポーラ前」から少し入った場所、田園地帯の広がる森の中にひっそりとたたずんでいる。

同社の本殿地下には祭神・護良親王の首が埋まっているという伝説がある。
 


昼間なのに薄暗い、鬱蒼(うっそう)とした杉林。雰囲気は十分だ


境内には、「遺跡護良親王御しるしお鎮の松」という老松が生えていた跡がある。
埋葬する前、この場所に一時的に首を隠し奉ったのだとか。松は明治時代に落雷で焼損したというが、巨木を忍ばせる根本の跡を確認できる。
 


巨木の根の跡。「遺跡護良親王御しるしお鎮の松」

 


王子神社の立派な手水舎

 


カマキリを発見。神の遣いか?


王子神社に葬る前の首を洗ったとされる井戸は、神社から徒歩10分ほどの場所にある。
 


「首洗井戸」の碑と、井戸(手前の鉄のふたのところ)


首を清水で清めたあと、4本の杭を打ち祭壇を作り、供養したという。首洗井戸のそばに、「四つ杭跡」の碑が建っている。
 


四つ杭跡の碑


ちなみに護良の首塚と呼ばれるものは、全国に数ヶ所存在する。中には、首を抱えた侍女が京都を目指したという説もある。柏尾町までやってきて葬ったというエピソードも、残念ながら伝説の域を超えない。
しかし、鎌倉からほど近い同地だからこそ、伝説が真実味を帯びていると感じるのは、筆者だけだろうか。

なお、東海道を戸塚方面から歩くと、旧東海道沿いに「史蹟への小径」との碑が建っている。これに従って道を進むと、首洗井戸、四つ杭跡から王子神社までを散策できるコースになっている。
 


旧東海道沿いにある「史蹟への小径」の碑


 


柏尾町史跡めぐり用マップ




取材を終えて

鎌倉郡は、その後、明治時代に至るまでの間に各時代で郡域を変化させていった。
現在の横浜市域の中で、鎌倉時代にその郡域に含まれ、かつ、時代特有のエピソードを物語る史跡は数少ない。それだけに、今回取り上げなかったスポットをリサーチしてみるのも面白いだろう。

キニナル投稿に記載されていたサバ神社は、安土桃山時代後期から江戸時代初期にかけて創建された神社であるため、今回は取り上げなかった。
祭神を源義朝(源頼朝の父)とし、境川流域を中心に複数建てられたサバ神社。泉区内では、和泉町神田、和泉町中之宮、和泉町鍋屋、下飯田町宮の脇、上飯田町の五ヶ所に存在する。
義朝が左馬頭であったことから、北条氏をはばかり、この名称で呼ばれたと伝えられる。

同神社についてキニナルという方には、「源義朝を祀るサバ神社その謎に迫る」(江本好一著)を参照してほしい。大変興味深い文献である。
 

―終わり―


参考文献
・「横浜市史」(横浜市総務局市史編集室編)
・「戸塚区史」(戸塚区史刊行委員会編)
・「田谷の洞窟」(吉田孝著)
・「とつか歴史探訪」(戸塚見知楽会編)
・「栄の歴史」(栄の歴史編集委員会編)
 

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  • あのねぇちょっと書いとくけどねぇ、この情報を知ったからって田谷の洞窟って遊び半分にズカズカと入っていくようなところではないのよ。先日おじゃました時、べちゃくちゃおしゃべりしながら御洞内を歩く二人組のババぁがいてとても不快でした。単なる観光地ではなく、あくまでも神聖なカミサマがおられる場所と認識したうえでおじゃまするのでなければ行かないほうがいいですよ。こういうところはむやみやたらと観光地としてネットやテレビで晒さないほうがいいのですが、今の世の中はすぐに興味本位で晒すから人の足跡や手垢で歴史的な物事が汚れていくのですわ。困ったものです。

  • 近所にあって身近な「田谷の洞窟」の意外な歴史を知ることができて とても有意義でした。イラストもJUSTに雰囲気を醸し出していてGOODっす。調査ご苦労様でした。

  • 調査ありがとうございました!朝比奈三郎や護良親王といった、鎌倉の歴史好きにはお馴染みの名前が登場して驚きました。ぜひ訪れてみたいと思います。イラストもとても分かりやすくて参考になりました!神奈川の歴史はやっぱり面白いですね!

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