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横浜のキニナル情報が見つかる! はまれぽ.com

戸部で不思議な標語を掲げる「ヨコハマワープロセンター」って一体なに?

ココがキニナル!

西区の戸部通り沿いにワープロの専門店があります。中古店なのか?この店の謎を知りたいです。また横浜でワープロの知名度、実際に使ってる人とかどれくらい需要があるんでしょうか?(Zoo3さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

長年なれ親しんだワープロでないと駄目だ!という愛好者のための専門店で全国のユーザーから絶大な信頼を得ている。市内の聞き取りで実際の使用者はゼロ。

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ライター:細野 誠治

お店へ突撃してみよう

(続き)

盛況している。その秘密は、ずばり価格。全国に数店舗ある中古ワープロ店の相場は10〜15万円ほどなのだが、田中さんのお店では7~8万円前後。高くても10万円に届くかどうかの値段。

地方ユーザーも送料込みでも充分にお得だ(3ヶ月保証まで付いている)。
「年寄りが1人でやってるんで、安くできるんですよ」
 


ライバル店の広告が貼ってあった


顧客は全国に及ぶそうで(買い取りや修理、販売も郵送でもOK)。「どういうわけだか、お客さんは北海道が多い・・・」と田中さんが笑う。

取材の最中、筆者が昔に使っていた機種を発見! 懐かしいなぁ~。
 


カシオのダーウィン。名機でした!


―閑話休題―

ところで田中さんは、どの機種がお気に入りなんだろう?
「私ぁ、ワープロやらんのですよ。字が汚いんですが、手書き派です」

エーーーーーーーーッ!?

ちなみに店頭の標語だが「田中さんの考えそのもの」なのだそう。田中自身さんはワープロ操作が非常に巧みだが、パソコンは触りもしない。ワープロからパソコンに切りかかったことにうまく対応できないお客さんに向けた標語なんだとか。



もっと田中さんに聞いてみよう



滑らかなキータッチでワープロを操作する田中さん(でも、やらないんだ・・・)。それなのに、どうしてワープロ専門店にしたんだろう。

「機械いじりが好きでしてね、直せるものを扱いたかった」そうだ。
元はテレビ機器の技術者だった田中さん。戦後、反町で開催された貿易博覧会で目にした受像機の映像に「これは、すごいシロモノだ!」と心を奪われたという。

当時まだ、日本にテレビが3000台しかなかった時代。そして田中さんは“日本テレビ受像機の父”こと、高柳健次郎氏に師事し技術を学んだそうだ。

「昔、本牧にあったエリア1の目の前に店を構えててね。基地内のテレビ修理を請け負ったりしたね。英語はまったく喋れなかったけど、面白かった」
 


当時の合格証が誇らしげに貼ってあった


ちなみに筆者が“生年月日部分の書き損じ”を指摘すると…
「あぁ、10歳サバ読もうと思ってね。へへへ・・・」

えぇえぇぇええぇええぇぇえーーーーーーーーっ!?

日本の高度経済成長と共に、テレビ技術者として大忙しの日々を送った田中さん。設置や修理だけでなく、パーツを買い集めてテレビを作って安価で販売したりと、かなりのバイタリティの持ち主だ(「儲かったねぇ〜」と田中さん)。

時が経ち、経済に陰りが見えてきたころ。そして不況の現在。さらにはテレビの地デジ化の時代。田中さんの知っている「ブラウン管テレビ」は姿を消してしまった。

修理・販売店を畳み、好きな機械いじりができるものを探してたどり着いたもの。それがワープロだったというわけだ。
 


銘木コレクターでもある田中さん。店にはコレクションが飾られている




取材を終えて



田中さんを含め、戦後の焼け野原から立ち上がった世代の方々の声は、本当に力強い。僕らの世代としては、叩き上げの体験談を聞くと素直に羨ましかったり奮い立たされたり、ちょっぴり「追いつけない、もどかしさ」に落ち込んだりもしてしまう。

取材中、つい「いいなぁ」とか、「すごい」「羨ましい」という言葉が出てしまった。 そんな一日だった。顏に羨ましさが出てしまったのだろうか?

「日本は強くて、すごい国ですよ。資源も何にもない国が、ここまで来た。これからもっと、絶対に日本は素晴らしい国になりますよ」と田中さんが言った。

エールまでもらってしまった。・・・やっぱり、敵わないかも。


お店から見える景色。「ランドマークがキレイですねぇ」と田中さん

筆者はヘソ曲がりなので“ものを大切にする勿体ない精神”をひけらかす、そんなイイ子な締め方をするつもりなんか、更々ない。

エコとか勿体ないとか、物を大切、地球に優しくとか、全部ぜんぶ当たり前のことじゃないか。そこから始まって、少数派の声にもちゃんと応えてくれることが正しさだったり、優しさの・・・はず。

日の光の下で、少し背を丸めてワープロを直している田中さんの姿が、格好よく見える。 そんな戸部の、ある小さなお店でした。


―終わり―


ヨコハマワープロセンター
住所/西区戸部町4-108 (戸部3丁目バス停1分 掃部山公園入口)
電話/045-231-9083
営業時間/11:00〜15:00
定休日/木曜・日曜・祝日

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  •  このお店は私も利用したことがあります。20年位前だったかな。その頃はまだワープロ専門ではなく家電修理屋さんで、私はCDを読み取りしなくなったCDコンポの修理に使わせてもらいました。値段は忘れたけれど、良心的値段だったと記憶しています。

  • こちらのお店、以前から気になっていました。それなら自分でキニナル投稿すればよかったのだけど(笑)。ともあれレポートを興味深く読ませていただきました。ご高齢の店主ですがいつまでもお元気でご商売を続けられることをお祈りします。

  • つい先日も 愛用のワープロが壊れてメーカーや電器店などで修理を断わられて 最後に行き着いたところでバッチリと再生させてもらった、と喜びの投書を読んだが もしかしてこちら?有意義で張り合いのあるお仕事なさってて 素敵な方だと嬉しくなりました。

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