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野毛に現れる幻のイタリア人彫師。本当にそんな人いるの?

ココがキニナル!

イタリア人ながら、とてもきれいに刺青を彫る彫師さんが野毛にいるらしいです。どんな人で、どんな作品なのかキニナル(トラズキノコさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

彫師の名は、エンリコ・ニコリ。日本に仕事場はないが、あの彫師のもとで勉強を続ける真面目な男。11月7日まで横浜にいるので遭遇できるかも

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ライター:はまれぽ編集部

雑誌を見て来日を決意!



もともと西洋スタイルのタトゥーより日本の伝統的な和彫りに興味があったというエンリコさん。カッラーラの自宅ではクロマツの盆栽を育てるほど日本文化の魅力にのめり込んだ。インターネットや専門誌を読んで知識を吸収しながら「ヨーロピアン・タトゥー」には目もくれず、自身のスタジオでも和彫りを施術。
 
ところが、2001(平成13)年に転機が訪れる。たまたま書店で見かけたタトゥー専門誌に日本の和彫り特集があり、そこに載っていたのは、以前はまれぽでも紹介した「三代目 彫よし」だったのだ。
 


世界的にも評価の高い「三代目 彫よし

 
以前から「タトゥーは『ただのペイント』、和彫りは『すべての絵が融合した芸術』」と考えていたエンリコさんは「三代目 彫よし」に何度も手紙を送った。そして、その年、初めて横浜の地を踏み、「三代目 彫よし」を訪ね、自らの体に「獅子」と「鯉」を刻んだ。
 


右腕の「獅子」と
  

左腕の「鯉」
 

「三代目 彫よし」の“作品”を自らの体に刻み、それを生の教材とすることで、さらに技術を磨いた。
その後も日本とイタリアを往復しながら脚や太もも、背中に「教材」を増やしていった。今回の来日も背中に「龍」を描いてもらうことが主な目的なのだという。
 


「三代目 彫よし」の作品を体に刻み込むエンリコさん

 
初来日から8年以上たった2009(平成21)年10月1日、エンリコさんは自身の身体に「彫えん」の名前を刻んだ。実際に師弟関係ではないものの、エンリコさんが「マイ・ティーチャー」と仰ぐ「三代目 彫よし」に対する感謝や畏敬の念を込め、一字取ったのだという。名前の「えん」にはエンリコさんの名前の一部と「円」「縁」がかけられている。
 


右肩の後ろに彫られた「彫えん」の名


「彫えん」いわく、現在、母国・イタリアでは和彫りを専門にする彫師は5人しかいないという。
タトゥーを彫る店が、インターネットで検索できるだけでも首都ローマやフィレンツェ、ナポリ、ミラノなどの大都市を合わせると40店舗近い数にのぼり、それぞれに「タトゥー・アーティスト」がいるとしても、イタリアの和彫り職人がいかに少ないかが分かる。

「人によって体のラインや骨格、皮ふの硬さが違うから、いつも同じように彫ることはできない。ずっと勉強だよ」というエンリコさん。友人にもその腕を振るったりするが、今の目標は「日本の文字(漢字)を覚えること」だという。「そうすれば、世界が広がるしね」と先を見据えている。
 


一緒に飲んでいたニコルさんの「虎」は“彫えん”の作品

 
ただ、真剣な話をしながらも「恋人の名前なんか彫るヤツいるでしょ? あれはダメだよ。お別れしちゃったら、ねぇ」と時おりジョークも交えてくれるところは、イタリア人気質なのかもしれない。
 
 
 

取材を終えて



片言な英語でのインタビューながら、一番印象に残ったのは「僕は今すごく幸せだよ。だって、ずっと好きだったことを仕事にできているんだから」とモレッティを飲みながら話すエンリコさん、いや、「彫えん」の横顔。
「ここのマスターは、日本のベストフレンドなんだ」と話す野毛のダイニングバーは、「流しのトランペット男」こと、武藤コウスケさんの根城にもなっている。
 


イタリア人彫師と流しのトランペット男が国境を越えた競演!


今も1年に1度は横浜に足を運び、自ら研さんを積むかたわら、野毛の街に夜な夜な現れるという「彫えん」。話を聞いて店を出ようとすると、「イッテラッシャイ」という野毛ならではの挨拶をしてくれる人懐っこさや異文化へ溶け込もうとする態度も魅力的な男だった。

「彫えん」は11月7日に帰国するまでは、毎晩野毛にいるという。和彫りの話でなくても気さくに話しかけてくれる彼とコンタクトを取りたいのなら、野毛に足を運ぶか彼のホームページをのぞいてみてはどうだろう?


―終わり―

 

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  • 古い人間ですが刺青は嫌いです

  • 入れ墨に対しては色々言われているし、私自身は入れようとは思わない。けれど、こうして日本の文化の一つである和彫りを外国の人が愛し、学んでくれる事が非常にうれしい。

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