試験場の建て替え＆増設で設備を充実

規則で「設置は1ヶ所と決まっている」といわれればそれまでだが、今回のキニナル投稿者のように、「試験場が1ヶ所のため、慢性的な混雑で不便だ」という声に対しては、どう考えているのか？

担当者は「遠隔地から来られる受験者の方には、ご不便をおかけてしていると思います」と前置きした上で、次のように説明する。

「本県の運転免許試験場は1ヶ所のため、過去にサブセンター建設を検討したことがあります。この時点では、用地確保、人員および経費負担の問題で断念し、その後は運転免許試験場の建て替えによる充実整備を最優先として、2007（平成19）年に県が策定した“二俣川地区県有地利活用計画”に基づき、2018（平成30）年度の完成を目指し、県立がんセンターの跡地に新庁舎を建設する計画を推進しています」。
　

旧がんセンター

この利活用計画には―

がんセンター(想定敷地面積約3万5千平方メートル程度)
・ 現自動車運転免許試験場の技能試験コース東側に一括整備
・緑地の確保や重粒子線治療施設の導入に対応できる敷地面積を確保
・がんセンターあゆみ園(元身体障害者更生指導所)の機能は、新たながんセン
ター内に移転

自動車運転免許試験場(想定敷地面積 約9万平方メートル程度)
・ 現がんセンターが移転した後の敷地に、技能試験コースとの連携に配慮したうえで、土地の高度利用を図りながら、集約化をした新たな建物を整備
・ 技能試験コースについては、現建物敷地と産業技術短期大学校グラウンドを新たな技能試験コースに転用し、必要な面積を確保
・ 交通安全センターの免許業務の機能を集約

と記載されている。すでにがんセンターの新庁舎は出来上がったようだが、今後は旧がんセンターの跡地に、試験場の設備が増設されることになる。
　

こちらが新しいがんセンター
　

旧がんセンターには試験場設備が増設される予定だ（神奈川県警ウェブサイトより引用）

また、免許証所有者の負担軽減と利便性の向上を図る上で重要な「運転免許証の更新手続き」についても、県警では手を打っている。

すでに1992（平成4）年6月までに、横浜水上警察署を除く全警察署で更新手続きが可能となった。そのほか、5年以上、無事故無違反の「優良運転者」を対象とした運転免許証の即日交付手続きを、横浜市を除く県内6ブロックに分けて整備を進め、2013（平成25）年8月には、5ブロック目となる湘南ブロックの拠点警察署となる鎌倉警察署において運転免許の即日交付業務を開始している。
　

運転免許を即日発行できる

要は、県内には試験場がひとつしかないので、更新の即日交付などに関しては、各ブロック（川崎、小田原、海老名、相模原北、鎌倉）の警察署でもできるようにした、ということ。なお、6ブロック目は、2015（平成27）年を目処に、横須賀・三浦方面の警察署に設置する予定となっている。

取材を終えて

「新たな試験場を設置するためには、広大な用地の確保と人員、経費が必要となり、昨今の厳しい県財政を勘案しますと、困難な状況であることから、現在のところ、設置する予定はありません」というのが、神奈川県警の答えだ。
また、試験場の新設ともなれば、莫大な税金が投入されることになる。みんながみんな運転免許を持っているわけではないので、反発は必至だろう。

それよりも、試験場自体の建て替えや増設、さらに更新手続き場所の分散化などによって効率化を図り、免許所持者が極力二俣川へ足を運ぶことが少なくなるような形を目指していくことは、ある程度評価できると思う。


―終わり―


全国運転免許センター一覧
http://www.menkyo.car-u.co.jp/zenkoku.html

神奈川県道路交通法施行細則
https://www3.e-reikinet.jp/cgi-bin/kanagawa-ken/D1W_login.exe