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本牧山頂公園の草むらの中に突如現れるストーンヘンジのような奇妙なオブジェの正体とは?!

ココがキニナル!

本牧山頂公園にイギリスにある謎だらけのストーンヘンジみたいなものがあります。どうしても気になるので調査をお願いします。(たむたむたむさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

枕木らしき古木を使ったモニュメントのひとつで、園内にはほかにも“円”をイメージした面白いモノが点在。公園独自の自然観・世界観を醸している

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ライター:菱沼 真理奈

ふたたび公園へ

ということで、さっそく公園の管理事務所に電話して取材のアポをとる。その際、取材担当の女性の方にあの円形物体について聞いてみると、「アレは開園当時に造られたらしいモニュメントのひとつなんですが、詳しいことは私もよくわからないので、公園を造成した横浜市の設計担当者や、公園づくりに携わる地元の愛護会の方に話を聞いておきますよ」とありがたいお返事が。

ただし、詳しいことが聞けるかどうかわからないので、あまり期待はしないでほしいとのこと。調査のご協力に感謝しつつ、面白いエピソードが聞けることを期待して電話を切った。

そして数日後、ふたたび本牧山頂公園を訪れ、園内のレストハウスに隣接する管理事務所に取材にうかがった。
 


管理事務所がある公園内のレストハウス


取材に応じてくださったのは、公園を管理する「横浜植木株式会社」の井上雪子(いのうえゆきこ)さん。もともと本牧山頂公園は横浜市の直営だったが、2011(平成23)年から市の指定管理者として同社が運営管理を担っているとのこと。その現地責任者として公園の管理事務所に常駐し、園内の植栽や施設の管理業務に日々携わる井上さんは、広大な公園の隅から隅まで知り尽くした頼もしい存在だ。
 


颯爽とした雰囲気がカッコいい井上さん


まず、レストハウスに展示されている航空写真のパネルを見ながら、本牧山頂公園が開園するまでの経緯についてお聞きした。
 


1949(昭和24)年の本牧地区の航空写真。手前の一帯はアメリカだった


1945(昭和20)年、本牧一帯は米軍に接収され、「和田山」として住民に親しまれていた丘は、米海軍の将校・士官のための高級住宅街となった。そう、戦後から1983(昭和58)年に返還されるまでここはアメリカだったのだ。

その後、この地の歴史的遺産と自然を残すべく、1993(平成5)年から横浜市による公園整備がスタート。地元の住民や町内会の人たちの意見を取り入れながら、公園の植栽・施設・設備などの設計・造成が進められ、2004(平成16)年に第1期区域の約17ヘクタールがオープン。2011(平成23)年には第2期区域5ヘクタールが本牧荒井の丘として公開された。自然の景観と地形を活かした園内には、アメリカ海軍士官の住宅の庭にあった石垣などもそのまま残されている。
 


歴史を物語る石垣




あの“円形物体”の正体に迫るも

開園までの経緯をお聞きしたところで、いよいよ本題の円形物体について話を切り出すと、「うーん、申し訳ないけど」とうつむく井上さん。公園を設計した横浜市の担当者や責任者、公園について詳しい地元の愛護会のメンバーなど、いろいろな人に話を聞いたものの、参考になるような返答は得られなかったそうだ。当時設計に携わった市の担当者の中には定年退職してしまった方もいて、残念ながら連絡が取れなかったという。

ただ、井上さんの個人的な意見としては、「ここはキャンプもできる公園なので、火を円形に囲むキャンプファイヤーなどをイメージした素朴なモニュメントなのではないか」とのこと。さらに、園内にはあの円形物体に限らず、石をサークル状に組んだモニュメントや、丸くカーブしたウッドデッキなど、ちょっと面白いモノがいくつかあるという。
ということで、井上さんの案内のもと、急きょ園内のモニュメント散策へ出かけることに。
 


園内散策へ出発


まずはレストハウス前に鎮座する、石をサークル状に組んだモニュメント。これぞ、まさにストーンヘンジである。
 


石に座って一休みする人も多いそう


メインの通り沿いには用途のない不思議なウッドデッキも。ステージのように見えるが、ライブイベントなどに使われたことは一度もないという。
 


その名も「謎のデッキ」


そして、こちらが「和田山の丘」にある円状のウッドデッキ。木々の緑をぐるりと囲んで丸くカーブしているのがわかる。
 


ぐるぐるりん


さらに、和田山の丘に向かうルートには枕木を敷いたウッドデッキもあるのだが、そこで筆者は足元を見て「あっ!」と声を上げた。このウッドデッキの枕木と、あの謎の円形物体に使われている材木がそっくりなのだ。木の太さや材質といい、朽ち加減や不思議な模様といい、これは同一のものとしか思えない。
 


枕木を敷き詰めた「森のデッキ」
 

枕木にはホチキスの跡のような模様とともに、「1984.3」(日付か?)と記された金属プレートが


あくまでもこれは筆者の憶測だが、「デッキ用の枕木が余ったので、別に意味はないけど、ちょっと面白いモニュメントでも造っちゃおうか」という遊び心から、あの円形物体が誕生したのではないだろうか。誰かにちゃんと見てもらいたいとか、特別な意味や制作の意図とか小難しいことは抜きにして、自然体で思いのままに楽しんでもらえればいいと。

筆者の勝手な憶測について「そんなところかもしれませんね」と井上さんは笑う。あえて人工的な遊具や脇道の電気照明などを設けず、ある意味で“ワイルドな自然そのもの”が体感できるこの公園。園内に多く見られる「素材(ウッド・ストーン)」と「カタチ(円・らせん・サークル)」にも、どこか原始的・太古的なイメージが感じられ、本牧山頂公園の独特な自然観と世界観を醸している。
 


一つひとつの石が円を描く通りの敷石
 

円と石のモチーフがいっぱいの「見晴らし山」
 

静謐(せいひつ)な自然の中に漂う独特の空気感


実際に園内を探し回って見つけた筆者としては、一見の価値&探す価値は十分あるスポットだと断言したい。目立たない場所にあるだけに、見つけた時・対面した時の感動もひとしお。たとえ特別な意味や意図はないとしても、見る者を異次元へと誘う独特の空気感はタダモノではないと感じた。



取材を終えて

今回、あのモニュメントの謎をはっきり解明することはできなかったが、取材を通して今まで知らなかった本牧山頂公園ならではの独自の世界や魅力を体感することができた。今度はプライベートで来園して、犬の散歩や散策をのんびり楽しんでみようと思う。

モニュメントが存在する場所は、探すワクワク感も味わっていただきたいので、あえて伏せておきたい(ヒントは「和田山の丘入口」付近)。ぜひ、はまれぽユーザーの皆さんもそのありかを突き止めて、本牧の小高い丘からはるかイギリスのストーンヘンジに思いを馳せみてはいかがだろう。


―終わり―


本牧山頂公園
住所横浜市中区和田山1-5
電話/045-622-2766
JR石川駅・根岸駅・桜木町駅・横浜駅から市営バス「和田山口」下車
イオン本牧側に駐車場あり(1時間300円)
http://sancho-yokohamaueki.com/parkmap
 

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  • 世の中には無理に意味を見い出す必要のないものも在ります、その場の雰囲気に溶け込む、それが大切、材質は枕木最初の項で解りました、役目を経た枕木は劣化のスピードが低いものです、税金の無駄使い、いいじゃないですか、施工設計者の意図を慮るのも、癒やされる物ですが、と私は思います、取材ご苦労様。

  • 記事中にある大きな環状のウッドデッキが一番謎だと思う。普段は人気もなく見晴らしもなく造った意図が全く見えない。今回は頂上の円は取り上げなかったのですね

  • 近所なのでよく訪れますが、あの黒ニャンコは水飲み場のあたりにいつもいますね。たくさんの愛犬連れの散歩コースになっていて、のどかで雰囲気のいい公園ですよ。

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