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事業費約 1120 億円の戸塚駅西口再開発事業は本当に成功したのか? 後編

ココがキニナル!

戸塚再開発について、地元でも評判がよろしくないように思われます。商店の方や利用している住民の方はどのように思っているんでしょう、生の声を取材してください(山下公園のカモメさん/yakisabazush

はまれぽ調査結果!

現在旭町通商店街では商店街を復活させようとする動きがあり、市も協力的だ。また市民の話を聞くと、再開発の成功・失敗の答えは単純に出るものではないことが分かった。

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ライター:小方 サダオ

旭町通商店街の人に話を伺う

(つづき)

つづいて旭町通商店街にお店を構えるSさんにお話を伺った。

「トツカーナの開発区域内にいた商店の人たちは、半分が反対で半分は賛成でした。しかし区域外の我々は、人の流れが変わるため、ほとんどが反対したのです」

「ビルの構造のために地元の年配の人たちは困っています。トツカーナ3階の駅からバス停に行く場合は分かりやすいです。しかし下の商店街の通りからはビルに入り、2階に上がり、さらに階段を上がり、そしてバス停のエリアに下りなければなりません。商店街のときは平面的でわかりやすかったですが、立体的になるとお年寄りには分かりづらいのです」と答えてくれた。
 


旭町通商店街からバスターミナルに行くためには、まず歩道橋をくぐる
 

つぎにトツカーナの2階に相当する地上に上がる
 

さらに歩道橋に上がる
 

バスターミナルの歩道橋
 

歩道橋を降りると、やっとバスターミナルに着く


さらに旭町通商店街のYさんにお話を伺った。

「私は以前一等地でお店をやっていて、再開発の範囲内の場所だったので、トツカーナに入ることもできました。しかしいろんな都市の再開発を見て調べたところ、地権者は良い場所をもらえるので問題はありませんが、商店を営む我々借家人は中で生き残れないと考え、再開発エリアの外側に出て今のお店を構えました。キーテナントの大企業だけが儲かる仕組みになっているのです」

「この再開発は、全国で1、2を争う大企業・東急と市が手を組んで、地元民をほっぽり出して駅前の一等地を奪い取ったものです。しかも市はこの事業に税金を使っているんですよ。われわれは自ら払った税金を使われて追い出されたことになります。街を壊して、商店街の人と人の絆を壊して・・・。以前はあんないい商店街はありませんでした。450もの商店が軒を連ねていましたが、今では100ほどしか残っていません」
 


東急プラザ


「東急プラザにはスーパーマーケット(東急ストア)が入っています。スーパーマーケットと商店街の営業種目は似ているので、駅前に来てほしくなかったんです。三越や高島屋などのデパートを誘致したらしいのですが、戸塚という場所が悪かったのか、来てくれなかったのです。そこでその場所に以前は商店街の先にあった、区役所を無理やり持ってきたのですが、これがまた問題でした」
 


戸塚区役所のあった場所
 

駅前にある現在の戸塚区役所


「戸塚はベッドタウンとして大きい街で、区役所には毎日2000人ほどの人たちが行き来していました。
その人たちは駅を降り、嫌でも商店街を抜け、その先の区役所を目指したのです。その際に商店街で買い物をしてくれたのです。それを駅前に持っていったものだから、区役所に用事のある人たちが駅前だけで買い物が済んでしまい、わざわざ商店街までくる必要がなくなってしまったのです」

「2000人のお客の動線を我々は奪われたのです。みんな『トツカーナができたら街は良くなる』と期待していました。区民からこんなに文句を言われた事業も全国的に珍しいのではないですか?」と答えてくれた。

これからの商店街について「商店街は地権者と借家人で成り立っていますが、地権者は保証があるので何とかやっていけますが、借家人は土地がない分、必死にアイデアを出して、それが商店街を活性化させるのです」
 


ほのぼの商和会の会員証


「区役所が移転することを知り、危機感を感じたわれわれは、6年ほど前に『ほのぼの商和会』を結成しました。いい商品を出してリピーターを増やそうとしています。そして市にこのような状況になったことの責任を取ってもらうために、区役所の跡地の1000平方メートル中の500平方メートルは我々地元民が運営管理できるように申し出ました。そして市はそれを許可してくれました」
 


戸塚区役所の跡地


「今回のことで、初めて我々商店会は地元の自治会と協力体制を取ることにしました。『街は人と人の絆をつくるもので、地元が良くならなければ住んでいる人たちは不幸になる』との考えで一致しています。我々はこの区役所の跡地を使ってよい街をつくりましょうという目標を持っています。跡地を使うにあたって資本家に来てもらおう、という案も出たのですが、地元市民のことを第一に考えなくてはだめで、借家人たちだけでがんばることにしたのです。そして毎月1回市場を開いています」
 


ほのぼの商和会による、戸塚区民市場
 

「青空 戸塚区民市場」ののぼり
 

道路使用許可証
 

道路を歩行者天国にしての青空戸塚区民市場
 

三崎港からのトラック
 

三崎のマグロの特売が人気だ
 

雨にもかかわらず盛況だ
 

靴屋などさまざまな店が出店している
 

インド・パキスタン料理のテント
 

「浜コロ」のコロッケと焼き鳥
 

元気な女性店員の声で活気づく「青空 戸塚区民市場」
 

ほのぼの商和会の会員の人たち


「今政治家は大企業に儲けさせたら世の中が上手くいく、といった考えです。しかし中小・零細企業の割合が8割なんです。市も大企業に頼ろう、という姿勢ですから国と同じですよ。街を良くしたいならば地元の人たちが良くなるように考えてほしいものです」と答えてくれた。