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資源回収日に出した古着はどこへ!? 横浜の最新「古布」リサイクル事情を追う!

ココがキニナル!

まだ十分使えるけど、売る程では無い古着。洗濯してから、横浜市の「布類」の回収に出しています。本当に衣料品として再利用されているの? 実は燃やされていたりする? (オオバさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

古布(古着)は民間業者による「資源集団回収」で集められ、軍手などに再利用、有効活用中。リサイクル率向上のために正しい出し方、分け方に協力を

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ライター:大野 ルミコ

古布リサイクルの現場へ



次に訪れたのは、同じく横浜市の資源回収登録業者である、横浜市南区新川町
の「ナカノ株式会社」さん。1934(昭和9)年(!)、横浜市内の古布・古繊維を回収する「故繊維問屋」として創業。以来、現在に至るまで古着・古布の回収、故繊維をリサイクルした軍手やウエス(工業用の布)などの製造・販売などを行っているという。

うーん。リサイクルの理念を戦前から貫いているとは・・・スゴイ。
 


本社ビルは静かな住宅地の一角にある


今回お会いしたのは、同社のリサイクル部事業企画室長の窪田恭史(くぼた・やすふみ)さん。同社で製造・販売している商品やリサイクル現場の写真などを見せていただきつつ、古布再生・リサイクルの“現在”についてお聞きした。
 


株式会社ナカノの窪田さん。お時間いただきありがとうございます!


「自治会・町内会と登録業者による『資源集団回収』での古布回収は、古くから盛んにおこなわれています。2005(平成17)年に横浜市による行政回収が行われるようになりましたが、近年はそれも縮小し、今は、また民間による資源集団回収での回収に戻っていく傾向にあります」と語る窪田さん。

かつては、着なくなった洋服をリサイクルするという概念が浸透しておらず、燃えるごみと一緒に捨てられてしまうことも多かったようだが、市民団体などとも協力したさまざまな啓発活動により、今では「市民のみなさんの意識も高まり、リサイクル率が大幅にアップしました」という。

――では、集められた古着・古布はどのようにリサイクルされているのだろうか。

ナカノでは、集められた衣類などを主に秦野市にある自社工場へと送り、そこで洋服として再利用されるもの、ウエス(工業用の雑巾)や綿に生まれ変わる原料に分別、選定。また、秦野工場と同様の作業とリサイクル軍手の製造を、フィリピンの自社工場でも行っているという。
 


集積所から回収された古着や古布は秦野工場に送られる
 

運ばれてきた衣類をひとつひとつチェックし、選別


実はこの「選別」の工程こそ、古布リサイクルの“キモ”となるポイントだ。

ナカノでも選別には「汚れや破れの有無はもちろん、色、素材など、覚えきれないくらい細かい基準がある」(窪田さん)という。ここで、汚れも破れもない程度の良いものや、デザインや素材などに人気があり、ニーズが高いものは古着としての再利用が決定する。

しかし、いくら見た目がキレイでデザインが人気でも、再利用できないものも出てくるのだとか。それはどういったものなのだろうか。
 


古布を再利用し、工業用のウエス(雑巾)もつくられる。


それは窪田さんいわく「回収への出し方が大きく影響している」という。

「衣類が一度でも濡れてしまったり、ほかのごみが入り込んだりしていると、それはもう古着としても綿の原料としても再利用できません。その時はきれいに見えても、後日、カビやニオイがついてしまう可能性がありますから・・・。また、きちんと洗濯して、ビニールに入れていても、雨がビニールに浸透してずぶ濡れになっていたり、長時間放置することで中に湿気がたまり、洋服が濡れてしまう――なんてケースもよくあるんですよ」
 


状態・種類ごとにまとめられ、海外へ輸出される衣類


着なくなった洋服を資源集団回収に出すときは、洗濯後、ビニールに入れて口をしっかりと閉め「天気がくずれる心配のない、回収日の朝」に出すことが重要なのだ。



どんなものに再利用される?

先述したとおり、ナカノで集められた衣類は、古着として再利用されるものは主に海外のバイヤーによって引き取られ、新たな持ち主の手に渡ることとなる。そして、古着として再利用しない衣類は、その「繊維」を再利用し、軍手や工場用のウエスなどに生まれ変わるのだ。
 


本社の倉庫には、繊維を再利用して作られた軍手がいっぱい!


そして近年、ナカノが取り組んでいるのが、古布をリサイクルしたアイデア商品の提案だ。その中でも古着をほぐして綿に戻してから糸を作成し、編み上げた「特殊紡績手袋 よみがえり」は「かながわリサイクル認定商品」「第16期ヨコハマ・グッズ 横濱001」にも選定された話題の商品だ。
 


古着・古布から生まれた「特殊紡績手袋 よみがえり」


一般に出回っている軍手をはるかに上回る強度、機能を保ちつつ、普段使いもできる温かな色合いとデザイン。この「特殊紡績手袋 よみがえり」の開発には「古着や古布は、出した後にどうなるか分からなくて、どうも身近に感じられないという声が多かった」ことが背景にあるという。

「それに、中には、やむを得ない事情で、思い入れのある洋服を泣く泣く資源回収に出された――という方もいらっしゃると思うんです。そういった持ち主の方の“忍びなさ”をむげにはできないという気持ちもありました」

なんと! 洋服を出した人の“想い”にまで目を向けていたとは・・・。
 


原料である古着の色をそのまま反映した、何ともいえない風合い


確かに筆者も引越しの時、家族を亡くした時、古くなった洋服を「仕方なく」大量に処分したことがあった。古着として再利用できるような状態の良いものではなかったので「燃やされてしまっていても仕方ない・・・」と思っていたけれど、その“繊維”がこうしてリサイクルされて誰かの役にたっているとしたら――それはちょっとうれしいかも。

分別とかちょっと面倒くさい・・・そう思っていた自分を反省した取材だった。



取材を終えて



取材の最後に窪田さんに「ナカノさんで扱う古着・古布のリサイクル率は?」と聞いたところ「国内・海外含めて90%は再利用できている」との返事をいただいた。
これはもちろん、横浜市全体の数値ではないが、結論として「資源集団回収された布類・衣類の大部分はリサイクルされ、有効に活用されている」といっていいだろう。
そして、その数字は古布の「出し方」によってさらにアップするはず――ということを重ねて強調しておきたい。

「着なくなった洋服は、決して『ごみ』ではないんです」
――窪田さんが取材中におっしゃったこの言葉が、すべてを物語っている気がした。


―終わり―
 

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  • 繊維として出した服がどのようにリサイクルされるのか気になっていました。およそ9割が再利用されるとのレポートでほっとしました。出し方が悪いとだめなのですね。もっとビニールの口をきっちり結べばよかったと反省しています。ありがとうございました。

  • 古布は自前で雑巾化して最早雑巾にすらならなくなるまで酷使してから、燃やすしかない状態なので、燃えるゴミとして出していました。

  • レポートありがとう御座いました。毎回、古布を洗濯して回収に出すたびに、悩んでいたんですよね。本当に再利用してくれるのかな、こんな服でもリサイクルするのかな、そもそも、どんな布でも古布で出して良いのかな、って。ちゃんと程度によって仕分けて頂いて、そのまま服として、あるものは繊維として、ちゃんとリサイクルされていたのですね。関係者の皆様には、本当に感謝です。みなさま、本当に、ありがとうございました!

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