「心温まるアナウンスをした」とネットで話題の横浜市営バス乗務員、鈴木健児さんの素顔に直撃!
ココがキニナル!
今、ネットで話題の市営バスの運転手、鈴木健児さんに話を伺ってください。(山下公園のカモメさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
ドライバー歴19年の鈴木健児さんは真面目でシャイな人。市営バスの乗客対応の方針「プラスワン」にのっとり普段と同じ心がけで乗客に声をかけた
ライター:はまれぽ編集部
鈴木さんの経験
「市営バスは今、ベビーカーを広げたまま乗車してもいいと告知をしているのですが、あのお母さんはたたんで乗車していた。そこで“この方は乗車マナーにとても気を遣う方なんだな”と思いました。その後もずっと心配そうに周囲の様子を見ていたので、つい声をかけたんだと思います」
ここで、鈴木さんご自身に小さいお子さんがいるのか聞いてみた。すると、予想とは全然違う答えが返ってきた。
「僕の子どもは3人いて、1番上は女の子で大学2年生。2番目の男の子は高校2年生。末っ子も男の子で中学2年生です」
小さいお子さんのイクメン説は消えた
「そういえば・・・。僕自身の経験もあって、あのお母さんに声をかけたのかもしれませんね」
鈴木さんは話を続ける。
「僕の子どもがまだ小さかったときのこと。妻から聞かされた話にショックを受けた経験があります。妻が日中電車で買い物に行ったときに、子どもが泣いてしまい、あやしていたら車内で知らない男性に“うるさい!”と言われ子どもの頭を突然ぶたれた、というのです。妻はあまりに泣くので電車を途中下車しながら移動していた、と言っていたのでとても驚きました」
そんな心無い人がいるのだろうか、と信じられないが、本当に起こった話。鷹揚に話す鈴木さんの語気が、ほんの少し強くなった。
「そうした経験もあり、子どもが泣くのは仕方がない。子育てをしているお母さんの気持ちを理解してほしい、そういう思いがあったのかもしれませんね」
すぐまた穏やかな顔に戻って笑った
とても正義感が強く、きちんと物事と向き合う姿勢の鈴木さん。家族想いだということも分かった。もう少し鈴木さんご自身について話を聞いてみたくなり、いくつか質問をしてみる。
鈴木さんは1968(昭和43)年12月11日生まれの46歳。干支は申年。血液型はA型で星座はいて座。出身は横浜市港北区。まさにこの港北営業所は地元なのだそう。好きな食べ物は鈴木さんのお住まいの近くにある「弁当家」の唐揚げ。
生粋の浜っ子
続いて、仕事のやりがいについて伺う。
「生まれ育った地元へ恩返しがしたい、と思ってこの仕事につけたのでよかったです。人の命を預かる仕事なので、気を抜くことができません。でも、お客様から“ありがとう”とか、顔を覚えていてくれるのか“お疲れさま”などと言っていただけると疲れはふっとびますね」
ドライバー歴20年目、鈴木さんの右胸のプレートに目を向けると・・・
金色のプレートに「横浜市営バス マスタードライバー」の文字。市営バスの全乗務員は今1500人ほどいるなか、170人ほどしか持っていないこの肩書き。
これは、過去にもはまれぽで記事にしたが2011(平成23)年に始まった交通局の制度で「きちんと業務を行っている乗務員を評価する」ためのもの。基本的な運転技術だけではなく「無事故」であり「エコドライブ技術」があり「接遇意識」が高い乗務員が選ばれる。
9人に1人しか取得していないマスタードライバー
鈴木さんは定年まで市営バスに勤めようと思っているという。そのためにも、ふだん乗務員として安全で快適な運転をするだけではなく「職員として」新しいことにもチャレンジしたいと思っているのだそう。
今までに鈴木さんは多数の資格を獲得した。お客さんのサービス向上の基礎を身に着ける「サービス接遇検定」準1級、「衛生管理者」1種、そして「運行管理者」など。
徳増さんは「市営バスでは乗務員にサービス接遇検定の受験や“プラスワン(基本の安全確認の発声以外の声掛け)”などを推奨しています。今回取り上げてくださった鈴木の声掛けも交通局として取り組んでいる“プラスワン”の一環です」と乗客への対応についての取り組みについて解説してくれた。
ただ、どんなに心がけていても乗務員に対してのクレームがないわけではない。「運転が荒い」「自分が期待していた対応をしてくれなかった」など、営業所に電話やメールが来ることがある。その際には「まず乗務員に事実確認をしたうえで、適切な指導をしています」とのことだった。
サービス業の宿命だ
鈴木さんに「これから乗務員としてやってみたいことは?」と伺うと「本当はお客さん一人ひとりの顔を見て挨拶をしたいんですが、どうも照れてしまって目を見ることができないんです・・・」と手にしたハンカチでしきりに汗を拭く。
穏やかで真面目。何事にも真剣でまっすぐ。「本当に当たり前のことをしているだけのことです」と繰り返す鈴木さん。ちなみに今回のアナウンスがネットで話題になったことについて「この取材で6回目」と言っていた。
これからも、市営バスの顔として活躍してください
徳増さんは「こんな風に報道されて驚いていますが、鈴木が私たち市営バスの乗務員として認めてもらえ、よかった」と顔をほころばせていた。
取材を終えて
鈴木さんはとても家庭を大切にしている。お子さんには「“あおいくま”だぞ」とよく言うのだそうだ。
「あ」は「慌てない」。「お」は「怒るな」。「い」は「いばるな」。「く」は「腐るな」。「ま」は「負けるな」。
これがお子さんが壁にぶつかったときをみはからい、声をかける言葉。きっと、お子さんに言うだけではなく、鈴木さんも普段から心がけているのだろう。芯の強そうな、まっすぐな目からそれを感じた。
そして「この“あおいくま”、タレントのコロッケさんがお母さんに言われていたことのパクリなんですよ・・・」と照れていた。
ー終わりー
八景のカズさん
2015年12月25日 21時44分
世知辛い世の中、ニュースで聞いたとき感動しました。神奈中バス運転手のマナーが悪いと私も感じていますが、運転手は神奈中の社員ではなく傘下の子会社社員となっているので、待遇が悪いそうです。
白マントさん
2015年09月14日 03時51分
東急バス新羽営業所の運転手さんも素敵な方いらっしゃいました。新横浜から溝の口までのバス。多摩川梨や稲城の梨とブドウを買いに行った際に利用した帰り、うっかり梨が転がり…大切なお土産ですから、落とし忘れないように。楽しい思い出もちゃんとお持ち帰り下さいね!って車内アナウンスを…神奈中バスも丹沢や津久井方面の運転手さんならよくあるが、新横浜から保土ヶ谷までの路線バスでも素敵な運転手さん!上星川の満天の湯の帰り、汗が止まらないのでタオルを首に巻いた私を見て、お疲れ様です、あとはバス車内でおくつろぎを…と運賃支払いの時に一言!(笑)新横浜発着のバス運転手さんは素敵な方が多い?京急バスの三崎営業所の運転手さんの場合、シュノーケリングの帰りに三浦スイカを買って乗ったら、いいスイカが買えましたね、割らないようにご自宅まで、スイカ割りの際には海水浴場まで京急バスをご利用下さい…と(笑)
水無月さん
2015年09月13日 11時18分
>>あぶあぶさん残念ながら私の地域ではマナーの悪い神奈中バスのドライバーさんを多くお見受けします。当然今回の記事のような良心的なドライバーさんもたくさんいらっしゃるとは思うのですが贔屓目にみても運転・接客で目に余る方は残念ながら少なくなく感じます。