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大船軒のサンドウイッチの「鎌倉ハム」は横浜で作られている!?

ココがキニナル!

大船軒サンドウイッチは日本で最初にサンドウイッチを弁当にした歴史ある駅弁で使用しているのは鎌倉ハムだが、鎌倉ハムは実は横浜市内の工場で作られているという噂を聞きました。真相は?(白マントさん)

はまれぽ調査結果!

大船軒サンドウイッチの鎌倉ハムは、生まれも育ちも鎌倉。現在も鎌倉市内の工場で生産されている。発祥の地が横浜市に編入されていた

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ライター:岡田 幸子

鎌倉ハム誕生の経緯とは?

 
大船軒のお二人からご紹介を受けてお話を伺ったのは、鎌倉ハム富岡商会 企画室の秋本宣治(あきもと・のぶはる)室長だ。

 

 創業時のデザインを残したロゴと一緒にパチリ


「大船軒のサンドウイッチ用に使われているハムは、弊社のハムで間違いありません。ハムは創業から現在まで一貫して、ここ、本社工場にて製造されています」

 

 今春竣工したばかりの新工場で、鎌倉ハムは生産されている

ちなみに、この新工場には鎌倉ハムの歴史や生産工程が見学できる展示室や見学通路、ソーセージの手作り体験ができる教室や工場直営ショップも備えられている。2016年6月より随時一般公開が始まるこの新工場については、次回レポートする予定だ。

それはともかく、やはり鎌倉ハムは鎌倉産ということでファイナルアンサーですね!?

「その前に、鎌倉ハム誕生の経緯について少しお話しましょうか。ペリー来航の10年後、1863(文久3)年に来日した英国人、ウイリアム・カーチスが、鎌倉ハム誕生の立役者です」と、秋本室長。


開港間もない横浜に上陸したカーチスは、西洋野菜の苗を日本に持ち込み、居留地在住の外国人の生活を支えた。1874(明治7)年には鎌倉郡下柏尾村にホテルを創業し、裏手に牧場を作って家畜の育成、ハムやベーコン、牛乳、バターなどの製造を始めたという。

「当時の観光というと、東京や横浜から金沢八景を経由して、江の島や大山、箱根などを訪れるのが定番でした。カーチスがホテルを開いた場所は、ちょうどそのルート上にあったようですね」

カーチスはかたくなにハムの製法を秘密にしていた。しかし、1884(明治17)年、地震により工場から出火した際、近隣住民が消火活動を助けたことをきっかけに態度を軟化。秘伝のハム製法を周囲の日本人に伝えるようになったという。

これをきっかけとして、現在の鎌倉市北部一帯には複数のハム製造者、技術者が育つこととなる。その技術を受け継いだ製造業者の一人が、大船軒並びに鎌倉ハム富岡商会の創業者・富岡周蔵であったのだ。

 

 地下室で行われていたハムの漬け込み作業(富岡商会HPより)


カーチスの製法を受け継ぎ、鎌倉で製造されたハムは、横浜、箱根などの一流ホテルに出荷されるようになる。するとそのおいしさでたちまち評判となり、発祥の地から「鎌倉ハム」と称されるようになった。

周蔵が大船軒から独立させた鎌倉ハム富岡商会のビジネスは、国内のハム人気に押される形でたちまち軌道にのる。1919(大正8)年の畜産工芸博覧会ではハム・ベーコンが名誉賞を受賞。その後の平和記念東京博覧会でも1922(大正11)年には金牌、1925(大正14)年には名誉大賞牌と、品質を認められての受賞が続いた。当時、鎌倉ハム富岡商会の生産高は日本一を誇り、名実ともに業界をリードする立場にあったようだ。

 

 国内に数台だったフォードT型運送車で人々を驚かせたとか(富岡商会HPより)


「洋食文化の広がりを受けて、多彩な商品を展開。ハムやチキンライスなどの缶詰は百貨店などで販売されるようになり、身近なものとして一般家庭にも広がっていったのです。少しずつ現代にあった味へと移り変わってきましたが、伝統は変わらず受け継いでいます」と、秋本室長。

1921(大正10)年には、時代に先駆けて自社工場内に電力による冷蔵庫を導入して周囲を驚かせたというエピソードも。今でこそ当たり前のことであるが、電力がまだ一般に供給されていない当時、人々の驚きはいかばかりのものであっただろう。

 

 江ノ島から専用線をひいて電化したというレジェンドも!(富岡商会HPより)



 

鎌倉ハム発祥の地で大どんでん返し!


 
来日英国人の技が土地に根づき、発展してきた鎌倉ハム。最後にその発祥の地を訪ねて終わろう。

秋本室長によると「東海道、つまり現在の国道1号線沿いで、工場が複数並んだあたりの正面側のようです。パン工場や製紙工場、以前は化粧品工場があったあたりの向かいで・・・」

 

 ふむふむ、このあたりですね
 

 ・・・って、あれ?(☆印が鎌倉ハム発祥地付近)
 

 うそー!


そう、ウイリアム・カーチスがハム製造をスタートさせた地は、現在では「横浜市戸塚区柏尾町」。鎌倉市ではなく横浜市なのだ。

横浜市ホームページによると、鎌倉郡下柏尾村は1889(明治22)年に、上柏尾村、前山田村、後山田村、品濃村、平戸村、舞岡村、永谷村の飛び地とあわせて川上村大字下柏尾となり、その後、1939(昭和14)年に鎌倉郡から横浜市となった際に戸塚区柏尾町として再編成されたという。

最後の最後に大きなどんでん返し。やはり事件は現場で起きていた。


 
取材を終えて
 
ちなみに、鎌倉ハム富岡商会以外にも「鎌倉ハム」を製造販売している企業は複数ある。カーチスの元でなんらかの形で製法を学び、鎌倉をルーツとして発展してきたものらしい。

秋本室長曰く「鎌倉生まれの鎌倉ハムが、鎌倉を起点に日本の新しい食文化を支えてきたということを知らない方に、新工場の歴史資料館などを通して情報発信していきたい」とのこと。

富岡周蔵の妻が薩摩出身で、黒田清隆とのつながりには薩摩藩の人脈が関与していたなど、時代の躍動を感じるお話をたくさん聞くことができた。

鎌倉郡下柏尾村で誕生し、その後鎌倉市で大きく飛躍した鎌倉ハム。現在も鎌倉ハム富岡商会のハムは鎌倉市内で生産されており、個人的には「鎌倉ハムは鎌倉産」でファイナルアンサーとしたい気分だ。

みなさんのファイナルアンサーはいかがだろうか?

  
―終わり―
 

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  • kodama_koさんのコメント「蒔田にもあるよ!」に、そう思わないが多数クリックされていますが・・・南区共進町(蒔田)にあります。でも蒔田にあるのは「鎌倉ハム石井商会」です。もしかしたらキニナルコメント主の横浜市内の工場で作られているとは、鎌倉ハム石井商会の事だと勘違いされていたのではないでしょうかね? 大船軒さんのサンドウイッチは鎌倉ハム富岡商会さんのハムなので横浜ではないものだと・・・

  • 名古屋のハム業者が本家直系との謳い文句で名古屋周辺で作ったハムを鎌倉ハムとして販売しています。もはや鎌倉ハムではないと思いますが。いかがなものかと思います。どうしてなのかレポートお願いします。戸塚区民としてもやもやしてます。

  • 調査して頂き、ありがとうございました!今は埼玉県で製造していたとは…でもハムは鎌倉ハムを使用!なるほど、鎌倉ハムは鎌倉で製造しているが、発祥の地が横浜市戸塚区に編入されていたということだったとは!驚きの驚きです。ちなみに戸塚区、鎌倉石の敷居が見つかるなど、鎌倉と縁のある地域みたいですね。

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