開店前から大行列!? 朝採れ野菜を販売する西谷の野菜直売所に突撃!
ココがキニナル!
西谷にある野菜直売所「FRESCO」がキニナル。味が良いだけではなく農業塾や見学ツアーを開催したり、日本で苅部さんだけが栽培している「苅部大根」という品種もあるらしい(山下公園のカモメさん)
はまれぽ調査結果!
「FRESCO」は苅部さんが育んだこだわりの野菜が並ぶ直売所。横浜の新名物を作る「はまトピ」「横浜ワイン」など、活動の今後にも要注目。
ライター:福原 麻実
こだわりの新鮮野菜が並ぶ直売所「FRESCO」へ!
お昼休憩を挟んで、今度は直売所を見学させていただいた。
開店前の店内にどんどん野菜が並べられる
なんかほっこりする風景
こだわりの野菜なのに、いずれもスーパーのような感覚で買えるお値段。
それゆえに、開店5分前になると・・・
行列ができている
行列を見て「わー! こんなに並んでる!」と思ったのだが、この日は天候が良くなかったので、行列は短めだという。長い日は写真右側の新幹線が走る高架を越えて、さらに向こう側まで行列が続いているそう。
日々の食卓のための野菜を買いにくる主婦もいれば、「お店用の仕入れ」として驚くほどたくさん買う料理人のお客さんもいる。
プロにとっても、並んででも手に入れたい苅部さんの野菜。手法や鮮度へのこだわりがあるからこその美味しさなのだろうが、そのこだわりの根底には、苅部さんのどんな思いがあるのだろうか。
「野菜本来の力」を発揮する? 苅部さんの野菜が美味しい理由とは
興味深いものを、苅部さんが見せてくださった。
このカバーで覆われているものは
何やら枯れた木のような・・・?
これは種が採れるまで育ったダイコン。「ダイコン」と言われて浮かべる、見慣れた野菜の姿との違いに驚いたが、確かにアブラナの種に似たものがたくさんついていて「そういえばダイコンもアブラナ科だった」と思い出す筆者。そしてよく見ると下(写真中央あたり)にダイコンらしきものが埋まっている。
苅部さんは野菜を栽培して収穫するだけではなく、こうやって、種子を取り出している。
通常はよそから仕入れるはずの野菜の種子を自分で保存し、そして育てる。その土地で代を重ね、真にその土地に根ざすことで、野菜は本来の力を発揮するというのが苅部さんの考えだ。
土地に根ざした野菜が、その力が損なわれないように新鮮なうちに人々の手に届けられる。苅部さんの野菜の美味しさ、そして「FRESCO」の人気の理由はここにあったのだ。
苅部さんの野菜の味が生きる逸品を求めて!
丁寧に育てられた苅部さんの野菜。プロの料理人によってこれらがどんな料理になるのだろう?
というわけで、イセザキ・モールの路地裏、普段から苅部さんの野菜を使っている1958(昭和33)年創業の天ぷら屋さん「登良屋」へ。
入る前から、胡麻油の香りに誘惑される筆者
天ぷらの盛り合わせなど、おすすめのメニューをいくつかいただいた。
わくわく
この天ぷら盛り合わせの中にある、苅部さんのお野菜は・・・
これ、は・・・?
なんと、ズッキーニ
「え、これがズッキーニ!?」と二度見してしまうサイズだ。箸で持ち上げてみるが・・・重い!
箸上げポーズでにっこりしてみせたいところだが、無理だった。重くて、じっと持っていると落としそうだったのだ。
薄々分かっていたが、熱い! が、熱さがすぐに「旨い」に変わる
一口食べてみると、滴りそうに水分が溢れてくる。カラッとした衣とのギャップにも驚くが、ズッキーニにこれほど旨味があることにもびっくりする。
おいしいものを「旨い」と表現することがあるが、この言葉はこのズッキーニにぴったりだと思う。揚げ油である胡麻油の香りとズッキーニの旨味の相性の良さ。絶品であった。
生まれて初めて、一切れのズッキーニに「食べごたえ」を感じた筆者。次に食べたのは・・・
焼きナス、枝豆、そして生のトウモロコシ!
枝豆って熱中するよね
味の濃い、しっかりした食感。作業場で触ったとき、葉の一枚一枚に至るまで、いきいきしていた枝豆の姿を思い出す。
続いて、輪切りになった姿がパステルカラーのひまわりのような・・・
生のトウモロコシを、いただく
これまで、畑に入って収穫したばかりの野菜をかじっているシーンを見ても「生でも食べられるくらい新鮮」という表現でしかないと思っていた。「食べられる」だけで「美味しい」ではない。だって加熱で甘みが増すんじゃないの? と。
しかし、甘かったのだ。生で、シャキシャキした食感なのに、熟したフルーツのように。
「何でも『甘い!』って言うのはいかがなものか」と思っていたのに。
いろいろな思い込みを反省しながら、次は・・・
焼きナス!
香ばしい! でも瑞々しい! 生姜の香りと一緒に思いっきり堪能する。しょうゆをかけずに、このままいただいた。至福。
広瀬も、撮影しながら一緒に食べました
素晴らしい野菜と繊細な調理。仕事を忘れかけていたが、広瀬のカメラが「休憩に来たんじゃないですよ」とばかりに、こちらに向けられている(気がした)ので、お仕事モードに頭を切り替え、ご主人の荒井つとむさんにお話を伺った。
荒井さんと苅部さんの出会いは、なんとお二人がまだ現在の仕事を始めるよりももっと前で、同級生だったのだという。
老舗の名店を継ぐ料理人と、野菜作りの第一人者が机を並べていた
もちろん、苅部さんの野菜を仕入れているのは「同級生だから」ではなく、食材として最上級のものだからだ。
先程天ぷらでいただいたズッキーニの輪切りを、見せてくださった。
厚さは1cmくらいだっただろうか。直径が非常に大きい
輪切りにする前のサイズを「これくらい」と表現したご主人の手の動きを見ると、長さも25~30cmと、市販されるズッキーニでは見たことのない大きさ。思わず「ヘチマみたいですね」と言ってしまう筆者。
この大きさにするため、登良屋専用で特別に長い期間を育ててもらっているそう。通常、大きく育てた野菜というのは、どうしても「時期を過ぎた味」というか、大味になってしまう。しかし苅部さんの野菜はそういったことがなく、味は通常サイズのものと劣ることなく食べごたえが増すので、お客さんにも好評だという。
そんな野菜だからこそ、天然物の魚介のみを使うなど、食材にこだわる登良屋でもずっと仕入れを続けているのだ。
メニューは日によって変わるので、毎日手書きされている
登良屋では魚も野菜も入荷される種類が常に変わるため、提供可能なメニューがその日によって異なるので、その日のメニューを知りたい場合は来店前に電話で確認してほしいとのこと。
取材を終えて
「FRESCO」のお客さんの中には、持ちきれないようなたくさんの野菜を、キャリーや大きなバッグで持って帰る人が多い。そんな話を作業場でお母さんに教えてもらった。
夕方より少し早い時間に、下りの相鉄線で何度かダイコンが生えている(はみ出ている)大きなリュックを背負った人を見かけたことがあり、密かに気になっていた。今回、その謎が解けた思いがしてちょっと嬉しい。
背負って電車に乗る人がいるほどの野菜。ぜひ「FRESCO」に実物を見に行ってほしい。
―終わり―
取材協力
横浜農家の採れたて旬の野菜直売所「FRESCO」
住所/横浜市保土ケ谷区西谷町962
営業日/月・水・金
営業時間/14:00-18:00
お問合せ/090-2646-4147
登良屋(とらや)
住所/横浜市中区吉田町2-3
営業時間/11:00~21:00(L.O.20:30)※ランチタイム 11:00~16:00
定休日/日曜日
電話番号/045-251-2271
まつこさん
2016年12月25日 10時41分
野菜が人と人を繋ぐ。素敵です。冬野菜の取材もして欲しいです。
ホトリコさん
2016年07月26日 13時13分
小学生の頃に通学中に横目に見ていた畑が出てきて懐かしかったです。