かつて金沢区の金沢沖に空港建設計画があったって本当?
ココがキニナル!
昭和60年くらいに海の公園の金沢沖に空港を作る構想があったと記憶しています。あの構想はどんな理由で消えてしまったのかキニナルので調査お願いします。(浜っ子五代目さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
中ノ瀬は将来の航空需要のためにあがった「首都圏第三空港構想」の候補地だった。結果的に羽田空港の再拡張案に優位性があり、中ノ瀬案はなくなった
ライター:小方 サダオ
空港建設案について周辺住民の思いは
続いて金沢沖の中ノ瀬について周辺住民の声を聞いてみることにした。
近くに住む住人は「金沢沖は漁業関係者の区域なので、空港を作る場合は、その人たちへの補償が大変で実現は難しいでしょう。八景島の埋め立ての時も同様の補償をしているはずです」と話す。
続けて、「かつての追浜飛行場に隣接していた野島には、ゼロ戦の格納庫跡が残っています。野島は八景島に近い場所でもありますし、金沢区には飛行場があった歴史があるので、空港を建設する場所として適しているのかもしれません」という。
1945(昭和20)年ごろ、野島の近くには日本海軍の追浜飛行場があった
航空機を空襲から守る施設、掩体壕(えんたいごう)
また、ある漁業組合の関係者に伺うと「組合の役員会などでも正式な形として出た話ではなく、噂として飛行場建設の話を何回か聞いたことがあります。仲間内では『作るとしたら東京湾にある中ノ瀬という浅瀬のあたりかね』などと言っていました」と証言してくれた。
横浜市漁業組合の支所にあたる金沢区の柴漁港
「私たちとしては、中ノ瀬は漁場として使っているので埋め立てられると問題ではありますが、計画は現実味を帯びた話ではありませんでした。バブルのころの話だったので、景気の良い話を出して地域の経済活動の活性化を考えたのではないでしょうか? 当時から東京湾は船舶の往来で密集していました。大型観光船の寄港も増加している今の時代ではなおさらです」とのこと。
東京湾は大型観光船の寄港も増加しているという
また柴漁港の近くで古くから営業している店の店主に伺うと「バブルのころ、中ノ瀬を埋め立てて、幅4km・長さ8kmの滑走路を造る計画がありました。大型の飛行機が離着陸できる大きさだったそうです」
「柴漁港の漁師の漁場は川崎から横須賀まであります。そのため、本牧や小柴の埋め立ての時は補償金がもらえたのですが、空港建設の場合は計画がなくなってしまったため、『補償金をもらい損ねた』と残念がる人がいました」という。
中ノ瀬(緑矢印)が埋め立てられると補償金がもらえたという。青矢印は海の公園
店主からは、金沢区の黒川すみお議員が当時空港建設の活動に熱心だった、と教えていただいたので黒川議員に会いに行くことにした。
空港建設活動について
すでに引退した黒川すみお議員の跡を継いだ、息子さんの横浜市の黒川まさる議員に話を伺った。
黒川まさる議員
黒川議員に「首都圏第三空港構想」の話を伺うと「横浜にとって念願の計画だったのですが、実現できなかったのは残念です。空港があれば横浜の経済状況は大きく変わっていたと思います。当時は横浜青年会議所などで、『横浜に空港を』というシンポジウムを開催していました」とのこと。
「中ノ瀬への連絡道路に関しては、本牧や環状南線の終着点であり交通の結節点でもある並木ジャンクションなどから、連絡する道路の案がいくつもありました」という。
並木ジャンクションから中ノ瀬(青線)など複数案が出たという
中ノ瀬の空港計画が終わった理由については、前述の住民の話のとおり、黒川議員も、中ノ瀬は豊富な漁場であり、船舶の過密な航路であること。また、バブルも終わり予算捻出が難しくなったことなどを挙げていた。
さらに黒川議員は「東京都に近い、静岡県と茨城県に空港が出来たことも影響しました。静岡県は2009(平成21)年6月に静岡空港が、茨城県には2010(平成22)年3月に茨城空港が開港しています。そして、新しい空港を一から作るより現存する空港の役割を拡張するという羽田空港の拡張案のほうが、実現性が高いということで落ち着いたのです」と話してくれた。
東京湾上に提案された候補地。青矢印が中ノ瀬
また「全国で空港がないのは10府県ほどですが、中でも横浜は人口が多く、需要があるはずの大都市に空港がないのは一般的に異例といえます」と話す。
2016(平成28)年の全国47都道府県の推計人口を調べたウェブサイトによると、2016(平成28)年10月1日時点で、神奈川県の人口は、東京都に次いで2位だった。また、全国の市ごとに見ると、横浜市の人口が全国一でもあった。
横浜市は人口が多い都市
また黒川議員は、「空港建設は神奈川県にとって悲願でした。私が議員になりたての2008(平成20)年ごろ、羽田空港の整備事業に横浜市が資金協力を行っていました。そのため、拡張整備後は『東京・神奈川国際空港』という名前に変更してほしいと提案したこともありました」と答えてくれた。
最後に横浜商工会議所の広報の方に「首都圏第三空港の候補案」について伺うと「首都圏における航空需要の高まりを受け、首都圏第三空港の可能性について検討しましたが、羽田空港の拡張により、中ノ瀬に新空港を建設するための調査・研究を終えることになりました」とのことだった。
取材を終えて
現在の海の公園の近くには、かつて飛行場があったものの、厚木基地と同じ軍事目的の海軍基地であり、当時の軍事国家の国力によるものだった。国力に頼るものではなく、神奈川県は自らの力で民間飛行場を持つ悲願はかなえられるのだろうか。
金沢沖に再び飛行場が姿を現すときは来るのか
-終わり-
Fuさん
2018年01月08日 12時46分
横浜中心部からだと実距離で羽田も金沢沖も大差なく、そういう意味では必要性は低いと思いますが、肝心の羽田の枠が一杯でLCCが全然入れない状態です。現状LCCに乗るには横浜から遠すぎる成田なので、これが金沢沖になればかなり便利にはなります。ただこれから埋め立て事業というのは非現実的ですし、現実性で言えば厚木基地の民間化の方がまだ可能性あると思います。ただ羽田はちょうど県境にあるにもかかわらず「神奈川に空港がない」が一人歩きし、やたらと空港から遠いイメージを持たれているので、記事にあるような「東京神奈川空港」にするとかもう少しアピールは必要な気がします。
Fuさん
2018年01月08日 12時45分
横浜中心部からだと実距離で羽田も金沢沖も大差なく、そういう意味では必要性は低いと思いますが、肝心の羽田の枠が一杯でLCCが全然入れない状態です。現状LCCに乗るには横浜から遠すぎる成田なので、これが金沢沖になればかなり便利にはなります。ただこれから埋め立て事業というのは非現実的ですし、現実性で言えば厚木基地の民間化の方がまだ可能性あると思います。ただ羽田はちょうど県境にあるにもかかわらず「神奈川に空港がない」が一人歩きし、やたらと空港から遠いイメージを持たれているので、記事にあるような「東京神奈川空港」にするとかもう少しアピールは必要な気がします。
まっくすさん
2017年06月23日 14時36分
もし横浜に空港を作った場合、羽田と近すぎて空の渋滞が起きないだろうか?ただでさえ羽田空港は横田空域の関係で東京湾を旋回していくのに、、、。大人の事情では非現実的だろうけど、厚木基地を日本返却と民間機への転用すれば、色々なメリットがありそう。東名高速が近いことや相鉄線の引き込み線の復活でインフラも整いやすい気もするし。