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早朝6時から反町に漂うコーヒーの香りの正体は?

ココがキニナル!

反町駅近くに朝6時にオープンしている珈琲屋があります。まだ通勤する人もまばらな時間にコーヒーの香り。周りは住宅地なためお客はそんなにいるようには思いません。なぜこんなに早く?(ハムハムさん)

はまれぽ調査結果!

自家焙煎コーヒーのカフェ「NAGI COFFEE」。焙煎時の香りが生活時間に街に漂わないようにと早朝に焙煎をしており、午前6時からモーニングが食べられる。

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ライター:紀あさ

役者とカフェの意外な共通点



カフェを始めるまでの話は、十数年昔までさかのぼる。
当時、中村さんは東京の劇団の役者だった。地方公演で1ヶ月ほど留守にすることがよくあり、東京にいる時にも昼は稽古がある。アルバイト先には深夜の仕事を選ぶ劇団員が多かった。
 


「でも僕、深夜に仕事すると、どうしても昼の稽古で寝ちゃって」

 
代わりに早朝の仕事をと見つけたのが、東京駅の喫茶店「アロマ珈琲」のモーニングの仕事だった。

アロマ珈琲は、1970(昭和45)年から続く老舗の名店だが、当時の社長は長期の不在を許してくれ、働く仲間にはダンサーもいたり、役者であることが特殊ではなかった。「きっと社長はそういうの、好きだったんでしょうね」と中村さんは振り返る。

だが旅公演で不在にする際に、迷惑をかけるのは事実。だから誰よりもコーヒーのことに詳しくなって、お客様にも職場の後輩にも説明できるようにと努力した。さらに旅に出る前には、機械のメンテナンスも、掃除も、包丁研ぎも全部した。


「そのうちにコーヒーのこと、どんどん詳しくなっちゃって」


公演先でも各地のコーヒーを味わううちに、どんどん生活の中でコーヒーの占める割合が増えていく。天職だった。数年前に芝居の引退を決め、人生を考えた時、次のステージはカフェだと思い浮かんだ。

舞台上で俳優として、共演者と場の空気感を作り上げることと、カフェでマスターとして、お客様と場の空気がどう変わっていくかを感じることは同じではないか、と。
 


「喫茶店は空気を売る場所なので。商品を売る場所ではなくて」

 
お客様が入って来たとき、何を求めているのか、どう接したいのか、どんな空気を味わいたいのか。それに対して、すこし演出したり、手を差し伸べたりして、日常とスイッチを切り替えられるような空気を共有していく。

とはいえ、サイフォンで丁寧に淹れられたコーヒーは、「空気」ではなく「飲み物」としてとても素晴らしかった。味わってからのことまで考えているのだろう。
 


コポコポと1杯ずつ抽出

 
アロマ珈琲の社長に店を持ちたいと打ち明けると、「お店をやるならいろんなことをやっておきなさい」と営業マンとしていろんな喫茶店を回ったり、多くの経験を積ませてくれた。本当にありがたかった。



中が見えて、全部は見えないお店



自分のカフェを持つため、内見を何件も重ねたが、思うような物件になかなか出会えず、2年間ほど探し続けていた。

安心して入れるようにガラス面があるお店。でも中が全部見えては落ち着かない。見える席と見えない席があったほうがいい。西洋文化とともにコーヒーがいち早く広まった港町の横浜でと決めて探した。友人が見つけてきてくれたこの店は理想通りだった。
 


道に面した広いガラス面と、ゆったりした奥行がある

 
ビルのオーナーは同じビルの角にあるアンティークショップを営む人で、建物は18世紀のイギリス建築のジョージアン様式のようなレンガ調の外観。

誰にでも場所を貸すというオーナーではなく、中村さんの前にも入りたいというオファーは少なくなかったが、この建物の雰囲気に合う人をと断っていたのだという。

話が決まると、このマンションに住む人たちやオーナーの知人にカフェを紹介してくれた。
そうしてオープンから1年たった今では、地域の人たちもカフェを応援してくれるようになった。
 
 

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