変更について、市の周知は十分なのか

この変更案だが、一部報道では、12月9日に急浮上してきたと報じられている。
しかし実際は違うようだ。

まず周知の第一段階として、『広報よこはま』の11月号に、新たに浦舟町を前提とした「公共事業事前評価　市民意見募集」を掲載している。これに合わせ、11月いっぱいまで市民の意見を募集した。
　

現在は紙でしか残っていないが、確かに浦舟町案になっている

この結果を受け、今度は確定評価調書を作成し、次年度以降の予算編成に反映する予定だ。その費用は、事業費全体で約100億円となる見込み。

いずれにしても、誤報が出るほどの混乱に対し、同課は、「周知の方法や、最終候補地の立地について、さまざまな方面からお叱りを受けている」と話していた。
また、変更になった県立大岡高校跡地には、同じく耐震性に問題のある市立横浜総合高校の移転が決まっているそうだ。どうやら、用地の取得だけが進み、用途不明という状態には陥っていないようだ。

では、両地域の住民は、この事実を追えているのだろうか。
まずは、旧案である大岡2丁目の様子から確認してみよう。

がっかり、でもしょうがないとの声

現場の最寄り駅は市営地下鉄「弘明寺駅」。徒歩約5分で、弘明寺商店街の向かい側にある。問題の路地は双方通行だが、普通車でも、すれ違いには神経を使いそうな細さだった。
　

現在は一部が駐輪場となっている、県立大岡高校跡地(撮影許可済み)
　

跡地前から見た、問題の路地の様子

10人の方に意見を伺ったところ、結果は移転自体を知らなかった人が4人、移転は知っていたが計画変更を知らなかった人が3人、全て把握できている人が3人だった。

移転を知っていた人6人のうち、浦舟町の立地について聞いてみると、一様に「遠くて不便だ」とのことだった。しかし、これは近くに住む人の当然の反応だと思われる。そこで、利用頻度が減るかどうかを訪ねてみた。

すると、全員が「行かざるを得ないだろう」と回答した。また、「かなり中区寄りなので、行かなくても済むインターネットなどのサービスを充実すべき」という意見があった。これはうなずける話である。

一方の浦舟町はどうだっただろうか。

知っている人も知らない人も、歓迎ムード一色

最寄り駅は市営地下鉄「阪東橋駅」。徒歩で約7分、近くには横浜橋商店街がある。高速道狩場線の乗り口に隣接し、現在敷地の一部は駐車場となっている。
　

門だけが残る、市大医学部浦舟校舎跡地
　

コインパーキングが広がっていた

こちらでも10人にヒアリング。

移転を知らなかった人が2人、全て把握できている人が8人だった。
後者の方によると、地元横浜橋商店街では今、その話で持ちきりだと話す。

利用頻度について聞いてみると、イザという時には助かるが、頻繁に訪れるようなことはないだろうとのこと。
それよりも、地元が盛り上がりそうで楽しみだという声が多かった。

取材を終えて

今後の計画は、平成25年度にかけて基本設計などが行われ、遅くとも平成27年度に完成予定となる。
その時に、どのようなサービス改善を図るかが、課題となってくるだろう。
　

地域施設課の入り口付近の様子

ただ、今回話が聞けた住人は、日ごろ外出に不便を感じていない方たちである。
お年寄りや障害のある方こそ、本当の意見をお持ちなのかもしれない。

読者の中で、そうした人や、戸塚区に近い区民の声を代弁できる方がいらっしゃったら、どうか「はまれぽ」に声を届けてほしい。


―終わり―


※追記
現・区役所跡地は2012年1月時点で、未定とのこと。移転と同時に話を進めていくようです。