「横浜詩人会」って一体どんな活動をしている?
ココがキニナル!
神奈川新聞で「横浜詩人会」という会の名前を見かけたんですが、一体どんな組織なんでしょうか?(はまんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜詩人会は1958年にできた詩人たちの親睦団体。朗読会や詩画展、勉強会など、さまざまな活動をおこなっている!
ライター:松崎 辰彦
横浜詩人会の活動
横浜詩人会の歴史を語る細野さん
会員数は現在およそ130名。60歳~70歳の会員が最も多いが、中には30歳前後の若い会員もいるという。
発表の場は同人誌や専門誌が中心だが、詩だけではたしかに生活が難しいので、他に職業を持っている人が多く、中でも教師が割合目立つらしい。会員の多くは自分の詩集を出版している。
横浜詩人会は会報誌『横浜詩人会通信』を発行するほか、横浜の画廊や近代文学館ホール、ライブハウスなどで、詩の朗読会や詩と絵を併せて展示する詩画展、詩とジャズのコラボレーション、そして現代詩の勉強会などを年間通しておこなっている。
昨年(2011年)は現代詩セミナーやパネルディスカッションといったイベントを開催し、盛況を得た。
横浜詩人会主催の詩画展の様子(写真提供・横浜詩人会)
さらに「横浜詩人会賞」を設けて優れた詩集および評論集を出した詩人(横浜詩人会会員でなくてもよい)に授与し、詩の興隆を図っている。
また会員の中に神奈川新聞の記者がいたりするなど、神奈川新聞とは親密なつきあいであり、詩を掲載してもらったり、資金面でも協力してくれたりする関係だという。
横浜詩人会はさまざまな刊行物を出している
ところで詩人たちはみなエゴが強いのではないか。プライドの高い芸術家たちを仲良くまとめるには、それなりに苦労があるのでは?禿さんが答える。
「横浜詩人会の不文律ですが、会報誌には詩を載せません。また公に詩論をたたかわせてもいけません。さまざまな思想を持ち、大きく異なる意見を持った人たちが来ていますから、おおっぴらに詩の話をしたらケンカになるのは当り前でしょう(笑)」
ここで若い会員の光冨いくやさんが口を開いた。
光冨いくやさん。横浜詩人会事務局長。著書に『サイレント・ブルー』他
「若い人たちを引き入れて、いろいろな考え方や発想を入れて詩を活性化できたらいいと思います」
横浜は心の原点
彼らの横浜に対する思い入れとは、どのようなものだろう。細野さんに伺った。
「私は上星川で生まれました。横浜大空襲とその後の焼け跡、闇市が心の原点にあります。横浜は世界の窓ですから、横浜の詩人は先端的な国際センスを持たなければいけないと思います。しかしそういうことを意識している詩人は少ないのではないでしょうか」
横浜の詩人は先端的なセンスをもたなければいけない……!?
神奈川新聞文化部に取材したところ“素晴らしい詩を提供していただき、ありがたい”とのこと。
混迷渦巻く世相を反映する新聞紙面の中で、一服の清涼剤になっているようだ。
横浜詩人会の皆さんには、今後も御健筆を祈りたい。
取材を終えて
お会いするまでは“詩人会”とはいかなるものか想像できず、少々緊張したが、お話を伺った3名の方々はきわめて常識的な観点を持ち、詩のみならず社会や教育のあり方を考える人たちであった。大変、勉強になった。
詩が読まれない時代というが、メール全盛の現代こそ、自分の気持ちを短い文章に表現する技術が重要なのではないか。
今まさに高村光太郎や萩原朔太郎、あるいは宮沢賢治を読み直すときがきたのかもしれない。
ハイカラな風土を背景に未来に眼を向ける横浜詩人会。今後どんな世界を見せてくれるか楽しみである。
次の刊行物の打ち合わせをする3人
―終わり―