川のほとりに鎌倉時代の歴史が息づく町、はま旅Vol.51「鶴ヶ峰編」
ココがキニナル!
横浜市内全駅全下車の「はま旅」第51回は、自然や歴史、昭和の風景が混在する楽しい町、鶴ヶ峰駅周辺の旅。
ライター:山口 愛愛
鎌倉時代の歴史が息づく地であった
「鶴ヶ峰入口」の交差点脇に小さな花壇と石碑を発見。
この辺りは、源頼朝に従い鎌倉幕府創業に貢献した武将、畠山重忠公終焉の地であった。
この地で、わずかな軍兵を率いて北条軍の大軍と戦い、敗れた
重忠公は矢に刺されたときに、「我が心正しかれば、この矢枝葉を生じ繁茂せよ」と語り、地面に矢を突き立てると毎年2本の矢が増え続け「さかさ矢竹」といわれるようになったそうだ。没後800年を記念して、平成17年に新しく竹を植え、「さかさ竹」と呼んでいる。
重忠公は無念の最期を迎えただろうが、800年後のこの時代にも、武将の思いが受け継がれていると思うと、時空を超えたロマンが感じられる。
没後750年を記念して立てられた公碑の横には「さかさ竹」がある
調べてみると、北条軍が重忠公の首を取って洗った場所が、駅に向かう通りのわき道にあることがわかった。
この辺りに重忠公の遺体は葬られたようだ。手を合わせてきました
ここから、駅の方へ進むとゆったりとしたプロムナードがある。この道は「鎧の渡し緑道」といい、鎌倉時代の武士が昔この地を流れていた帷子川を渡るのに鎧を外して頭にかざして渡ったことから名付けられている。
散歩や買い物途中の人が休む姿もちらほら
鶴ヶ峰には所々に鎌倉時代の歴史が色濃く残っている。
ここでしか味わえない個人商店のこだわり
やっと駅の方へ近付いてきた。駅周辺と厚木街道の方へ伸びる道は商店街になっていて、個人店を中心としたちいさな店がひしめき合っている。
果物屋、和菓子屋、喫茶店、美容室などの個人商店を見ているだけでわくわく
たくさん歩いたので、そろそろランチにしよう。昭和の香りが漂う雰囲気の中で、おしゃれなカジュアルフレンチの店を発見。
お箸で気軽に味わえるカウンターフレンチの店「Fusion Cuisineふ洛」
和洋折衷とFusion(融合)されたフレンチは、元ホテルシェフ自慢の逸品が並ぶ。お手頃ランチは大人気で買い物途中らしきマダムや昼休みに訪れた会社員が続々とオーダー。
記者は、3種から選べる「パスタランチ」(サラダ、スープ、コーヒー付き980円)を注文。
厚切りベーコンとトマトの旨みに濃厚な粉チーズがたまらない!
日替わりふ洛ランチはスープ、サラダ、コーヒーデザート付き1,200円
この日のメインはゲンコツの大きさほどある鶏の赤ワイン煮。
そして、ふ洛ランチのデザートもおいしそうだ!と目ざとく気付き、単品で注文。
ホワイトチョコレートのムースのキャラメルアイス乗せ、ランチは120円!
形を保つことを重視するパティシエは安定剤を多く使うが、お皿で出せるコックさんのデザートは多少崩れても大丈夫なので、なめらかに仕上げられるのが強みだとか。ふわっふわのムースに感動!このクオリティーで120円は大満足。
次は線路沿いの細い道に入ってみる。
屋外販売の花屋さんや八百屋さんと昭和の風景
APPLE DOMEのレディースはほとんどが1点もの。エスニックやロックスタイルも
洋品店もあった。1点ものワンピース1980円など、都内の半額くらいの値段で、カジュアルや和風などの新商品が毎週入荷される。地元の常連さん御用達のショップだ。女性オーナーの上森さんが1人で切り盛りをしている。
駅の近くは、飲食専門店が集まっていた。おっと、肉の宝屋の前に古めかしい大型の釜が!
聞けば、30年も前から釜を使って炭火で焼き上げる名物の焼豚を売っているという
「うんまいよ!」肩ロースを毎日20キロ焼き上げる社長の山下さん
肉屋だが、お弁当やお惣菜目当ての主婦も多し
遠くからもわざわざ買いに来る人もいるという、1,000円分(1パック)の焼豚をお土産に購入。さぁ、もう少し歩こう。
商店街の先にはまたも川が流れる鶴ヶ峰公園があった。園内を帷子川親水緑道が走る、都市景観大賞も受賞したことのある公園だ。緑と水の調べが気持ち良い。
カモや甲羅干ししているカメがのんびり休憩。川には、つり橋が架かっていた。
歩くと揺れることを表現してみたが、ちょっとプロレスラーのグレートムタのポーズに見えるところが悲しい
川辺を歩き、昔ながらの商店街を巡り、楽しいひとときだった。
そしてこの日の夕飯はもちろん、脂のほのかな甘みが最高の柔らか焼豚!
五穀ごはんに炒め野菜とチャーシューを乗せた手抜き焼豚丼!にしていただきました
鶴ヶ峰の旅が凝縮された深い味わいだった。
取材を終えて
鶴ヶ峰と聞いても思い当たるものがなかったのだが、自然や歴史、懐かしい昭和の風景が混在し、歩いて楽しい町だった。重忠公にまつわる史跡は他にも薬王寺や矢畑、駕籠塚などがあり、駅からほど近い厚木街道沿いの旭区役所にパンフレットがある(通行中の主婦の方が教えてくれた)ので、史跡巡りをしてもおもしろそうだ。
■今回のはま旅「鶴ヶ峰」周辺
・「二宮いちご園」横浜市旭区今川町11
・「横浜大輪蘭華園」横浜市旭区上白根246-1
・「ふ洛」横浜市旭区鶴ケ峰1-12-26
・「APPLE DOME」横浜市旭区鶴ケ峰1-10-4
・「肉の宝屋」横浜市旭区鶴ケ峰2-21
・「白糸の滝」横浜市旭区白根3-540
― 終わり ―
NKSTさん
2012年04月17日 01時16分
白根不動白糸の滝は今は庭園の人工滝のように整備されましたが、市内最大級の水量を誇ったかつての姿(幅9.1、落差5.5メートル)は「横浜都市発展記念館」サイトの横浜絵葉書データベースで見ることができますよ。自然つながりでもうひとつ。駅南口方面では新幹線ガードの近くにある「嶋崎金子稲荷のタブノキ」が目を惹きます。この木は横浜市天然記念物に指定された一本ものの樹木(市内合計4本)のうちの一つであり、堂々たる巨木です。
yokohamatsuさん
2012年03月20日 14時54分
鶴ヶ峰、なかなか奥が深いんですよ。私は住み始めて5年目ですがまだまだいろいろ知らないところがありそう。個人的には宝屋のお弁当やお惣菜が好きです。
yokohamateruさん
2012年03月17日 22時15分
上白根まで行ったならパンの「越路」と精肉店の「肉のきよし」は紹介して欲しかった…。