横浜の老舗企業「岩井の胡麻油」、その歴史に迫る!
ココがキニナル!
岩井のごま油をロスの日系マーケットで見つけました。横浜の歴史ある会社のようですが、横浜出身の私は今まで知りませんでした。商品の特徴、歴史などを調べていただけると嬉しいです。(M@LAさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
岩井の胡麻油は、昔ながらの方法でじっくり時間をかけ、職人の匠の技によって伝統の味が保たれていた。
ライター:吉澤 由美子
工場内部の様子 製造工程
(つづき)焙煎の温度と時間はゴマ油の個性を作り上げる大事な決め手。産地や季節などによって微妙に違う皮の厚さや水分量を見極め、温度や時間を微調整するのは今も職人の匠の技が頼り。耳で焙煎の音を、目で煎られたゴマを潰した状態を、そして舌で苦みや焦げ具合を確認して安定した味を作り出す。
香ばしく焙煎されたゴマは次に、搾油工程に送られていく。
エキスペラ(連続圧搾製油機)で圧力をかけて油を搾る
油を搾られたカスは、驚くほどカチカチ。
瓦や陶器のような質感の搾りカス
搾油されたゴマ油は、フィルタープレスで濾過(ろか)され、屋外に設置された静置タンクに運ばれる。
静置タンクは、焙煎し圧搾した胡麻油の不純物を沈殿させるためのもの。タンクに入れる期間は何と2週間!
遠心分離機にかければあっという間に不純物を取り除くことができるが、そうすると風味や味も飛んでしまう。時間をかけることで、本来のおいしさが生まれてくるのだ。
工場の脇に設置されていた静置タンク
静置タンクで2週間を経た胡麻油は、綿布を使ったフィルタープレスで仕上げの濾過(ろか)を行い、製品タンクに送られ、その後ビンや缶に充填されてできあがる。
綿布を使ったフィルタープレス機が一段高い場所に設置されている
※画像:岩井の胡麻油株式会社
奥が製品タンク
工場はコットンハーバー地区という住宅街に隣接している。そのため、近隣に匂いが流れないよう、屋上には脱臭設備が取りつけられている。
住宅地に近いため、匂いへの配慮も徹底して行われていた
海に近い場所にあるためこの屋上からの眺めは抜群だった。
この眺めがヨコハマ特選シリーズのラベルになっている
岩井の胡麻油では、ラー油も作っている。実はこのラー油、リピーターが多いヒット商品。3日かけて唐辛子をゴマ油で煮出しており、その香りと味の鮮やかさは驚きの逸品。
薄口、濃口、黄白、黒ゴマなどのゴマ油やラー油も数種類ある
ほかにも練りゴマやサプリメントの胡麻製品があり、さらに一般販売はされていないが面白い商品を発見。それは、なんとサラブレッドの蹄(ひづめ)の手入れに使う専用のクリーム! 抗酸化作用と保湿効果のあるゴマ油は、意外なところでも活躍しているのだ。
純正胡麻油蝋(サラブレッド用蹄クリーム)テイヌールモリン
取材を終えて
岩井の胡麻油は、天ぷらを提供する店をはじめとして多くの有名料理店で使われている。一流の味もここのゴマ油が支えているのだ。
未来的な眺望のコットンハーバーで伝統的なゴマ油が作られている
おすすめの食べ方はありますかと伺うと、「納豆に少し垂らして食べてみてください。これはうまいですよ。それからケーキを作る時、バター代わりに使うのもおすすめです」と岩井社長。ゴマ油のケーキはナッツ系の香ばしさが楽しめそう!
きめ細かな和紙でこす特別な工程を経て作られるゴマ油もある
横浜醤油や日本味噌、そして今回の岩井の胡麻油でも、味の決め手は職人の匠の技であり、昔ながらの方法でじっくり時間をかけて製品が作られていた。
「ウチが今まで続いているのは、伝統的製法を守り、化学的製法や安定剤等を一切使用せずに作ること、そして機械任せにせず、人が味を決めていることが大きな要因だと思います。江戸時代と変わらない味、それが岩井の胡麻油です」と岩井社長。
味と香り、そして安心を優先して丁寧に作られたものがきちんと残っている横浜。新し物好きという従来のイメージとは違う、本物を愛し、大事に守っていく気質が横浜にはあるように思えた。
― 終わり―
岩井の胡麻油株式会社
住所:横浜市神奈川区橋本町2-1-26
TEL/FAX:045-441-2033/045-441-2037
公式サイト ※ネットショッピング、FAXや電話による注文もこちらで
http://www.iwainogomaabura.co.jp/
横濱タカシマヤ7Fの横濱グッズ001など、ヨコハマ・グッズ 横濱001(ゼロゼロワン)扱いショップでも販売されています。
徘徊中さん
2013年07月26日 18時53分
ここの胡麻ラー油は絶品です。今度ラー油の試食レポート等してもらえると良いかと思いますよ!自分はここのラー油にハマッテます~♪
M@LAさん
2012年12月24日 15時03分
横浜でこのような会社が続いているのはうれしいですね。早速岩井のごま油を買ってこようと思います。レポートしていただいてありがとうございました。
雲葉 @since1992さん
2012年12月20日 14時33分
「昔と変わらぬ味」というのはよく聞かれるフレーズですが、これはかなり謙遜な表現で、実際には多大な努力を払って品質を向上させているはずです。そうでなければ他社の努力に追い越されて相対的な低下となってしまうからです。当たり前ですが江戸時代の味なんて誰も知らないのですし。消費者も食の安全云々とは言うが手間やコストを考えず安さばかりを追求すればどこかに無理が生じる。この記事にもあるようなメーカー(生産者)の努力する姿勢はもっと伝えられていいはずでしょう。