横浜市は安心して出産できる街なの? 医療施設や医師の数は足りている? 「産科不足」の噂の真相に迫る!
ココがキニナル!
横浜市に入院~出産出来る病院はいくつある?いきなりお産したいと病院に行っても断られるってホント?横浜市の新生児って増えてるの?(LAPERN55さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
産科医師の対人口比は全国値とほぼ同じで、横浜市が特に不足しているという事実はない。産科医療従事者・分娩施設の増加に向けた施策を実施中
ライター:コハル
現場の医師は?
それでは、実際に出産の現場に携わる医師は現在の状況をどう考えているのだろうか?
横浜市で長年出産をサポートしてきた「よしかた産婦人科」の院長・善方菊夫氏に話をお聞きした。
「さかさまの看板」でもお世話になった善方先生
―産科の数は足りないという印象ですか?
ここ数年、横浜市周辺の分娩施設環境はかなり改善されてきたように感じます。
2006(平成18)年の「福島県立大野病院事件」で産科医師が逮捕されて以降、大野病院のような“産科医師一人体制”を改善すべく、産科医師集約化の動きがありました。その結果、病院の中から産科が消えてしまうこともありました。
また同年、横浜某病院で発生した「無資格助産事件」を機に、これまでグレーゾーンであった看護師・助産師の役割が厳密化されることになりました。それによって助産師が絶対的に不足し、中小施設の分娩取り扱い数を増やせなくなるという事態が発生しました。
そのころに、いわゆる「お産難民」という言葉が登場し、「希望の施設で分娩ができない」「分娩予約が取れる施設が近くに確保できない」という状況が見られるようになりました。
助産師は減り、中小は分娩数を増やせない(写真はイメージ。フリー素材より)
しかしその後は国・地方自治体・大学などの働きかけもあり、研修医制度の改革や周産期システムの改善などが行われ、産科医師も徐々に増加してきました。その流れで、ここ数年は県内新規開業医師が出てくるようになり、少なくても横浜市内の分娩施設が足りないという印象はなくなりました。
善方先生は「施設が足りない」印象はないそう
ただし、施設キャパシティには限りがありますので、人気施設の分娩予約は早いうちに一杯になってしまいます。しかし早めに予約をしておけば、希望の施設での分娩は可能と思います。横浜市健康福祉部のサイト「横浜市内の分娩を扱っている施設の予約状況」を参考にしてみてください。
―突然の分娩は断られてしまいますか?
分娩は母親と生まれてくる赤ちゃんの二つの因子が関係してくるため、分娩に至るまではいくつもの状況が正常に推移しているかを診ておく必要があります。
未受診の方がいきなり陣痛のような痛みで受診されたとしても、そもそも妊娠週数が定かでないですし(妊娠週数は通常妊娠8~10週で超音波検査で決定していく)、もしその陣痛のような痛みが早産の時期ですと小児科のフォローが必要です。
赤ちゃんに移ってしまう感染症が母体にないことも確認できていないと、赤ちゃんの命に係わる可能性もあります。そもそも母体に合併症があれば、母体の命の危険性もあります。
未受診は母子ともに命の危険を及ぼす可能性も(写真はイメージ。フリー素材より)
未受診でいきなり分娩を希望しても、さまざまな“最悪のケース”を想定しなければいけませんので、周産期救急病院クラスでないと対応できないことが多いのです。
分娩までに数ヶ月余裕がある方なら、分娩予約状況に余裕があれば受け入れは可能なことが多いので、希望施設にご相談くださいね。
実際に産んだ人の感想は?
実際に近年横浜市内で出産をした人に感想を聞いてみた。
★Aさん(35歳)横浜市中区の病院で出産
「35歳を過ぎてからの出産ということで何かと不安があったので、自宅から近い総合病院を選びました。妊娠が発覚してすぐに予約をしたので断られることはありませんでしたが、あと3週間遅かったら埋まっていたそうです。先生や看護師さんはすごく親切でしたよ。ちょっとトラブルがあって出産前に入院することになったのですが、そのときも、いつも気にかけてくれて。精神的にも支えてもらいました」
と、なかなか好印象だったようだ。
医師やスタッフが支えとなることも(写真はイメージ)
★Bさん(33歳)横浜市内の病院で出産
「初めての出産で不安だったので、無痛分娩ができる市内の総合病院を選びました。その病院は予約が埋まりやすいと聞いていたので、妊娠が判明してすぐに予約をとりました。そのときに窓口で「当院は待ち時間が長いかもしれません」と言われたので、定期妊婦健診は自宅近くの産婦人科に通うことにしました」
「臨月になってからは定期妊婦健診も総合病院で行うようになったのですが、毎回ものすごく時間がかかりました・・・。1~2時間かかることもありましたね」
臨月の妊婦さんには待ち時間の問題も・・・(写真はイメージ。フリー素材より)
人気のある総合病院は、予約が取れても待ち時間が長いというネックがあるようだ。
これは人手が足りないからというよりは、普通分娩で問題なく出産を終えた場合はこれが一般的な気もするが・・・。感じ方は人それぞれ。
いずれにせよ、希望する病院で予約を取るには、妊娠が発覚したらなるべく早めに行動するのが得策のようだ。
取材を終えて
初めての出産は、喜びと同時に不安も尽きない。そんなときに「産む場所がない!」なんて事態は本当に困ってしまう。今のところ施設や医師数が不足して産めないという事実はなさそうだが、より安心して出産に臨めるよう、これからも横浜市の頑張りに期待したいところです!
―終わり―
ケムケムさん
2015年08月31日 17時10分
待ち時間が長いといいますが、先生方の激務にも思いをはせませんか?私は、今年、市内の総合病院で男児を出産しました。その際、先生方は「いつ休んでいるの?」と思いました。検診の時もほかの方のお産が入ったのでお待ちいただくことになりますと言われました。私たちは待っていればいいですが、その間、先生方はお産と検診を掛け持ちしています。市内で出産できるのも、先生方の頑張りのおかげだと思います。飛び込み出産は妊婦にどんな感染症があるかわからないので、簡単には受け入れられないのは当然だと思います。お産事情をよくして欲しいと言う前に、なぜ、産科医不足になったのか考えた方がいいと思います。
hcr32_halさん
2015年06月24日 02時20分
(実家が金沢区の者です。)金沢区はお産出来る病院が少ない上に、近隣の市区からもお産の場所を求めて金沢区に殺到するため、かなり厳しかったです。2008年に長男を出産した時は、横浜の産科医不足問題でフジTVのとくダネが取材に来てました。2010年に次男を妊娠した時は里帰り出産を受け入れる余裕が無かったらしく、金沢区とその近隣の市区の病院は全て断られ、お産難民を初めて体験しました。本当に困って市役所に相談して間に入ってもらい、県立の病院へ無理矢理予約をして出産しました。 (↑私個人が交渉した時は断られたけど、市からの頼みは断れなかったようです)ただ、実家から近い所ではなかったので、病院へ向かう途中で生まれてしまわないか不安ではありましたが、何とか間に合いました(苦笑)あれから数年。。地元近辺のお産事情が良くなっている事を願います。
おやかたさん
2014年12月01日 09時33分
ていねいな取材に敬意を持って読ませていただきました。市の担当者の方々も、女性がおつとめなことは、お産を控える方々も、安心して相談出来そうですよね。私は東北のとうにお産の済んだおばばです。主人は二人目は当時珍しかった、立ち合いをしてくれました。なんせ両親教室に出て、何故立ち合いしてみようと思いましたか?と聞かれて、「牛と豚のお産は見ましたが、人間のは見ていないので。」同席者爆笑しました。