【正月特別企画】午年に別れを告げ、羊になって横浜市内の名所を歩く! 明けましておメーでとうございます
ココがキニナル!
2013年の有馬記念で惨敗した白馬が馬車道に舞い戻り、DIY羊を作り動物園、ジンギスカン、年越しそば、初日の出、書き初めと横浜でめでたいことづくし
ライター:永田 ミナミ
羊のブルース
さて、関内方面へと向かう車のなかで、羊が「このあとは夜、年越しそばを食べに行くつもりなんだけど、一緒に来るかい?」と言うので「もちろんさ」と答えた。
すると羊は「オッケー。でも、年越しそばにはまだ早いから、ちょっとキニナル名前の店に行ってみよう」と言って車を走らせ、到着したのは中区曙町、オープンから9年の「本家札幌ジンギスカン 羊の大群」だった。
たしかに羊的に気にならないわけがない名前だ
「やあ、疲れたね」と座敷に座った羊は「じゃあ、お店の外にも書いてあってきっと看板メニューだから、ジンギスカンセット(一人前940円)にしようよ」と言って注文した。
するとまもなくタマネギと脂身が到着
店長の大塚さんに食べ方を教えてもらい、全体に脂をなじませたら鍋の麓にタマネギを並べ、頂上に脂身をセット。
で、こんな感じで斜面に肉を置いて焼くわけか
と羊と手分けして肉や野菜を置いているときに、ハッと気がついたことがあったが、これを、羊を前にして話していいのかどうか、とてもためらわれた。そしてなぜもっと早く気がつかなかったんだろうと自分を責めた。
しかし、本当のことを言わないまま羊がこの肉を食べてしまったら、と思うといてもたってもいられなくなり「その箸、ちょっとストップ。ごめん、今気づいたんだけど」と、羊にジンギスカンの正体を伝えた。
「え・・・」と言って手を引っ込めると、羊は沈黙した
しばらく黙って鍋を見つめていた羊だったが、やがて口を開いた。「なるほど、ジンギスカンとは羊料理のことだったのか。でもね、知ってるんだ。中国やヨーロッパで僕らが美味しいって言われてることは」
例えば「養う」っていう漢字。あれは「羊を食べさせる」と書いて「養う」だし、「祥」っていう字も「示」が祭壇で「羊の肉を祭壇に供える」っていう意味らしいし、「美」については、それは馬のときに話したね。羊は穏やかな口調でそう語った。
だから、僕にとってこれは仲間の供養・・・あ、またここにも「養」が入ってるね
そのあと羊はラーメンサラダ(500円)を、人間はジンギスカン(ラムチャック840円)を中心に食べ、美味しく完食した。
大塚さん、美味しいジンギスカンをありがとうございました
午から未へ年越しそば
「羊の大群」を出るころには夜もだいぶ更けてきていた。羊は「そろそろ蕎麦を食べるのにはちょうどいい時間になったろう」と言って車に乗り込んだ。そして腹ごなしに夜の横浜を軽くドライブしたあとでコインパーキングに入り、降りるとすぐ隣の素敵な看板の前で羊は立ち止まった。
ここだよここ、小嶋屋。美味しいんだ
ああ、もう出汁のいい香りがする。またお腹がすいてきちゃったな
「飲みたいところだけどこれで充分」とノンアルコールビールをグラスに注ぎ
「やあ、馬から羊までずっと一緒に来てくれてありがとう」と言う羊と乾杯
小嶋屋は、大晦日は大にぎわいになるため、年越しそばは持ち帰りのみ(そばは「もりそば(つゆ付き)」のみで2人前1660円、3人前2490円)で、店内では天ぷらをつまみにお酒が飲めるくらいとのこと。今日が本当はクリスマス・イブだというのは絶対に内緒である。ちなみに金沢動物園も大晦日は休園日である。
さて、羊と盛りだくさんだった今日1日を振り返っていると、注文した天ぷらそば(1750円)がやってきた。
ああ、最高に美味しそうだ
では、いただきます
品のある蕎麦とやさしい出汁が1日の疲れと空腹を癒してくれる。出汁は食べ進むほどに深さと奥行きを感じさせ、レンゲがまったく止まらない。
天ぷらもサックサクで海老はぷりっぷり
年越しそばがこの蕎麦なら、来たるべき年が良い年になりそうな予感で溢れること間違いなしである。
気がついたらつゆもすべて飲み干していた。ああ、ごちそうさま
真夜中のドライブ
素晴らしい蕎麦を食べて満たされた表情の羊は、車に乗り込むと
「さあ、行こうか」と言った
「どこへ?」と聞き返すと、羊は車のエンジンをかけながら「初日の出まではまだ時間があるからね、ドライブでもしよう」と答えた。
そして夜の横浜を駆けめぐったわれわれは
八景島シーパラダイスを眺める明け方の「海の公園」に立っていた
朝日が染める空にはまるで計ったように羊雲が広がっていた
「さあ、もうすぐだね」と東の空を見つめながら羊が言った。真冬の朝は凍てつく寒さだったが、ふもふもの羊にはどうってことないようだった。
やがて東の空はしだいに明るさを増し、濃いオレンジ色の光で満たされ
そして、光り輝く球体が姿を現した
「太陽はいつものぼるけど、この朝日はなぜか特別だね」と羊は目を細めた
そしてゆっくりと手を合わせ「平和で楽しい未年でありますように」と祈った
感傷的になりかける気分を振り払うように「よし、書き初めだ」と歩き出す羊
初日の出を見て
朝日を浴びながら車を走らせると、硯に墨汁を満たし、筆にたっぷりとふくませた。
そして、書き上げた言葉は「めでたい光が訪れる春を慶ぶ」という意味の
そして「祥」に羊が入っている「瑞光祥春」
本年もはまれぽ.comをよろしくお願い致します。
(実在する地名、店舗、施設、商品などを除いてほぼフィクションです)
―終わり―
取材協力
金沢動物園
住所/横浜市金沢区釜利谷東5-15-1
電話/045-783-9100
開園時間/9:30~16:30(入園は16:00まで)
休 園 日/毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
入 園 料/大人500円、中人・高校生300円、小・中学生200円、小学生未満無料(毎週土曜日高校生以下無料)
アクセス/京浜急行「金沢文庫」駅下車 西口バス乗場1番「野村住宅センター」行きバスで「夏山坂上」下車徒歩6分、急行「金沢動物園」行き(土・日・祝のみ)バスで10分
URL/http://www2.kanazawa-zoo.org
KALMINさん
2015年01月02日 21時57分
そんな近くにジンギスカンが食べられるお店があったとは。道産子の僕にとってはソウルフードです。次回取材がございましたら連れて行っていただきたいです!
しげさん
2015年01月02日 15時09分
しょうもないけど、面白かった。
ハビエルさん
2015年01月01日 18時57分
新年から笑わせてもらいました!今年も楽しい記事、期待しています!