昭和の風情を残した飲み屋街、横浜駅西口「狸小路」に突撃!
ココがキニナル!
横浜駅北口をでたあたりの「たぬきこうじ」が気になります。(ochoriosさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
北海道の「札幌狸小路商店街」を模した10店ほど飲食店がある「狸小路」ができたのは今から約60年前。今でも昭和の雰囲気を感じられる小粋な小路
ライター:山崎 島
まだ見ぬ後輩を行きつけの居酒屋さんへ連れていく企画(編集部には認知されていない)、第2弾は横浜駅西口から徒歩3分、北口から徒歩1分、ナウいお兄さんお姉さんが待ち合わせするのに人気なモアーズのすぐ近くの「狸小路」。
いざぽんぽこ
お寿司屋さんとラーメン屋さんの間に挟まれている「狸小路」の入り口。夜の様子
路地で呑む!!
気を付けていないと見落としてしまうようなこぢんまりとした入口。こういう控えめな外面を持つ人ほど、中身はすごいんだよなあ。
電光掲示板の下には店名がずらっと。これも夜の写真
まずは入口のすぐ横「伸寿し」へ突撃。開店前でしたが「狸小路」を知る足がかりをお聞きすることができた。
お邪魔します
お話しくださったのは「お父さんにしたい男ランキング」で5位には入りそうな、素敵な背中をお持ちの松岡さん。
しっっっぶいい2代目
約60年前、第4回国民体育大会で三ツ沢が会場になることに伴い区画整理があった際、当時駅前で初代が屋台を出していたが移転し、ここにお店を開いたそう。
「ここらで一番古い店は、おでん屋のはな家だろ、それから味珍(まいちん)、のんきや、それからうちだな。ほかは代替わりして別の店になったりしてるよ」とのこと。
伸寿しの店内はカウンターとテーブル席
現在10店ほど飲食店がならぶ狸小路の名前の由来については「味珍の初代が付けたんだよ」ということで、以前はまれぽでもご紹介した豚の味珍へと向かった。伸寿しさん、ありがとうございました。
で、お邪魔した味珍
やはりここにも
「お父様と呼びたい男ランキング」5位には確実にいらっしゃる、素敵な横顔の柳瀬さん。突撃取材にもかかわらず優しくお話しくださいました。
さっそく「狸小路」の名前の由来についてお伺いしました。「北海道に狸小路商店街っていう通りがあるんだよ。今のオーナーの先代が北海道出身で、同じ名前を付けた。自分も北海道の狸小路商店街にも行ったことがあるけど、もう少し大きな通りだったね」とのこと。以前小路の看板の名前が一瞬「西口飲食街」になったが、すぐまた「狸小路」に戻っていたこともあるそう。
昭和な感じがたまらない店内
現在の客層は常連さんが多いが、ここ10年で女性客も多くなった。私も今度妹と来ます。ありがとうございました。
おいしい料理でぽんぽこ
次に向かったのは狸小路で一番古いお店「はな家」。
開店前にお邪魔しました
味わい深い、落ち着いた店内
なんていいますか、品を感じました。庶民的な店内ではあるが、なんだろうこれは。
お話してくださったのは、明るく穏やかなお人柄の4代目、内野さん。
さりげなく気を遣ってくださる、素敵な内野さんご夫婦
「狸小路」で1番古い「はな家」さんに、狸小路の歴史をお伺いすることができました。
狸小路は昭和20年代の末にできたそう。「はな家はここができる以前、1947(昭和22)年から、横浜駅西口で営業していました。当時の西口は、神中線(現在の相鉄線)の資材置き場で、何にもない無人駅だったんです」
1955(昭和30)年の横浜駅西口(撮影:長谷川弘和、横浜市史資料室所蔵『横浜の空襲と戦災資料』)
「そのころの客層は船の船長さんが多かったそうで、外国からここに荷物を送るときに『日本国 横浜西口 はな家』と書くだけで届いたらしいです」
おおおおお!!!! これは、狸小路だけではなく、横浜駅西口としてもかなり貴重なお店ではないでしょうか。
また、現在狸小路がある場所には以前川が流れていて、横浜駅前の区画整理の時に埋め立てし、駅前で営業していた屋台やお店をこちらへ移したのだとか。
ぴあの『横濱名酒場100』にも載っている
1ページ目に奥様の写真が
お店は午後5時から午後11時(ラストオーダー)で、日曜祝日がお休み。1階と2階を合わせて40席あり、料理は全て店主の内野さんがお一人で作られている。
内野さんは、もともとお菓子のお勉強をされていた。19歳の時にお母様がはな家の3代目になり、内野さんもお店を手伝うことになったそう。
「本当はフランスでパティシエの勉強をするつもりだったんだけど、親に頼みごとをされたのが初めてだったから、ここに入りました」と内野さん。お店に入られてすぐ、京都の某有名和食屋で14年間修行したという。食に対するこだわり、というか、美意識があるお方です。
店内には所狭しと有名人のサインが並んでいる
こちら2階席
かつてお座敷だった2階は落語家さんたちの練習の場でもあったそう。落語を聞きながらお酒を飲む。かっこいいなあ。内野さんも落語をやられるそう。
一通りお話をお伺いしたところで「仕入れから仕込みの方が、店の営業時間よりも長い」という渾身のお料理をいただきましょう。
手書きのメニュー
シンプルだが、きちんとした和食たちのラインアップ
焼き鳥もおいしそう
今回はビールではなく日本酒
いただいた日本酒はこの季節にぴったりの名前を冠した「桜の舞」。午後5時から午後7時まで、価格が720円から360円になるという、とてもうれしいサービスが。
辛口でどのお料理にも合うー
お通しから二度見してしまうぐらいおいしくてびっくり。いろいろ悩んだけども、おでんの盛り合わせ(770円)と本日のおすすめのいなだの刺身(400円)を頼みました。
透き通ったおでんのだし
はな家のおでんは透き通った京風のだし。お醤油を一切使わずに、昆布と鰹節と煮干しで丁寧にだしをとっているそう。「味が染みてないんじゃいのって言われることもあるけど、それは、まあ食べてみてください」と内野さん。
時間をかけた美しいおでんの盛り合わせ
いただきます
じょ、上品!!! 大根の苦味がやさしいおだしの味でまろやかに感じられ、中までしっかり味が染みているのに、食感を損なっていない。食べ進めているとほんのり柚子の香りがする。
がんもどきも
ゆでたまごも
ひたすら美味・・・おでんは一年中やっていらっしゃるので、ぜひともご賞味ください。暑い夏に冷たいビールといただくのも、おいしそう。
照りがきれいな、いなだのお刺身
厚みのあるこちらのお刺身。
わあい
身がしっかり締まっていて食感が良く、臭みがない。新鮮な魚を使っていらっしゃるのがよく分かる。最初少し厚いかなあと思ったが、このいなだにはぴったりだと感じました。
幻の賄いをいただいた
「賄い食べてみる?」と出してくださった、常連になるといただけるという焼き鳥丼もいただきました。手羽先、つくね、ねぎま、鳥皮などを塩味でいったん焼いてから丼にした一品。どれもとってもみずみずしくて柔らかく、これが賄か!!! と驚いた。手羽先があんなにするする食べられるなんて・・・いいなあ。
はな家は常連さんをとても大切にしてらして、本来は取材も紹介か馴染みでないと受けないとのこと。みなさん「はな家」さんへ行かれる時は、マナーを守って楽しんでください。
しかしながら、とても透き通った上品な味わいのお料理、これは大切な人を連れてまた来たいです。ありがとうございました。