新横浜駅近くのビルが武器庫になっている・・・。全く穏やかでないキニナル投稿にはまれぽ編集部は戦慄した。
2018（平成30）年3月、神奈川県警による捜索で拳銃や実弾が押収され、6月13日にビルに入居する暴力団関係者が逮捕されたという。

武器庫なんて映画の世界でしか見たことがない。新横浜駅と言えば、新幹線の発着駅であり、ラーメン博物館や日産スタジアムなどの観光地も多いエリア。そんな場所に拳銃とは想像もつかない事態だ。

とにかく、現場を見てみないことには始まらない。編集部は新横浜駅に向かった。
　
　
　

「武器庫」の実態は？

　

駅前は非常に穏やか
　

物騒な雰囲気とは無縁な印象だ

　
くだんのビルは、新横浜駅の西広場から、横浜線に沿って徒歩8分ほどの場所にある。東側のプリンスホテルや駅前の商業施設からは少し離れた方向になるようだ。

駅前は大きなビルが建ち、人通りも多い印象だったが、少し西側に歩くだけで人通りは少なくなる。県道13号線を渡った先は、ホテルやマンションが林立する閑静なエリアとなっていた。
　

右も左もシティホテル（ラブホテル）。さすがに平日昼は閑散としている
　

年季の入ったデザインのホテルも多い

　
ラブホテルが林立しているものの、飲食店は見当たらずあまり繁華街という印象ではない。幹線道路沿いでもあるので、車でのホテル利用を想定したエリアのようだ。

そんなホテルとホテルに挟まれるような一角に、問題のビルはあった。
　

人の気配はあるものの、入り口の扉は閉ざされていた

　
報道発表などによれば、このビルは全体が暴力団関係者の事務所や居室として使われていたという。内偵調査を続けてきた神奈川県警が捜査を行ったところ、浴室天井やロッカーから拳銃6丁や100発以上の実弾などを押収。銃刀法違反の疑いで、幹部らが逮捕されている。
　

白い看板が目立つ。かつてはこの建物もホテルだったようだ

　
同時に6丁もの拳銃が押収されることは異例といい、暴力団が抗争に備えてこのビルを保管場所にしていたとみられることから、「武器庫」という報道がされたようだ。
　

車も停車しており、まだ利用されている様子

　
6階建てのビルは閑散としていたが、駐車場には何台かの車が停車し、洗濯物を干している部屋もあるなど、生活感はある。扉は固く閉ざされ中には入れないことを確認し、足早に現場を後にした。
　
　
　

ホテル街から住宅地へ

　
新横浜駅で暴力団のビルが捜索を受けたことは、反社会的勢力を排除しようという県警や自治体、周辺の事業者などの意思の表れでもあるようだ。

駅直結ビルの運営会社などが参画する「新横浜中央ビル暴力団等排除連絡会」では、駅を利用する暴力団に屈することなく、排除活動を進めるべく取り組みを行っている。ビル内のテナントが団結し、県警とも協力しながら暴力団の不当要求に応じないことなどを徹底していく方針のようだ。
　

「利用しない」「恐れない」などがポイント（全国暴力追放運動推進センターHPより）

　
こうした積極的な暴力団排除の動きは、2019年のラグビーワールドカップや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどに向けて、新横浜駅を利用する国内外の観光客が増えることが念頭にある。
　

熱戦の舞台が新横浜に

　
さらにその先には2022年に開通予定の相鉄・東急直通線の新駅「羽沢横浜国大駅」も開業予定で、周辺エリアはますます活性化するとみられている。

そうした建設ラッシュの中で暴力団関係者が付け入るスキを与えず、クリーンな街を作っていく必要がある。
　

周辺にはマンションも多く、公園も整備されている

　
駅西側のシティホテルはその数を減らし始めており、跡地などにマンションなど住宅の建設が進んでいる。エリアの様子もすでに様変わりし始めている。
　

ホテルと隣接したマンションの新築工事が進んでいる

　
「武器庫」のあった新横浜駅西のエリアは、まさに過渡期を迎えているようだ。
　
　
　

取材を終えて

　
暴力団の構成員は近年その数を減らしているといい、市内でも県警や地域の団結もあって排除が進んでいる。今回の検挙も、その一環といえそうだ。
「拳銃」や「抗争」という言葉はひどく遠いもののように感じるが、その世界は思いのほか近くにあるのかもしれない。
　
　
ー終わりー