港北区の岸根公園にある防空壕のような「地下鉄避難口」ってなに?
ココがキニナル!
岸根公園の篠原池の裏側に防空壕のような佇まいの入り口があり、ドアと小さなシャッターの上に「地下鉄避難口」と書かれていますが、いったい駅のどこに繋がっている?他の駅にも避難口はあるの?(ねこぼくさん)
はまれぽ調査結果!
篠原池にある地下鉄避難口は岸根公園駅の改札内に通じている。この駅を含めて17駅に避難口があり、二手に分かれて地上に避難する。防空壕のように見えるのは、たまたま周囲に擁壁があったから。
ライター:若林健矢
2019(平成31)年1月 23日に小田急線の新百合ヶ丘駅への延伸が発表されて、期待が集まる横浜市営地下鉄。注目されつつあるこの時に、「地下鉄避難口」と書かれた謎の扉が岸根公園内の篠原池にある、とのキニナル投稿が寄せられた。
・・・避難口と聞いてこれが何なのかはだいたい想像がつくが、実際に見てみなければその役目をきちんと紹介することはできない! そして、ここだけでなく、市営地下鉄沿線の他の駅にもこのような避難口はあるのだろうか?
岸根公園へ、篠原池で地下鉄避難口を確認
さっそく、港北区にある横浜市営地下鉄ブルーラインの岸根公園駅までやってきた。
篠原池へは2番出口が近いぞ!
緑があって空気もどことなく和やか
池の周りを観察していると、ちょうど桟橋を渡り階段を上がった場所に、それはあった。
頭上に「地下鉄避難口」の文字。間違いない!
明らかにこれだ。確かに出入口の周りだけが壁で頑丈になっていて、どこか厳かな雰囲気さえも感じられる。池の周りを歩いていたらあっさり見つけてしまったが、これからこの避難口を詳しく見てみよう。
市営地下鉄側から避難通路に潜入!
ここからは、横浜市交通局の工務部建築課長、金久治夫(かねひさ・はるお)さん、同建築係長の倉本一昭(くらもと・かずあき)さん、高速鉄道本部営業課駅務係の山本将司(やまもと・まさし)さんにご協力いただき、地下から避難通路に迫ってみよう。
左から金久さん、倉本さん、山本さん
岸根公園駅側からの避難通路入口は意外と目につく場所にある。改札口を入って階段・エスカレーターを抜けた目の前にあるのだ。一般利用時は使用することはできないが、駅構内で災害が発生した場合は、この避難口を伝って地上に避難できるようになっている。
非常口のマークで示されているここが避難口の出入口になる
反対側を向くと、改札口に向かう階段とエスカレーターがある
この非常口の扉の向こうは一気に雰囲気が変わって、まるでRPGのダンジョンにありそうな抜け道に。階段を上った先にまたまた非常扉があって、改札口とは全く別の方向に繋がっているようだ。
普段使用されていないため、手すりなどは結構埃っぽいとのこと
階段を上り終えると、再び非常扉が待っている
秘密の階段を上がって非常扉を開けると、壁のタイルこそ通常の駅構内と同じだが人の気配がなく、ますますダンジョンみたいな空間に抜けた。
非常口を開けた左側
写真では見づらいが、奥で非常口のマークが緑色に点灯しているので、避難時はこちら側に歩けばいいということだ。
同じ位置で今度は右側を見てみる。非常口のマークはこちら側に続いている
そのまま金久さんの案内に従って歩いていくと、階段の先には、さっき公園で見たような扉とシャッターが・・・。
非常口の標識に従うとここに到着した
この扉とシャッターはもしや・・・?
推測の通りで、この扉を開ければ地下鉄の駅構内から篠原池に抜けられる、ということだ。金久さんによると、この地下鉄避難口は、ブルーラインが1985(昭和60)年に横浜~新横浜間が延伸した際に同時に整備されたものだという。
駅構内から改札口を通らずにここまで避難できるようになっている
こうして見てみるとキニナル投稿にあったように、確かに防空壕みたいに頑丈な造りだ。この理由について尋ねてみると、金久さんからは「土を抑えている擁壁のところにたまたま当たったからこの形になっているだけなんですよ」と意外な回答。というのも、地下鉄避難口は駅によって様々な場所に作られており、岸根公園駅の場合はたまたま篠原池の土留(つちどめ)の擁壁を兼ねた造りになっていたに過ぎない。金久さんによると、他の駅の場合は単純に少し地表に突き出た小屋に扉があるだけのものも多く、「あえて頑丈な設計になっている」わけではないみたいだ。
石垣とコンクリートで擁壁を成しているためにたまたま頑丈そうな見た目になったようだ
それでもやはり他駅の避難口と比べると頑丈なのか、金久さんも「確かに、知らない人が見れば防空壕のようにも見えちゃいますね」と思わずにっこりして話してくれた。