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神奈川屈指の進学校「栄光学園」が上智大学と合併する?

ココがキニナル!

来年4月に、鎌倉市の栄光学園が、各地の他の3校とともに、上智大学を運営する上智学院と合併するそうですが、その経緯を調べてほしいと思います(エアバスさん)

はまれぽ調査結果!

栄光学園が上智学院などと合併するのは、神父不足のためだった!

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ライター:岡田 幸子

「神奈川御三家」の一角を担う鎌倉市の栄光学園。高校からの入学を募らない完全中高一貫教育の私立男子校として、圧倒的な存在感を見せている。
 


中学1年生から高校3年生までが通う中学校・高等学校だ
 

そんな学校法人栄光学園が、上智大学などを運営する学校法人上智学院と今春合併するという噂が耳に入ってきた。

学校法人が合併!? 
それは栄光学園が上智大学の附属中学・高校になるということ?

そんな疑問を抱えつつ、JR大船駅から20分ほど坂道を登り、栄光学園へと向かった。
 


結構な急坂・・・キツい! そして長い!!
 



合併の裏に教科書でおなじみのアノ人が!



到着してまず驚いたのは、あったはずの校舎が忽然と消えていること。事前に「工事中です」とは聞いていたが、ここまで大規模な工事とは!
 


創立70周年記念で校舎を建て替えるとか
 

プレハブの仮校舎で迎えてくれたのは副校長の林直人(はやし・なおと)先生。単刀直入に合併の経緯と目的を伺ってみる。

「ご説明するには、まず当校の創立母体・イエズス会について知っていただく必要があります。イエズス会はカトリック教会の男子修道会で・・・」

知ってます・・・そう、あの人。
 


フランシスコ・ザビエル!
  

「日本に初めてキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルも、イエズス会創設者の一人です。ローマに本拠をおくイエズス会は、世界中に多数の宣教師を派遣してきました。家族を持たない彼らは、自国を離れて派遣先の人に尽し、教育機関を立ちあげたのです」

その一つが栄光学園であり、今回合併することとなった学校群というわけだ。

「1947(昭和22)年、創立当初には初代グスタフ・フォス校長を含めて約20名の宣教師が所属していたといいます。私が就任した30年ほど前にも、まだ校内に15人ほどの神父さまがいらっしゃいました。彼らの生きざまや奉仕の姿勢から、生徒たちは多くのことを学んできたのです。彼らの存在により、当校の礎が築かれた といってもよいでしょう」
 


林副校長、お話に栄光愛がにじみます
 

「人に尽くし、社会に貢献できる人間を育てる」という教育理念の構築には、こうしたイエズス会宣教師たちの存在が大きく関わってきたそうだ。では、現状はどうだろう?

「世界的な傾向として、司祭は減少しつつあり、当校に在籍しているイエズス会士は現在2名。理念を支えていくには少々心もとないところもありますが、人材不足により、これ以上の派遣は望めないのです」
 


合併によるメリット・デメリットとは?



「そこで、今回の法人合併です。上智学院と栄光学園、六甲学院(神戸市)、広島学院(広島市)、泰星学園(福岡市)の5つの学校法人は、すべてイエズス会学校 として共通の理念を持っています。法人合併によって人材不足を補い、大切な理念を支えようというのが、今回の合併の最大の目的なのです」

つまり、各学校本体の意向というよりは、母体であるイエズス会の意向で合併に至ったということになるのだろうか?
 


豆知識:カトリックは神父、プロテスタントは牧師
 

「そうですね。我々各校の職員が合併について知ったのは2年ほど前なのですが、イエズス会の方ではそれ以前からこうした話もあったようです」

「1校が吸収合併されるケースや附属校になる場合など、学校の合併にもいろいろありますが、今回の合併はあくまで各学校の独立性は維持しながらの法人合併にとどまります」
 


栄光学園は栄光学園のまま!
 

独立性の維持とは、経営的な側面はもちろん、教育、運営や職員の配置などについても各校の裁量が残されるということ。学校間の職員の異動などもないという。

「とはいえ、同一法人になることで何かしらのメリットは得られるのではないかと考えています。例えば、上智大学には立派な図書館があり、豊富な資料がそろっています。そのような施設を利用できるようになれば良いなと思っています」
 


旧校舎解体前の黒板アート
 

なかなかの力作ぞろい
 

「さ らに、イエズス会ネットワークは世界中に広がっていて、ビル・クリントンが卒業した米国ジョージタウン大学や、ボストンカレッジなどもイエズス会学校で す。上智大学が持つ海外の大学へのつながりを利用して、留学や海外進学など、グローバル教育を推進していければとも考えています」

キニナル生徒について、同一法人となることで、栄光学園から上智大学への内部進学や、中学、高校間の転入出などが行われる予定はあるのだろうか?

「内部進学については考えておりません。現状、当校から上智大学へ進学する生徒は多くないという現実もありますので・・・」
 


こうきて・・・
 

こう(ともに栄光学園HPより)
 

2015(平成27)年4月、栄光学園から上智大学へ進学した卒業生はたったの2人。東京大学を中心とした国公立大への進学者数と比べると、圧倒的に少ない。

取材に先駆けて話を伺った保護者の一人は「合併後も東大を目指す姿勢は揺るがない」と断言されていた。
 


「栄光へ向かって走る」先はやはり東大か!
 

とはいえ、各校はこれまでも姉妹校として、それなりの交流を持ってきたという。毎年、各校の職員の代表者が一堂に会する機会を設けたり、生徒同士が協働するプログラムがあったり。高校の野球部では、毎年春に六甲学院との合同合宿を行う伝統もあるそうだ。

「面白いのは、卒業生に話を聞くと、進学先でも同じイエズス会学校出身者は集まりやすいというのです。入学式後すぐに打ち解けられた相手が、六甲学院や広島学院の出身だったというエピソードは卒業生からよく聞きます」
 


価値観が似ている、とか?
 

さて、合併後も各校の教育や運営において変化はないということが分かったが、逆にこの合併におけるデメリットはないのだろうか?

「あえて言うなら、事務方は対応に追われて大わらわですね。当校では校舎建て替えも重なってしまいましたので・・・」
 


工事も学びの機会のようです(工事外壁掲示物)