横浜なのに鎌倉を感じる秘境「田谷の洞窟」と首塚「王子神社」ってどんなところ?
ココがキニナル!
うちは泉区で「サバ神社」がたくさんあり、源義朝を祀っていると聞きました。ほかにも、横浜市の元鎌倉郡エリアで鎌倉を感じるスポットはあるのでしょうか?(さきちさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
厳粛な雰囲気の修行場あり、鎌倉時代末期の権力闘争の激しさを示す史跡あり、戸塚区と栄区には今でも鎌倉時代をしのばせるスポットが存在した
ライター:ナリタノゾミ
奈良に都があったころ、律令制のもと、全国は、国・郡・里(郷)に区分された。相模国鎌倉郡という区分は、その時代に登場したようだ。
平安時代から鎌倉時代にかけては、だいたい現在の鎌倉市と横浜市の一部(栄区・戸塚区の全域、港南区永谷に該当する地域)を含む地域は山内(やまのうち)荘という荘園となり、「相州鎌倉郡山内荘」と称されていたという。
現在の横浜市域の「相州鎌倉郡山内荘」に該当するエリアで、鎌倉時代を忍ばせるスポットは存在するのか。鎌倉時代に区全域が鎌倉郡に含まれていた栄区と戸塚区を調査
した。
なお、キニナル投稿にあるサバ神社については、記事末尾にて解説する。
横浜の秘境? ~栄区田谷・田谷の洞窟~
鎌倉からほど近い栄区田谷に、「田谷山瑜伽洞(たやざんゆがどう)」、通称「田谷の洞窟」と呼ばれる人工洞窟が存在する。
洞窟が作られはじめたのは鎌倉時代初期。それから江戸時代に至るまでの間、徐々に拡張され、上下三段、全長1キロメートルにおよぶ規模にまで発展した。
一体何の目的で掘られた洞窟なのだろう。
7月下旬、気温30度を超える真夏日に、田谷の洞窟を訪れた。
田谷の洞窟の入り口が存在するのは、真言宗定泉寺(じょうせんじ)の境内
定泉寺境内の弘法大師
境内を進むと、「田谷山瑜伽洞」と書かれた洞窟の入り口を発見。
田谷の洞窟入口
拝観料(400円)を支払うとロウソクが配布される。洞内を、わずかな数の電灯とロウソクの灯かりを頼りに歩き、進むことになる。
1本のロウソクを持って、いざ洞内へ
なお、現在も行者が修行場として使っているため、洞内の写真撮影は一切禁止。
撮影が禁止されているだけに、静謐(せいひつ)が保たれている洞内
全長約1キロメートルの洞窟だが、公開範囲はわずか250メートルほど。鎌倉時代から真言密教の修行場として利用されてきた洞内には「行者道」と記載された道しるべが施され、それに従って拝観すると、一周してスタート地点に戻る仕組みになっている。
洞内には本尊一願弘法大師をはじめ、四国、秩父、坂東各礼所などの数百体の仏像が控えている。
特に、本尊一願弘法大師の祀られた間の、高さ約6メートルの壁一面に施された仏の彫刻は圧巻だ。
本尊一願弘法大師の祀られた間(再現イラスト:ナリタノゾミ)
壁や天井に彫られた龍や獅子、亀、コウモリは、ロウソクの火の演出効果で命を宿しているかのような迫力を見せる。
順路の終盤、眼前に広がる奥之院には泉が湧く。その水を患部に塗ると怪我が治るのだとか。
泉が湧く、奥之院。壁には彫刻が施される(再現イラスト:ナリタノゾミ)
先人たちの見事な技術と芸術に感心しているうちに、たった250メートルほどの拝観範囲をクリアするのに1時間も要するから満足度は高い。
使用済みのロウソクは自宅の仏壇用に使ってもよいとのこと。筆者は実家に送ることに