実は老舗や隠れ名店の宝庫。はま旅Vol.59「吉野町編」
ココがキニナル!
横浜市内全駅全下車の「はま旅」第59回は、鎌倉街道沿いの“通過点”と思われた吉野町駅。実は老舗や隠れ名店の宝庫だった!
ライター:桐生 由美子
鎌倉街道を車で走ると通過する駅。学生時代の友だちが昔住んでいた街。吉野町といえばその程度の知識しかなかった記者。これは事前調査が必要だと思い、検索サイトで「横浜市 吉野町」と入れてみた。んん…、情報が少ないな…。
案ずるより産むが易し。とにかく行ってみよう!
やっぱり雨のはま旅
1日かけて吉野町を歩き回ろう!と予定したその日は、朝から雨だった。兎にも角にも、取材といえば雨が降る。しかしもしかすると、これは「恵みの雨」かもしれない!根っからポジティブな記者。さっそく駅前からスタートだ。
営業回り中らしきスーツ男性にお願いしてパチリ
どこから歩こうかと左右を見渡すと、『ベル・ファニチャー』という看板が目についた。中を覗くと、ガレージか? うろうろしていると、横を通りかかったおばちゃんが「入口はあっちよ」と教えてくれた。どうやらそこは裏口だったようだ。
赤と紺の椅子がちょこんと置いてある正面入口
ガラスドアを開けると、壁面いっぱいに色とりどりの椅子が陳列している。
棚には質の良さそうな椅子がたくさん
家具屋の事務所兼ショールームのようだ。
社員さんに聞くと、企業やお店などから受注している家具専門店とのこと。なかでも椅子を多く扱っているようで、カフェやレストランからセット注文が多いらしい。
もちろん1脚で買うことも可能。1万円台くらいのオシャレな椅子も置いているので、椅子好きのお客さんも来店するとか。座面の張り替えもしてくれるので、長くお付き合いできる家具屋さんという感じだ。
次に向かったのは、以前はまれぽで「例大祭の神輿渡御」が掲載された『日枝神社』。
吉田新田の開発者、初代吉田勘兵衛良信が江戸の山王権現を勧請して、新田の鎮守として寛文13(1673)年に創建された神社だ。
横浜関外の鎮守。愛称は「お三の宮」
雨の神社というのは、なんとなく風情がある。大きな水たまりを避けながら歩き、まずは社務所で声をかけた。
どうやら「はまれぽ」を覚えていたらしく、自由に写真を撮ってもいいとおっしゃってくれた。
さっそく境内を見渡すと、「横浜市 名木古木指定」の札がたくさん立っている。
帰宅後、横浜市の名木古木に指定された木がどれくらいあるのか調べてみて驚いた。南区には37本の名木古木があり、そのうちの12本、約1/3が日枝神社にあったのだ。
手前は「クスノキ」奥には「ヒマラヤスギ」が2本
社務所の横にも大きな「クスノキ」がそびえ立っている
小学校の脇道沿いにあり、横には幼稚園も併設されている日枝神社。地域の子どもたちを見守りながら、古木たちは長年この地に根をはっているのかもしれない。
ライターなら誰もが興味をそそられる
次に向かったのは、吉野橋の横にある『㈱築地活字』だ。
活字といえば、活版印刷に使う凸型の字型のこと。大昔は木製、その後は金属製の柱型の棒に文字を左右反対に浮き彫りにしたもの。記者が学生の頃は活版印刷についても学び、実際に刷る体験学習もやったものだ。(年齢がバレるが…)
「当社の創業は1919年。昔東京にあった東京築地活版製造所の活字母型を一部引き取ったことから、築地活字と名付けられたと先代から聞いています」と4代目社長の平工(ひらく)さん。
活字が収納されているのは創業当初から使っている木棚
引き出しのような役割の木箱に並んでいる活字
これでどうだ!「はまれぽ」となる
実際につくっているところを見てみたかったが、残念なことに取材日は機械の修理中だった。
職人さんが修理しているのが活字をつくる機械
月に1度くらいのペースで体験をやっているとのことなので、今度はプライベートで来ることを約束して会社を後にした。
≫